2016/12/27

ニホンハッカの花蜜を吸うミカドトックリバチ



2016年9月中旬

湿地帯に近い道端に咲いたニホンハッカの群落でミカドトックリバチEumenes micado)が訪花していました。
性別は?
私がこの辺りで見かけるミカドトックリバチは腹部上部の側面に黄紋(黄色い点)がいつも無いのですけど、個体変異なのですかね?(別種の可能性は?)※追記参照
花の上に潜んで待ち伏せしていたカニグモ科のクモとニアミスするも、体格で劣るクモは蜂を狩るどころか迷惑そうでした。

吸蜜の合間に蜂は近くに生えたツルマメの葉に止まって翅を休め、身繕いしています。



※【追記】
虫Navi掲示板にて問い合わせたところ、tsukiさんより以下の回答を頂きました。これで一安心。
写真のミカドトックリバチですが季節によっても斑紋の大小に変異があるようですので大丈夫かと思います。


2016/12/26

キセルガイの徘徊と交尾行動?【10倍速映像】



2016年9月上旬・午後14:40〜15:13

峠道の法面を補強するコンクリートの土留でマルハナバチの営巣地を定点観察するついでにキセルガイの一種を見つけました。
道端の側溝に繁茂する下草をかき分けたら、3匹のキセルガイが壁面に付着していたのです。
コンクリートの石灰分を好むのでしょうか?
現場の標高は645mで、コンクリート壁面は北東を向いています。
直射日光と乾燥を嫌ったキセルガイが下に向かってゆっくり移動を始めたので、微速度撮影してみました。
10倍速の早回し映像をご覧下さい。
愛機FZ300のジオラマモードで微速度撮影すると、チルトシフト効果でミニチュアの玩具のようなコミカルな動きになります。

3匹のうち、行動を共にしている2匹に注目しました。
個体bはaの細長い殻にしがみついていました。
aはbを背負ったまま左斜め下へ移動して行きます。
2匹分の重力がかかるために、cよりも移動速度が速いです。
abが這った軌跡には粘液で濡れた線が斜めに残りました。

後半は通常のHD動画に切り替えてリアルタイムの動きを記録してみます。(@2:07〜)
実際の動きも結構速いことがお分かり頂けるでしょう。
左斜め下に向かってひたすら移動を続けています。
この2匹は交尾中なのですかね?
キセルガイを観察するのがなにしろ初めてなので、その生態についてまるで疎いのです。
キセルガイの種類も見分けられませんが、2匹ともほぼ同サイズの成貝でした。
殻は左巻きです。
キセルガイもカタツムリと同様に雌雄同体らしいのですが、その交尾はヒダリマキマイマイ(蝸牛)の交尾と似ているのでしょうか? (※追記参照)
交尾中のカタツムリで見られるはずの恋矢やペニスは今回見ていません。(見逃した?)
微速度撮影よりも、キセルガイの接触部分を接写すべきでした。

互いに殻同士が引っかかって追い越せないだけのような気もしてきました。
おんぶしているように見えるときも、ヒッチハイクのように只乗りしているだけかもしれません。
2匹が同じ方向に進んでいるので、いつまで経っても離れません。
下の個体が壁面を離れ上の個体の殻を這い始めました。
2匹分の体重を支えつつ力強く移動。

最後は側溝の縁に達して落ち着きました。
適度な湿り気のある場所を好むのでしょう。

つづく→3匹目の動向

【参考ブログ】

キセルガイ
・みんな、あいしてる:キセルガイさんたちの結婚?

高尾山国有林巡視日誌(47)
・北のフィールドノート:エゾコギセル (キセルガイ)の交尾
・かたつむりが好き:今日の煙管貝



※【追記】
野島智司『カタツムリの謎: 日本になんと800種! コンクリートをかじって栄養補給!?』によると、
陸にすむキセルガイの仲間は、むしろ左巻きが多いという特徴があります。細長い殻をもつキセルガイの交尾は、平べったい殻をしたカタツムリの交尾とは異なり、お互いに向き合わず、同じ向きで交尾します。そのため、巻き方が異なっても交尾をするための構造上の問題が生じず、左巻きのものが増えていくという進化が比較的起こりやすいと考えられています。 (p57より引用)


雑草に覆われた側溝を見下ろす。奥がコンクリートの壁
除草すると壁面に3匹のキセルガイが現れた。
一円玉(直径20mm)を並べる

クロマルハナバチのコロニーの活動【HD動画&ハイスピード動画】



2016年6月下旬・午後14:59〜15:33

クロマルハナバチの巣:定点観察#6

▼前回の記事 
クロマルハナバチ♀の帰巣と出巣【HD動画&ハイスピード動画】

峠道沿いのコンクリート土留の排水口に営巣したクロマルハナバチBombus ignitus)のコロニーを12日ぶりに見に行きました。
梅雨の大雨でも排水口内の巣が流されていなくて一安心。
下の側溝に雑草が繁茂し始め、巣穴の一つ隣の排水口はアカソの群落で隠れていました。
撮影に邪魔になったら草刈りが必要かもしれません。
スズメバチやアシナガバチのように、クロマルハナバチも巣穴周囲で飛行経路の邪魔になる雑草を自ら噛み切る可能性はあるのでしょうか?


いつものように巣穴の手前に三脚を立てて、飛び交うワーカー♀を動画に記録します。
通常のHD動画では一瞬の出来事です。
すぐに240-fpsのハイスピード動画に切り替え、スローモーションで記録します。(@0:05〜)
帰巣する蜂の中には空荷で戻る個体もいれば、後脚の花粉籠に白い花粉団子を付けて巣に搬入する個体もいます。
個体識別はしていませんが、3匹連続で帰巣したので、このコロニーには少なくとも3匹のワーカー♀が羽化済みであることが分かりました。
出巣の直後に加速して飛び去る様子が録画されていました。
また別の個体では、出巣直後に巣口に生えた草の葉に掠って空中で体勢を乱す面白映像が撮れていました。

巣に出入りするワーカー♀の中に、コマルハナバチにしては大型の個体を目撃するようになりました。
クロマルハナバチだろうとようやく確信できたものの、今回は採集を見送りました。
平地で見かけるクロマルハナバチが山地よりも大型なのは、平地の方が蜜源の花が多く咲いていて栄養状態が良いためですかね?

つづく→#7:巣口周辺の雑草を避けて飛ぶクロマルハナバチ♀【HD動画&ハイスピード動画】



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