2025/05/20

営巣適地を探して春の山林を飛び回るオオスズメバチ創設女王

 

2024年5月上旬・午後14:15頃・くもり 

里山の斜面で林床に居た巨大な蜂が重低音の羽音を立てて飛び去りました。 
無事に越冬できたオオスズメバチVespa mandarinia japonica)の創設女王が単独で、巣作りに適した場所を探し回っているようです。 
オオスズメバチは野ネズミの古巣などを再利用して、地中に営巣します。 
つまりこの時期のオオスズメバチ創設女王は、「穴があったら入りたい」という状態になります。


※ 羽音が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。


2025/05/19

平地の二次林でマルバゴマキの枝葉に眼下腺マーキングするニホンカモシカ【トレイルカメラ】

 

2024年5月中旬 

シーン1:5/16・午後14:03・晴れ・気温32℃(@0:00〜) 
明るい日中にたまたまフルカラーで撮れた現場の様子です。 
越冬中に死んだニホンアナグマの旧営巣地(セット)がある平地の二次林を自動撮影カメラで見張っています。 


シーン2:5/19・午前4:44頃・気温9℃・日の出時刻は午前4:23(@0:04〜) 
夜明け直後のかなり薄暗い早朝に、ニホンカモシカCapricornis crispus)がセットに来ていました。 
マルバゴマキ(別名マルバゴマギ、ヒロハゴマキ、オオバゴマキ)の細い灌木の下に立ち止まって首を伸ばし、葉裏に顔を擦り付けていました。 
眼下腺で匂い付け(マーキング)して縄張り宣言しているようです。 

右に立ち去りかけたカモシカが、右端で立ち止まりました。 
肝心の顔が見切れてしまい、何をしてるのか見えません。 
眼下腺マーキングまたは採食していると思うのですが、動画に撮れてなくて残念です。 
やがて向きを変えると、獣道をたどって画面の左下に立ち去りました。 


【考察】 
この地点のトレイルカメラにカモシカが写ったのは初めてです。
昨年(2023年)はニホンアナグマの家族が暮らしていたので、アナグマが匂い付けでしっかり縄張り宣言していたはずです。
したがって、カモシカがアナグマの縄張りにノコノコ侵入することはありませんでした。
巣穴の主であるアナグマが死んで以来、空白地帯になったようで、様々な野生動物(イエネコも含む)が入れ代わり立ち代わりセットにやって来るようになりました。

野生のニホンカモシカは山地の森林に生息するというのが定説なのに、平地の二次林にも来るとは意外でした。 
実は数日後にトレイルカメラの保守管理のために現場入りした際に、付近の林縁で採食中のカモシカと私はばったりニアミスしています。 
驚いたカモシカはすぐに休耕地の方へ逃走しました。 


おそらく、その同一個体が二次林に戻ってきたのではないかと推察しています。 
カモシカ同士で激しい縄張り争いがあり、弱い個体が里山から追い払われて、仕方なく平地に降りて来るのかもしれません。 
勾配のない平地での暮らしは、健脚を誇るカモシカにとって物足りないのでは?

カモシカ単独でなら、充分に生きていけるだけの餌の量は平地の二次林でも確保できそうです。 
緑の回廊のように、平地でパッチ状に残る二次林や河畔林をニホンカモシカが渡り歩いてひっそり暮らすとしたら、車道に出た時に交通事故にあうのではないかと心配です。 
当地は雪国(多雪地帯)ですから、冬になって樹々が落葉したら、山に戻らないと餌が足りないかもしれません。 

現在の日本でニホンカモシカは基本的に山地性ですが、大昔は平地の森にも住んでいたのだろうか?という疑問を抱きました。 
ヒトによる狩猟圧や土地開発のせいで、山にしか分布しなくなったのかな? 
Perplexity AIに相談してみると、一応賛成してもらえました。 
(AIにお墨付きをもらったから正しいと主張したい訳ではなくて、それほど頓珍漢な仮説ではなさそうだというだけです。) 
しかし、考古学的な資料からニホンカモシカの骨が平地の遺跡から出土した事例は知られていないそうです。 
「日本書紀」や「万葉集」などの古典文学にもカモシカを指すと思われる記載があり、山地性が強調される以前には、より広い生息域を持っていた可能性が示唆されています。 
Perplexityが教えてくれたこの最後の一文について興味を持ったのでファクトチェックしてみました。
古典の該当箇所の原文をカモシカと解釈するのは動物生態学的に無理があったりして、人文系のアプローチは信頼性に欠けると個人的には思いました。 



初夏の風に吹かれて飛散するポプラ(セイヨウハコヤナギ)の綿毛【風散布型種子:FHD動画&ハイスピード動画】

 

2024年5月中旬・午後14:25頃・晴れ 

街路樹として植栽されたポプラ(=セイヨウハコヤナギ)の大木から白い綿毛が風に乗って大量に舞っていました。 
ポプラが属するヤナギ科の種子は、典型的な風散布型です。 
ヤナギの白い綿毛は「柳絮りゅうじょ」、ポプラの場合は「楊絮ようじょ」と呼ばれるのだそうです。 

関連記事(5年前の撮影)▶  


ヤナギ科の果実は蒴果で熟すと裂開し、中から綿毛に包まれた小さな種子が多数現れます。 
この綿毛は種子そのものから直接生えている訳ではなく、種子を包む果実(蒴果)の内側の壁や種皮の表面から発生した付属物(種毛、種子毛)です。
綿毛の主成分はセルロースで中空構造を持ち、風による種子散布への適応形態です。 

ポプラ大木の下から見上げてズームインすると、枝先に白い綿毛が大量に付いていました。 
白い花が咲いているように見えますが、花ではなく蒴果の綿毛です。 
(私はポプラの花を実際に見たことがないかもしれません。)
ポプラは雌雄異株なので、白い綿毛の付いた木は雌株です。
初夏(晩春)の風が強く吹くと、その綿毛が風に乗って飛散します。 
ポプラの若葉も風でザワザワ音を立てながら揺れています。 

セイヨウハコヤナギの綿毛が飛散する様子を240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@1:37〜) 
明るい空を背景にすると飛散する白い綿毛がよく見えないので、背景が暗くなるようにアングルを決めないといけません。 
ハイスピード動画は固定焦点ですから、撮り始めにポプラの大木に焦点を合わせてしまうと、手前の空中を飛ぶ綿毛にピントが合いません。 
シャッターボタンを半押しにして、適当な距離の物体に合焦してから撮り始めました。 
カメラの仕様で、ハイスピード動画は無音になってしまうのですが、無音のシーンが続くと味気ないので今回は風の吹く音をアフレコしてみました(別撮りの動画から音声だけ流用)。 

動画を撮影した後に、風に舞う綿毛を手掴みで採集できたので、種子の写真を掲載しておきます。







【考察】
中国の乾燥した地域では、ポプラ並木から大量に飛散した白い綿毛(楊絮)が地面に溜まり、誰かの不注意(火の不始末)で発火すると一気に燃え広がって火事になってしまうのだそうです。
ポプラの白い綿毛(楊絮)は主にセルロースと植物油脂から成り、可燃性が非常に高くなっています。
綿毛状の形態で空気を多く含むため、密集して堆積すると、着火した際に一気に爆発的に燃え広がる性質があるのです。

楊絮が燃えやすいという性質は、ポプラがそのように進化した結果なのでしょうか? 
火災を積極的に利用して分布を広げるパイロファイト(火災適応植物)と呼ばれる植物が知られています。
(多雨多湿で山火事の発生頻度が少ない日本にはほとんど居ないとされています。)
ポプラはパイオニア植物(先駆植物)なので、山火事を起こしてライバルの植物を焼き払い、その後に発芽する戦略かもしれない、と私は素人考えで思いつきました。

しかし、地上に堆積した楊絮に着火したら、種子も焼け死んでしまいます(高温で発芽能力を失う)。
つまり、ポプラの種子に耐火性はありません。
セルロースからできた綿毛の表面には油脂成分(ワックス)が含まれていて、可燃性が高くなっています。
これもポプラに火災を誘発したいという進化的意図がある訳ではありません。
この油脂分のおかげで撥水性が高まり、フワフワの綿毛が雨や湿気から守られるのだそうです。
これも風散布の効率を高めるための適応と考えられます。

まとめると、ポプラの綿毛が燃えやすいのは、風散布のために軽く繊維状になった結果の副産物であり、「火災を誘発して生存競争を有利にする」ために進化したものではありません。

※ Perplexity AIの回答を参考にまとめました。
植物生態学も調べてみると面白いですね。

昨今では、ポプラの大木が次々に伐採されています。
台風や大雪などによる倒木で事故が起きることを行政当局や土地管理者が恐れているようです。
ポプラを観察したいと思いたった時に身近にあまり残ってないことに気づき、焦りました。
ポプラに限らず、あちこちで樹木の伐採がどんどん進んでいるので、思いついた時にすぐ撮っておかないと、後悔することになります。


 
 ↑【おまけの動画】 
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