2020/02/18

ヘクソカズラの葉を食べるホシヒメホウジャク(蛾)終齢幼虫



2019年9月下旬・午後15:38〜16:01

ホシヒメホウジャク(蛾)の飼育記録#1


農道と用水路の間の草むらで黒いイモムシを発見。
辺りにはイヌタデの花(いわゆる「赤まんま」)が咲き乱れていたので、初めはイヌタデの葉を食べているのかと勘違い。
「蓼食う虫も好き好き」の一例かと面白がって動画に撮り始めたのです。
しかし周囲の邪魔な雑草を慎重に取り除きながらよく観察すると、食草はイヌタデではなくて何か別の蔓植物のようです。
私が周囲の草むらを揺らす度に幼虫が擬死(死んだふり)するので、警戒が解けて食事を再開するまで待ちます。
ヨモギの花穂に巻き付いて伸びた謎の蔓植物の一番上の葉を食べていました。

食事中に長い尾角がピコピコと前後にゆっくり振りたてる様子が可愛らしいですね。
天敵に対して防御または威嚇の効果があるのでしょうか?
触角の動きを真似(誇張)して尾角を動かし、頭部が逆にあると鳥に誤認させて急所である本当の頭部を守る作戦なのかな?(自己擬態)
それなら尾角を2本(左右一対)にした方が有効でしょう。
長い尾角があると脱皮の際に大変なのではないかと他人事ながら心配になります。

葉を完食すると、続けて葉柄も食べました。
残念ながら葉が食べ尽くされて、食草の特徴が全く分からなくなってしまいました。
この日は三脚を持ってこなかったので、微速度撮影できませんでした。

飼育するため撮影後にホシヒメホウジャク幼虫を採集したものの、食草が分からないのは困ります。
仕方なく、周囲の植物も何種類か手当たりしだいに採取して同じビニール袋に入れて持ち帰りました。
帰宅後に図鑑で調べるとホシヒメホウジャクNeogurelca himachala sangaica )の幼虫と分かり、ようやく食草もヘクソカズラと判明しました。

実はこの時点で終齢でした。
飼育をはじめたものの、ヘクソカズラの新鮮な食草を調達するのにとても苦労することになります。
近所で心当たりのあるヘクソカズラの群落や藪は全て草刈りされてしまっていたのです。
悪臭を放つ雑草ということで目の敵にされているようです。

つづく→#2:ホシヒメホウジャク(蛾)終齢幼虫の巣作り開始



【追記】
矢追義人『ミクロの自然探検: 身近な植物に探る驚異のデザイン』という植物観察の名著には、ヘクソカズラを扱った章が設けられています。
悪臭の現況はペデロシドという物質で、これが分解してにおいを出す。(中略)茎の汁を吸うヘクソカズラヒゲナガアブラムシは体内にペデロシドが蓄積して体表が苦くなることが確かめられ、これによって天敵であるテントウムシによる捕食から免れていると考えられている。(p40〜42より引用)


ホシヒメホウジャク(蛾)終齢幼虫@ヘクソカズラ葉摂食
ホシヒメホウジャク(蛾)終齢幼虫@ヘクソカズラ葉蚕食
ホシヒメホウジャク(蛾)終齢幼虫@ヘクソカズラ葉食害

2020/02/17

アカバナメドハギの花蜜を吸うヤマトツヤハナバチ♀?【HD動画&ハイスピード動画】



2019年9月中旬・午後14:40頃

川岸近くに咲いた見慣れないマメ科植物の群落で、おそらくヤマトツヤハナバチ♀(Ceratina japonica)と思われるハナバチが訪花していました。
赤紫色の蝶形花に正当訪花を繰り返し、吸蜜しています。
性別不明ですが、後脚のスコパ(花粉採集毛)は空荷でした。
脚が黒く、頭楯が黒地に小さな黄紋なので、♀ですね。

花から飛び立つ瞬間を狙って240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@0:45〜)
隣の花にはわざわざ飛び立たずに歩いて移動することもありました。
離陸直後の急旋回も披露してくれました。


▼関連記事(3年前の撮影)
ハルジオンの花で採餌するヤマトツヤハナバチ♀


ヤマトツヤハナバチ?@アカバナメドハギ訪花吸蜜
ヤマトツヤハナバチ?@アカバナメドハギ訪花吸蜜

撮影後、訪花中にニアミスした2匹の小競り合いを目撃しました。
同定のため、捕虫網を振って1匹を採集しました。
ただし、動画に登場したのとは別個体かもしれません。
以下は標本の写真。(掲載予定)
参考:ヤマトツヤハナバチ@『日本産ハナバチ図鑑』p350

さて、このマメ科植物の正体は何でしょう?
素人目には花が白いメドハギと似ているものの、花弁の紫が濃い点が気になります。
メドハギがこんなに濃い紫の花を咲かせることはあるのかな? (例えば土壌のpHによって花の色が変わるとか?)
それとも別種なのでしょうか?
少し調べてみると、アカバナメドハギという帰化植物が知られているそうです。

植物関係の掲示板で問い合わせたところ、候補としてハイメドハギや「メドハギとシベリアメドハギとの雑種」が挙げられ、花色は変異が大きいのだそうです。

メドハギの仲間もなかなか奥が深いのですね。
今回は花全体のスナップショットしか撮っておらず、細かい部分を接写していませんでした。
もし来年も同じ場所に咲いたら、詳しく検討してみようと思います。
今回は暫定的にアカバナメドハギ?としておきます。

参考サイト:マメ科ハギ属 Lespedeza の メドハギ類の図入り検索表


アカバナメドハギ?花
アカバナメドハギ?花・全景

アカザカズラの花蜜を舐めるサッポロヒゲナガハナアブ♀



2019年9月下旬・午後15:45頃

民家の庭(家庭菜園?)からブロック塀を乗り越えて外に垂れ下がっている蔓植物に白い花穂が満開に咲いていました。
私はその名前を知らなかったのですが、昨年アカザカズラ(別名オカワカメ)と教えてもらいました。
観賞用だけでなく、知る人ぞ知る野菜として食用にも供されているのだそうです。
(私もいつか食べてみたいものです。)
今年はこの植物の訪花昆虫に興味を持って定点観察にときどき通っていたら、ようやく花が咲いて辺りには独特の良い芳香が微かに漂っていました。

まず目に付いたのはサッポロヒゲナガハナアブ♀(Chrysotoxum sapporense)です。
一瞬クロスズメバチの仲間かと見間違えたので、ベイツ型擬態なのでしょう。
左右の複眼が離れているので♀のようです。
白い花穂を歩き回りながら、口吻を伸ばして花粉や花蜜を舐めていました。
翅の前縁端に褐色の斑紋があります。


▼関連記事(1年前の撮影)
カキドオシの花粉を舐めるヒゲナガハナアブ♂




サッポロヒゲナガハナアブ♀@オカワカメ訪花吸蜜
サッポロヒゲナガハナアブ♀@アカザカズラ訪花吸蜜

アカザカズラ(オカワカメ)花穂@ブロック塀
アカザカズラ(オカワカメ)花穂+葉+蔓@ブロック塀
アカザカズラ(オカワカメ)花穂@ブロック塀・全景

ちなみに、2週間前の9月中旬に撮った蕾の写真もついでに載せておきます。
アカザカズラ(オカワカメ)蕾@ブロック塀
アカザカズラ(オカワカメ)蕾@ブロック塀・全景

ランダムに記事を読む