2016年10月中旬
夕方の河川敷でハシボソガラス(Corvus corone)が芝生をほじくり返して虫を探していました。
橋桁の近くで2羽が付かず離れず地上採食しています。
松原始『カラスの教科書』によると、
・ハシボソガラスの文字通り「草の根分けても探し出す」というテクニックは農耕地や河川敷では大きな武器となる。 (p152)
・「探りを入れる」行動はプロービングと呼ばれるが、くちばしでかきわける、くちばしを差し込んで押し開く、上を覆っているものをどける、ひっくり返す、と多岐にわたる。草の間には昆虫が潜んでいることがあるし、落葉の下には種子や昆虫やミミズ、石をひっくり返せばその下に何かがいる、かもしれないからである。ハシボソガラスの行動の基本は「かもしれない」なのだ。 (p148-149)
最後は相次いで飛び立ち、土手を越えて市街地の方へ向かいました。
【追記】
中村眞樹子『なんでそうなの 札幌のカラス』という本を読んでいたら、この採食行動の謎が解けました。
毎年春になると、コガネムシ類が産卵のために芝生に集合して芝生の土中に産卵するのです。初夏には孵化して幼虫が誕生します。コガネムシは(中略)幼虫は芝生の根を食べて成長し、そのまま越冬するのです。 カラスたちはこの幼虫に目がありません。特に9月以降になると、プリプリに成長した幼虫は動物性たんぱく質の塊になります。これを食べるためには、どうしても芝生をはがしてしまわないといけないわけです。 これがボソだと、嘴が細くて尖っているので、芝生の根の部分をうまく突き刺して幼虫を取り出すことができる(中略)カラスたちが幼虫を食べてくれることによって、コガネムシによる芝生の食害の拡大を食い止めている (p184より引用)
そう言われてから改めてこの動画を見直すと、確かに丸々と太った白い幼虫を次々と捕食していました。(@0:01、0:49、2:08、2:35、2:51、3:51、4:13)
あちこちの芝生をほじくっているものの闇雲に探している訳でもなさそうで、捕食の成功率はかなり高いようです。
カラスはどうやってコガネムシ幼虫の隠れている居場所を突き止めるのでしょうね?
という訳で、曖昧だった記事のタイトルを「河川敷の芝生で採食するハシボソガラス(野鳥)」から変更します。
2016年10月下旬
峠道をふさぐ倒木に冬鳥のジョウビタキ♀(Phoenicurus auroreus)が止まっていました。
かすかにヒッヒッ♪という甲高い鳴き声が聞こえるものの、リップシンクロ(嘴の動き)が一致しません。
ときどき尾羽根をビリビリと上下に震わせています。
飛んで逃げたと思いきや、別種のベニマシコ♂(Uragus sibiricus)が乱入しました。
つづく→倒木で鳴く♪ベニマシコ♂(冬の野鳥)
※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。
↑【おまけの動画】
先ほど逃げた♀の番(つがい)相手と思われるジョウビタキ♂を直後に発見。
すぐ近くの林縁で鳴いていました。
♂は顔黒なのです。
こちらを警戒しているようで、灌木の陰に隠れた後姿しか見えません。
ようやく少しだけ正面を向いてくれて、リップシンクロを確認しました(鳴き声と嘴の動きが同期した)。
つまりヒッヒッ♪という甲高い鳴き声の主は、このジョウビタキ♂で間違いありません。
痺れを切らした私が横にずれて撮影アングルを確保しようとしたら案の定、逃げられてしまいました。
記事を改めて紹介するほどの動画ではないので、ブログ限定でおまけとして公開します。
ジョウビタキのペア(番)が互いに近くに居たという証拠の映像として記録しておきます。
※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。
2016年10月下旬
▼前回の記事
ジョウビタキの♀♂つがいと鳴き声(冬の野鳥)
峠道で倒木に見慣れない小鳥が止まっていました。
桃色で美しい小鳥の正体は、調べてみると当地では冬鳥のベニマシコ♂(Uragus sibiricus)でした。
ヒッヒッ♪という甲高い鳴き声がかすかに聞こえるものの、リップシンクロが一致しない(嘴の動きがはっきりしない)ので、この個体の鳴き声かどうか初めは自信がありませんでした。
最後に飛んで逃げたときに鳴き声も一緒に遠ざかったので、ベニマシコの鳴き声で大丈夫でしょう。
※ この鳴き声の主はジョウビタキ♂かもしれません。
【追記】
『日本の野鳥さえずり・地鳴き図鑑』に付属するCDでベニマシコの鳴き声と聴き比べてみると、私の動画に登場した個体の鳴き方は地鳴きで間違いなさそうです。
チ、フイとかピ、ポと聞こえるリズミカルな地鳴き。(中略)鳴き声の一部がウソの鳴き声に似るが、ベニマシコではフィのあとに、フィ、フォイと続けて鳴く。(p43より引用)
関連記事(5年後の撮影)▶ ベニマシコ♂の地鳴き♪を声紋解析してみる(冬の野鳥)