2013/08/23

ヒメクモバチ♀cが泥巣から羽化脱出する瞬間



2013年7月上旬・室温25℃

ヒメクモバチ羽化の飼育記録2

外は朝から雨が降ったり止んだりで蒸し暑い梅雨空です。
前回のヒメクモバチ♂b(旧名ヒメベッコウ;Auplopus carbonarius)が羽化して2日後、3匹目の新成虫が泥巣から羽化脱出してきました。

今回は動画の長撮りで記録してみました。
早回し映像ではなく等倍速(リアルタイム)です。
脱出開始時刻は07:48:54頃、微小の穴が開き始めました。
ちなみに一昨日の♂bが脱出を始めた時刻は07:57:16で、ほぼ一定しています。
どうやら朝に羽化する傾向があるようです。
ここ数日間、監視のため泥巣をLEDリングライトで煌々と照らし続けていたにも関わらず、朝に羽化するという固有の日周リズムを蜂が保っているという事は、泥巣の育房内は暗黒なのでしょう。
(明るさではなく気温の上下で大体の時間帯を知るのかもしれません。)

脱獄が完了した新成虫♀cは泥巣上を少し歩き回り、触角を掃除しています。
網室内の蜂を捕獲してみると体長も大きく顔が黒いので♀と判明。
やはり雄性先熟でした。
体長の性差(♂<♀)を反映して、今回の脱出口はこれまで2つの穴よりも一回り大きいです。
泥巣に開いた3つの脱出口の位置関係を見ると、育房が端から順に増築されたことを示唆しています。



さて、記録された映像をよく見てみましょう。
乾いた土壁を軟らかくするために蜂が中から水や唾液を吐き戻して濡らしているのだとしたら、泥巣を外から見て穴が開く部分が黒っぽく変色するはずです。
しかしそのような変化は見られず、単純に蜂が大顎で少しずつ土壁を削って脱出口を広げているようです。

これで私の予想は当たり、本に書いてあった説に対する反例が得られた!と思い、撮影の苦労も忘れて快哉を叫びました。

ヒメベッコウの成虫が壺から出てくる際、口から水を吐き出して、泥を柔らかくし、壁を破る。(『ファーブル写真昆虫記2:つぼをつくるかりうど』p40より)
ところが更に観察を続けると、事はそれほど単純ではありませんでした…。

ヒメクモバチ♀cの標本写真。

つづく→「ヒメクモバチ♂eが泥巣から羽化脱出する瞬間



ハシボソガラスの行水【野鳥】



2013年7月上旬

昼休みに住宅地の水溜まりでハシボソガラスCorvus corone)が何度も水浴びを繰り返していました。
「カラスの行水」を観察したのは初めてです。




2013/08/22

ヒメクモバチ♂bが泥巣から羽化脱出する瞬間【微速度撮影】

ヒメクモバチ羽化の飼育記録1

ヒメクモバチ♀(旧名ヒメベッコウ;Auplopus carbonarius)による造巣を観察してから6日後、営巣地を再訪して泥巣をタニウツギの葉ごと採集してきました。
この日は母蜂に出会えず。
泥巣のまま飼育して室内で羽化させてみます。



『ファーブル写真昆虫記2:つぼをつくるかりうど』p40に驚くべきことが書かれていました。

ヒメベッコウの成虫が壺から出てくる際、口から水を吐き出して、泥を柔らかくし、壁を破る。
すごーい、これは見てみたい!
でも、果たして本当でしょうか?
第一級の資料となる素晴らしい生態写真集ですが、この記述を読んでみた第一印象は眉唾だと思いました。
本にはヒメクモバチが脱出口から上半身を乗り出した写真が掲載されています。
しかし、私が知りたいのはその直前です。
自分の目で実際に見てみるまではちょっと信じられません。
幼虫時代に獲物として与えられた僅か一匹のクモから摂取した水分で事足りるでしょうか?
昆虫は羽化の際、翅脈に体液を送り込んで翅を伸ばし終わると、余った体液を肛門から排泄します。
ヒメクモバチもこの蛹便を利用して泥巣を中から濡らすというのなら私にも分かります。
しかし羽化した新成虫は体が充分固まるまで数日間、育房内に留まると考えられます。
ヒメクモバチは羽化液の排泄を我慢して脱獄するときまで体内に水分を蓄えておき、それを口から吐き戻すのでしょうか?
もちろん本当なら、それはそれで非常に面白い行動です。
ずっと気になっていたのでこの点を解明すべく、ヒメクモバチの新成虫が泥巣から脱出する瞬間をなんとか映像に記録したいと考えました。

羽化の前兆や脱出時刻、脱獄に要する時間などが分からないので、まずはインターバル撮影で監視してみます。

2008年7月の観察では、同じくタニウツギの葉裏に作られたヒメクモバチの泥巣を採集してから15日目以降、成虫が続々と羽化し始めました。

2009年にはススキの葉裏から泥巣を採取し、育房から取り出した蜂の子を幼虫から成虫になるまで飼育しています。
育房内で蜂の子が育って羽化するまでの期間の目安がこれで分かりました。



2013年7月上旬

さて、採集から10日後の早朝、一匹の成虫aが羽化していることに気付きました。
中央の育房に脱出孔が一つ開いています。
黒い小蜂が網室のネットに止まっていたのですが、不手際で逃げられてしまいました。
残念ながら性別を確認していません。

慌てて微速度撮影の準備に取り掛かりました。
するとほどなく、2匹目の蜂が羽化してきました。
10秒間隔のインターバル撮影した30枚の連続写真(07:54 am - 07:59 am)を素材に早回し映像(スライドショー)を制作しました。
うっかり室温を測り忘れましたが、外は雨が降ったり止んだりで非常に湿度が高く蒸し暑い日でした。

AM 07:57:16 先に羽化した育房aの隣に微小の脱出口が開き始めました。
AM 07:57:46 穴から蜂の顔が覗きました。
AM 07:58:36 一気に脱出した蜂は、泥巣の上にしばらく止まっています。

羽化した蜂は絹糸で紡いだ薄い繭をまず食い破り、続いて乾いた土壁に脱出口を開けたようです。
映像では泥巣の中から脱出口を水分で濡らしているようには見えませんが、私の先入観によるものかもしれません。
穴を開け始めてから1分もかからずに脱出完了することが分かりましたけど、10秒インターバル撮影では間隔が開き過ぎてもどかしいです。
残念ながら決定的瞬間が記録されているとは言えません。
コマ撮り間の映ってない最後の一瞬で唾液で土壁を湿らせて脱出した可能性は否定できません。
とても小さな蜂なので、泥巣を中から大顎でガリガリ齧る音は特に聞き取れませんでした。

2番目に羽化した蜂は顔が白く腹端に白点があることから馴染みのナミヒメクモバチ♂(Auplopus carbonarius)と判明しました。
羽化した♂bは泥巣上を歩き回り始めました。
多くのカリバチは雄性先熟です。
先に羽化した♂が交尾相手の♀が羽化してくるのを外で待つ戦略なのでしょう。
今度は無事に捕獲成功!

ヒメクモバチ♂bの標本写真。

これから羽化してくる育房はまだ残っているので、今度はインターバル撮影ではなくて動画で記録することにします。

つづく→「ヒメクモバチ♀cが泥巣から羽化脱出する瞬間


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