2008年7月下旬
キアシナガバチ(Polistes rothneyi)創設女王がオオヒメグモに殺されてから25日後。
給餌を打ち切られた幼虫の飢餓耐性は驚異的です。
採集した巣aを記念に保存するには、中の幼虫が腐り始める前に取り除く必要があります。
巣房数35室から幼虫21匹を摘出する作業を3倍速再生でご覧下さい。
余力があれば人手で給餌して成虫まで育つか試したかったです※。
※ 飼育経験者によると、蜂の子はキャットフードなども食べてくれるそうです。
あるいは未経験ですけど、摘出した蜂の子を調理して食べてみるとか。
今回はちょっとそんな気にはなれませんでした。
シリーズ完。
2008年7月中旬
キアシナガバチ(Polistes rothneyi)創設女王aが死んで2週間後。
彼女が軒下に並べて作っていた複数の初期巣の一つ(巣b:育房11室)の様子です。
アシナガバチの幼虫は巣房内に固定されており、自力で歩き回ったり採餌したりできません。
そのため世話をしてくれる成虫がいなければ餓死する他ありません。
営巣地を探している他の女王(巣の逃去移動はよくある)がこの巣を乗っ取り継母として育てたりしないかなと期待して(社会寄生)、しばらく静観していたが駄目でした。
天敵のアリやヒメスズメバチに捕食・破壊されそうなので、諦めてこの巣bを採集しました。
せめてワーカーが一匹でも羽化してくれれば、死んだ女王の代わりに育児し自ら産卵を始める可能性もあったはずです。
しかし繭が一つも出来ないうちに給餌を打ち切られてしまったのです。
無念。
つづく→シリーズ#17
【追記】
『雄太昆虫記 ぼくのアシナガバチ研究所日記』p15によれば、継母に育てさせることが可能らしい。
強風で落ちてしまったコアシナガバチの巣を同種の別の創設女王の巣に瞬間接着剤で合体させると、受け入れて幼虫の給餌や巣の修復を行うそうです。
更に驚くことに、異種のアシナガバチの幼虫でさえも女王蜂は受け入れて育児するそうです。(巣を強制的に合体させることでセグロアシナガバチの孤児幼虫をキアシナガバチ女王に育てさせた。p109)
小学生の柔軟な発想力と実行力に感服です。
2008年7月上旬
軒下に営巣したキアシナガバチ(Polistes rothneyi)初期巣群の定点観察。
この日は巣の下でいくら待っても女王が不在でした。
嫌な予感がして辺りを探すと、同じ軒下にオオヒメグモ♀(Parasteatoda tepidariorum)が張った不規則網に女王がぶら下がり非業の死を遂げていました。
外役から帰巣する度に暫く軒下でうろうろ飛び回っていたので、遂に網に絡まってしまったのでしょう。
回収した死骸は腹端から毒針が伸びていました。
個体標識してこの女王に情が移っていたのでショック…。
こんな形(バッド・エンディング)で長期観察が中断するのは残念ですが、これも自然界の厳しい生存競争。
単独営巣期の女王の暮らしは危険が一杯です。
初ワーカーが羽化するまでの死亡率が最も高いらしい。
「自分の巣にちゃんと帰るまでが遠足です。」
さて、巣に残された子供達(みなしごハッチ)の運命は如何に。
オオヒメグモはさすが全世界で繁栄しているクモだけあって、その網は地味ながら恐るべき捕獲性能を誇ります。
アシナガバチのパワフルな羽ばたきでも強力な粘着力から逃れられなかったようです。
私も油断していました。
蜂の観察のために軒下のクモの網を払っておくべきでした。
つづく→シリーズ#16