2016年9月上旬・午後14:40〜15:13
峠道の法面を補強するコンクリートの土留でマルハナバチの営巣地を定点観察するついでにキセルガイの一種を見つけました。
道端の側溝に繁茂する下草をかき分けたら、3匹のキセルガイが壁面に付着していたのです。
コンクリートの石灰分を好むのでしょうか?
現場の標高は645mで、コンクリート壁面は北東を向いています。
直射日光と乾燥を嫌ったキセルガイが下に向かってゆっくり移動を始めたので、微速度撮影してみました。
10倍速の早回し映像をご覧下さい。
愛機FZ300のジオラマモードで微速度撮影すると、チルトシフト効果でミニチュアの玩具のようなコミカルな動きになります。
3匹のうち、行動を共にしている2匹に注目しました。
個体bはaの細長い殻にしがみついていました。
aはbを背負ったまま左斜め下へ移動して行きます。
2匹分の重力がかかるために、cよりも移動速度が速いです。
abが這った軌跡には粘液で濡れた線が斜めに残りました。
後半は通常のHD動画に切り替えてリアルタイムの動きを記録してみます。(@2:07〜)
実際の動きも結構速いことがお分かり頂けるでしょう。
左斜め下に向かってひたすら移動を続けています。
この2匹は交尾中なのですかね?
キセルガイを観察するのがなにしろ初めてなので、その生態についてまるで疎いのです。
キセルガイの種類も見分けられませんが、2匹ともほぼ同サイズの成貝でした。
殻は左巻きです。
キセルガイもカタツムリと同様に雌雄同体らしいのですが、その交尾はヒダリマキマイマイ(蝸牛)の交尾と似ているのでしょうか? (※追記参照)
交尾中のカタツムリで見られるはずの恋矢やペニスは今回見ていません。(見逃した?)
微速度撮影よりも、キセルガイの接触部分を接写すべきでした。
互いに殻同士が引っかかって追い越せないだけのような気もしてきました。
おんぶしているように見えるときも、ヒッチハイクのように只乗りしているだけかもしれません。
2匹が同じ方向に進んでいるので、いつまで経っても離れません。
下の個体が壁面を離れ上の個体の殻を這い始めました。
2匹分の体重を支えつつ力強く移動。
最後は側溝の縁に達して落ち着きました。
適度な湿り気のある場所を好むのでしょう。
つづく→3匹目の動向
【参考ブログ】
・キセルガイ
・みんな、あいしてる:キセルガイさんたちの結婚?
・高尾山国有林巡視日誌(47)
・北のフィールドノート:エゾコギセル (キセルガイ)の交尾
・かたつむりが好き:今日の煙管貝
※【追記】
野島智司『カタツムリの謎: 日本になんと800種! コンクリートをかじって栄養補給!?』によると、
陸にすむキセルガイの仲間は、むしろ左巻きが多いという特徴があります。細長い殻をもつキセルガイの交尾は、平べったい殻をしたカタツムリの交尾とは異なり、お互いに向き合わず、同じ向きで交尾します。そのため、巻き方が異なっても交尾をするための構造上の問題が生じず、左巻きのものが増えていくという進化が比較的起こりやすいと考えられています。 (p57より引用)
雑草に覆われた側溝を見下ろす。奥がコンクリートの壁 |
除草すると壁面に3匹のキセルガイが現れた。 |
一円玉(直径20mm)を並べる |
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