2016/12/28

交尾前ガード中のアカオニグモ♀♂(蜘蛛)の網にムラサキツメクサの花を給餌すると…?



2016年9月上旬・午後16:07〜16:09

▼前回の記事
アカオニグモ(蜘蛛)の交接前ガード

造網性クモが花を食べるという再現性に乏しい奇妙な食性がずっと気になっていて、機会がある度に調べています。

▼まとめ記事(リンク集)
花を食べる造網性クモの謎
営巣地の近くに咲いていたムラサキツメクサ(=アカツメクサ)の花を採取してアカオニグモAraneus pinguis)の垂直円網に投げつけてみました。
1投目は花が網を素通りしてしまい、失敗です。
網が揺れたのに隠れ家に潜むクモは♀♂共に無反応でした。
(映像はここから)

2投目で花が網に付着しました。
それでも意外なことに、隠れ家(画面左のイヌタデ)のクモは♀♂共に無視したままです。

そこで花に振動を与えるために、音叉を鳴らして花や網に触れてみました。
この振動数(A-440Hz)は網にかかった昆虫が暴れる羽ばたきとほぼ同じらしく、クモを騙せることが知られています。
ところが繰り返しやっても今回のクモは無反応でした。
♀を交接前ガードしているだけの♂成体の食欲が無いのは当然というかよく分かります。
しかし、♀は色気より食い気なのが普通です。
つい先程、隠れ家の♀が歩脚の先で網から伸びる信号糸に触れていることを確認したばかりです。
網にかかった花や音叉の振動を気づいているはずなのに、無反応なのは不思議です。
食欲がなくても網にかかった異物を取り除くために隠れ家から出てきても良さそうなものです。
♀は脱皮前の眠なのかな?

後で思うと、もう少し小さな花を給餌していれば結果は変わっていたかもしれません。
巨大な虫が網にかかったのかと思い、アカオニグモはすっかり怖がってしまったのかな?
以前、造網性クモが食べてくれたアメリカセンダングサの花は未だ咲いていませんでした。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。

しつこい私はそれでも懲りずに、生きた昆虫を網に給餌してみることにしました。


つづく→網に給餌したアキアカネ♀を捕食するアカオニグモ♀亜成体(蜘蛛)





ウスムラサキイラガ(蛾)亜終齢幼虫の口元を隠す食事マナー



2016年9月上旬
▼前回の記事
ミズナラの葉を蚕食し脱糞するウスムラサキイラガ(蛾)亜終齢幼虫【100倍速映像】


ウスムラサキイラガ(蛾)の飼育記録#6


ウスムラサキイラガAustrapoda hepatica)の亜終齢幼虫ミズナラの葉を食害する様子を接写してみました。
まず初めは、10倍速の早回し映像をご覧下さい。
幼虫は常に葉の裏面に居て、摂食中は葉縁に体を少し乗り出しています。
食休みの際は少し移動して葉裏に完全に隠れました。
体色が黄緑色なので、濃い緑色の葉表よりも葉裏に居る方が目立たないのでしょう。
撮影中は強い照明(USBリングライト)を当てているので葉裏でも幼虫を見分けられますけど、消灯すると本当に目立たなくなります。
撮影のためにミズナラ葉の裏面を上に向けていても幼虫は葉裏に留まります。
つまり単純な重力走性ではなく、あくまでも葉の表裏を匂いや味、色などで区別しているのでしょう。
ウスムラサキイラガ幼虫を強制的にミズナラの葉表に移したときに、慌てて葉裏へ移動するかどうか確かめればよかったですね。

後半(@2:04-)は微速度撮影から通常のHD動画に切り替えました(以降は動画編集時に自動色調補正を施しています)。
口元の動きを観察したくて葉表から狙うと、葉縁から幼虫の頭部が少しだけ覗いています。
幼虫が葉脈を断ち切る音がかすかに聞こえます。

イラガの仲間の幼虫は胸部から前方に張り出したフードで頭部が完全に覆われてるため、口器の動きが隠されて全く見えません。
(このフードの正式名称は?)
常に口元を隠して食べるお上品な食事マナーと言えるかもしれません。
イラガ科の幼虫に特有なこのフードの意味や目的は何でしょうか?
食樹植物の噛み跡から放出される揮発性物質を抑えて、寄生蜂を誘引しないようにするためでしょうか?(その程度で抑制効果があるのか?)
天敵の捕食者は動きで獲物を目ざとく見つけるので、摂食中によく動く頭部全体をフードで隠してしまえば、狙われるリスクを減らせるのかもしれません。

つづく→#7:ウスムラサキイラガ(蛾)幼虫の最終脱皮【60倍速映像】



2016/12/27

側溝の縁を移動するキセルガイ【10倍速映像】



2016年9月上旬・午後15:04〜15:24
▼前回の記事
キセルガイの徘徊と交尾行動?【10倍速映像】

山中のコンクリート壁面で3匹見つけたキセルガイの一種のうち、単独行動している個体に次は注目しました。
コンクリート壁を覆っていた雑草を私が取り払ったので、キセルガイは直射日光と乾燥を嫌って一目散に壁を下りたのです。
苔むした側溝の縁に達すると、今度は右へ右へと移動して行きます。
重そうな殻をぐいぐい引きずって歩きます。
後半は微速度撮影に切り替えたので、10倍速の早回し映像をご覧下さい(@1:09〜)。
途中から、大きさの比較として一円玉(直径20mm)を横に並べています。
最後に静止した場所は近くに苔が生えていて、湿気や餌があるのでしょう。
長距離移動で疲れてしまったのかな?

キセルガイの飼育にも興味があるのですけど、この時期は他にも色々と手を広げ過ぎてしまい、余力がなくて採集を断念しました。

実はこの日、コンクリート壁面の穴に営巣したクロマルハナバチの巣を発掘しました。
排水口から掘り出した土砂に混じってヒダリマキマイマイ(成貝)およびキセルガイの幼体(稚貝)を一匹ずつ見つけました。


【追記】 私の記憶違いでした。ヒダリマキマイマイは別日に(8日前)クロマルハナバチが営巣していた穴の中から発見。
排水口にたまたま迷い込んだだけかもしれませんが、分解者である蝸牛やキセルガイが栄養価の高いマルハナバチの古巣に誘引されたのだとすれば面白いなと思いました。



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