2021/04/29

雪が降った日にダイサギがいつもの冬塒に集まらなくなった謎(冬の野鳥)

 

 2020年12月中旬・午後16:39〜16:55・くもり(日の入り時刻は16:21)
前回の記事:▶ 日没後に1羽ずつ集団塒に帰るダイサギの俯瞰映像(冬の野鳥)
雪が降った日の夕方に、ダイサギArdea alba)の冬塒を見にまたやって来ました。 
冠雪したヒマラヤスギ樹上で白鷺が休む姿が撮れたらフォトジェニックだろうと思ったからです。 
もう一つ興味があるのは、塒入り行動に対する冠雪の影響です。 
例えば餌場の水辺に白鷺の模型(デコイ)を置いておくと、多数の白鷺が誘引されるように飛来するという実験結果が知られています。
集団塒の樹上のあちこちに白い雪塊が積もっていると、飛来した白鷺は先着の仲間が多く集まっていると勘違いするでしょうか? 
逆に、そこら中の樹々が冠雪していると景色が一変して、どこが集団塒かダイサギは混乱してしまうかもしれません。 

ちょうど日没時に現場入りし、少し離れた所でダイサギの飛来を待ち受けることにしました。 
雪は止んでいるのでじっと待ち続けると、一番乗りの個体が飛来しました。 
ところが上空で旋回しただけで、塒入せずに飛び去ってしまいました。 
仲間が不在なので別の塒に向かったのでしょうか? 
それとも空を見上げてカメラを向けている私を警戒して逃げたのかもしれません。 

しばらく待つと、とっぷりと日が暮れた10分後にもう1羽が飛来しました。 
さっきのダイサギと同一個体が戻って来たという可能性も考えられます。 
ヒマラヤスギの右に聳え立つモミの樹上に一度着陸しました。 
その後、木から木へ飛び移りました。 
珍しく低い枝に移動したということは、高い枝は寒風が厳しいのかな? 
ここで欲を出した私が撮影アングルを求めて横に移動すると、ダイサギは警戒したのか飛び去ってしまいました。 
痛恨のミスです…。 
楽観的に考えれば、充分に離れている私の存在などダイサギの眼中に無いのかもしれません。 
その証拠に(?)、私の頭上を飛び越える際に警戒声や怒り(苛立ち)の鳴き声などは発しませんでした。 
冠雪した枝に降り立ったものの仲間が不在と気づいた途端に心細くなり、急いで別の塒に向かったのかもしれません。 
ダイサギはただでさえ警戒心が強いので、仲間が居ないと不安で警戒心が高まるのでしょう。 

私の体も凍えてきたので観察を打ち切りました。 
手袋をしていても手の指がかじかんで、カメラの誤操作が増えてしまいます。 
もっと辛抱強く待てば遅い時刻にダイサギが塒入りしたかどうか、不明です。 

今回どうしてダイサギは塒入りしてくれなかったのでしょう? 
厳しい雪の日には別の集団塒に集まって寝るのかな? 
この冬は積雪が多いためか、川で採餌するダイサギの個体数が例年より少ない気がしています。 
周辺地域に生息するダイサギの個体数が少なくなれば、日が暮れて集団塒に集まって来るダイサギが減るのも当然です。 
ダイサギ個体群の多くがもっと餌の豊富な地域(暖地)に移動・南下してしまったとすると、ここにはもう戻ってこないかもしれません。 

フィールドで生き物の観察はなかなか思い通りに行きません。 
次回はダイサギを怖がらせないよう少し工夫して撮影することにします。 
撮影用のブラインドを張ってその中から隠し撮りするのがベストだと重々承知しているのですが、この現場ではどうしてもブラインドを張れる場所が無いのです。 


収穫後のリンゴ園で落果を拾い食いするニホンザルの群れ

 

2020年12月上旬・午後12:00頃・くもり
前回の記事:▶ 初冬のリンゴ園で下草のクローバーを採食するニホンザルの群れ
山麓のリンゴ園に侵入した野生ニホンザルMacaca fuscata fuscata)の群れは、地面に落ちている果実を稀に見つけると喜んで食べていました。 
2頭の記録映像をまとめました。 
もしかすると連日のようにこのリンゴ園に通って落果を食べていたのかもしれません。

シーン1: 
右から歩いて来た♀成獣が地面の匂いを嗅いだと思ったら、リンゴの落果を見つけました。 
(四足歩行の際に乳首が見えたので、♀と分かります) 
その場に座り込んでリンゴを食べ始めました。 
ところが落果を完食する前に惜しげもなく捨てて、遊動を再開。 
リンゴは食べ飽きているのか、たまたま味が気に入らなかったのでしょうか。 
少し移動すると、下草のクローバーを手で毟って採食し始めました。 

シーン2: 
右から走ってきた若い個体がリンゴの樹の下で立ち止まり、地面に落ちていた落果を食べ始めました。 
地面に落果を置いたまま姿勢を低くしてコソコソと食べている(犬食い)ので、初めは採食メニューが不明でした。 
しばらくすると、ようやくリンゴの赤い果実を両手で持ち上げて見せてくれました。 
落果にかぶりつくと、口からリンゴの果汁が滴り落ちます。 
ときどきリンゴの果皮と種子を口から吐き出しているようです。 
リンゴを食べる合間に下草のクローバー(おそらくシロツメクサ)も口に運んで味変しています。 
食べながらも周囲の動向を油断なく警戒しています。 
私の目を恐れているのではなく、群れの他個体に見つからないように警戒しているような気がしてきました。 
若くて弱い猿は、成獣(群れ内で上位の個体)に餌を強奪されることが多いのでしょう。 
幸い、他個体には気づかれずにリンゴを味わっています。 

※ 周囲の群れの鳴き声が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


このリンゴ園では収穫前にどのような猿害対策をしているのか知りませんが、敷地の周囲に電気柵を張り巡らしているリンゴ園が多いです。 
収穫が終わると電気柵も撤収し、ニホンザルが再び山からリンゴ園に侵入できるようになったのでしょう。
商品価値のない落果なら猿に食べられても惜しくないのでしょうが、リンゴ園に落果を放置しておくのは餌付けと同じことです。 
ニホンザルなど野生動物の群れを誘引することになり、鳥獣害対策は元の木阿弥になります。 
野生ニホンザルによる食害に困っているのなら、リンゴの味を覚えさせてはいけません。 
年がら年中、電気柵に通電するのはコストが見合わないのでしょう。
面倒でもリンゴの落果をまとめて深く掘った穴に埋めるか、頑丈なコンポスト容器に入れて堆肥にするのが地道な猿害対策として大切だと思います。
ただし前回の記事で紹介したように、リンゴ園の下草のクローバーも野生ニホンザルにとっては魅力的な餌資源であることが分かったので、難しい問題です。
「猿害対策の王道としては下草のクローバーも秋には刈り取るべき」と提案したいところなのですが、それは現実的ではないでしょう。


【追記】
電気柵による対策が進んだ結果、私はまだ野生のニホンザルが収穫前のリンゴの木に登って果実を採食する様子を実際に観察したことがありません。

辻大和『与えるサルと食べるシカ: つながりの生態学』によれば、ニホンザルが加害する作物には地域差があるのだそうです。
山形県では被害の大きな作物として、リンゴとスモモが挙げられていました。(p202 図110より)

 

2021/04/28

たくましく餌を探す雪国のスズメ(冬の野鳥)

 

2020年12月中旬・午後14:30頃・雪 

除雪された堤防路で2羽のスズメPasser montanus)が餌を探していました。 
路肩にどかした雪塊の表面が土で汚れているので、一緒に草の種子がわずかに付着してるのでしょう。 
スズメは川沿いで寒風に吹かれても、断熱効果を高めるために羽根を精一杯膨らませてていて、いわゆる「ふくら雀」の状態です。 
雪国ではごくありふれた光景ですが、暖地住まいの視聴者にとってはエキゾチックかもしれません。 
それにしても、雪国のスズメが逞しく日々の餌を探して越冬できるのは改めて考えると驚異的です。

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