2015年9月下旬
アカオニグモ♀の定点観察#4
垂直円網の縦糸を張り終えたアカオニグモ亜成体♀(Araneus pinguis)はタニウツギの葉裏の隠れ家で休息しています。
作業中にクモを脅かした覚えはないので、身の危険を感じて逃げたのではありません。
消耗した糸腺が回復するのを待っているのでしょうか?
それとも、網の完成を夜明けに合わせるための時間調整なのでしょうか?
午前4:02、ようやくクモが隠れ家から出て造網を再開しました。
放射状の縦糸を追加しています。
途中から赤外線投光機を点灯したらクモの糸がくっきり見えるようになりました。
網の中心(甑)から螺旋状に足場糸を張り始めたのですが、途中で縦糸を付け足しました。
これで縦糸の張力のバランスが取れたようで、再び足場糸の続きを反時計回りに張り進めます。
上の枠糸付近に達すると少し休憩してから、今度は逆の時計回りで粘着性の横糸を丹念に張り始めました。(@16:05〜)
不要になった足場糸を歩脚で切りながら横糸を張り進めます。
横糸を螺旋状に張る回転の向きは決して一定ではありませんでした。
初めのうちは一周せずに途中で引き返し(回転の向きを変え)、一筆書きで振子運動のように横糸を張っていました。
(→反時計回り→時計回り→反時計回り→時計回り→反時計回り→時計回り→反時計回り→時計回り→反時計回り)
この映像では最後まで一度も1回転していません。
午前3:58に測った気温は9.6℃。
【↑おまけの動画】
オリジナルの素材はあまりにも長い(36:02)ので、6倍速の早回し映像に加工してみました(6:44)。
下の写真は動画の後に撮りました。(4:39〜4:40 am)
つづく→#5:夜明けに垂直円網の横糸を張るアカオニグモ♀【蜘蛛:暗視映像】
2015年7月下旬
山際の休耕地の草刈りされた部分でオオモンクロクモバチ(旧名オオモンクロベッコウ;Anoplius samariensis)がウロウロと徘徊していました。
獲物を探索中の♀ですかね?
いつか狩りの瞬間が撮れることを期待して、見つける度にまめに動画に撮るようにしています。
最後は飛び去り見失いました。
2015年9月下旬
アカオニグモ♀の定点観察#3
深夜3:00に現場に着くと、晴れた星空が広がり月は沈んだ後でした(月齢8.8)。
午前3:03に赤外線の暗視カメラで撮影を始めたときには、タニウツギの葉裏に作られた巣(隠れ家)にアカオニグモ亜成体♀(Araneus pinguis)は潜んでいました。
日中に獲物を捕らえた円網は既に取り壊されていて、枠糸と最小限の縦糸のみが残されていました。
殆ど何もないスカスカの網にピントを合わせて撮るのはとても難しい…。
午前3:26、遂にクモが隠れ家を出て造網を始めました。
今か今かと待ち構えた私が隠れ家のクモに白色LEDライトを何度も照射したので、夜明けが近いとクモが勘違いした可能性があるかもしれません。
(虫の目に見えにくい赤色ライトを使うべきなのですが、最近フィールドで紛失してしまいました。)
非粘着性の縦糸を一本張り終える度にクモは必ず甑で網の縦糸を歩脚で引き締め、全体の張力のバランスを測ってから次にどの方向に縦糸を張るか決めているように見えます。
縦糸を360°全方向に張るわけだが、順番に張っていってはこしきにかかる負荷が偏ってしまうので、こしき上で回転しながらすでに張られた様々な方向の縦糸を前脚で引っ張って、最も張力の低い方向に向かって縦糸を張る。(『クモを利用する策士、クモヒメバチ: 身近で起こる本当のエイリアンとプレデターの闘い 』p80より)
このまま一気呵成に造網するのかと思いきや、縦糸を張り終えたクモは隠れ家に戻ってしまいました。
(クモを驚かすようなことは何もしていません。)
このときクモは、甑から隠れ家まで信号糸を張っています。
天敵が少ないはずの夜間も一休みする際には甑に占座するのではなく隠れ家に戻るとは用心深いですね。
夜はコウモリの捕食圧があるのでしょうか?(※追記参照)
気象条件:
横の地面で測った気温は午前3:15で14.1℃、湿度68%。
午前3:37には11.2℃、83%でした。
つづく→#4:夜中に垂直円網の足場糸と横糸を張るアカオニグモ♀【蜘蛛:暗視映像】
【追記】
『クモの科学最前線』p64-65によると、
・コウモリ類がクモの天敵としてトップダウン効果を与えていることが示唆されている。
・クモを専門に食べるコウモリもわずかに報告されている。(しぐま註:海外の研究)
・クモ類に特殊化したコウモリはいるものの、コウモリ類にとっってクモ類が普遍的な餌資源とまではいえない。
・コウモリの飛翔する昆虫を捕食する習性は、同じく飛翔昆虫を専食する円網性クモ類にとって強力な資源競争相手になっている可能性は高い。