2011/01/23

ヒメベッコウ♀の育房閉鎖2



2009年6月下旬
(承前)
ヒメクモバチ♀(旧名ヒメベッコウ;Auplopus carbonarius)は曲げた腹端を左官作業の鏝代わりに使い、小刻みに叩きつけるようにして泥巣の表面をならします。
やがて作業時間が約30秒と短くなり、新しい工程に入りました。
外出すると泥団子を咥えて戻って来るようになりました。
巣材の再利用では足りなくなったのだろう。
巣材採集地や水飲み場の位置は結局突き止められませんでした。
往復時間が短いので、ごく近い所にあるはずです。
帰巣する時は必ず葉の上から裏側を伝い降りて来ます。
複雑な植生に紛れた巣の位置をどのように記憶し定位しているのか不思議です。
帰巣時に♀蜂が毎回示す探し方および迷い方を眺めていると、蟻のようにフェロモンで印を付けているとは考え難い気がします。
おそらく視覚に頼って記憶しているのだろう。
育房の閉鎖が完了すると♀は満足気に点検し、ススキ葉を伝って巣の辺りを徘徊。
営巣行動を一通り見届けてから同定のため♀を採集し※、泥巣と一緒に持ち帰りました。
昨年の観察経験を生かして充実したフィールドワークが出来ました。
これから育房を解体して中の様子を調べ、蜂の子の飼育に挑みます。
続編をお楽しみに)

※ ♀の帰巣直後に捕虫網を振ったものの逃げられました。
暫く巣に寄り付かなくなりましたが、諦めずに粘って待ちました。
ようやく戻ったところを御用。
 


ヒメベッコウ♀の育房閉鎖1



2009年6月下旬

ベッコウバチ(クモバチ)類が一つの育房に貯食するクモの数は常に一匹だけとされています。
このヒメクモバチ♀(旧名ヒメベッコウ;Auplopus carbonarius)も産卵後は直ちに育房の閉鎖作業に取り掛かりました。
初めは外で水だけ飲んできて、泥巣の不要部を削り取り巣材を再利用しているようです※。
吐き戻した水で湿らせながら大顎で土を齧り泥団子を作ると、腹部末端背側を鏝(こて)として育房の入り口を塞ぐ左官作業を進めます。
2~3分間隔で帰巣します。
つづく

※ 育房閉鎖の初めに巣材を再利用する行動は、2008年コンクリート壁面に営巣していたヒメベッコウsp.♀(同一種かどうか不明)でも観察しています。
 


ヒメベッコウ:クモの搬入と産卵



2009年6月下旬

泥巣の横で蜂の帰りをひたすら待っていると、獲物を咥えて戻って来たヒメクモバチ♀(旧名ヒメベッコウ;Auplopus carbonarius)が隣のススキの葉にいることに気づきました。
ようやく狩りに成功したのだろう。
葉を上り下りして自分の泥巣を探し歩きます。
クモを仰向けにして馬乗りに跨り、糸疣を咥えて引きずるように運びます。
短い距離ならクモを持ったまま飛ぶことができます。
自分の巣がススキの葉の裏だということは覚えているようです。
同じ葉を繰り返し上り下りして迷っています。
ススキの葉の水平部分で一休み。
獲物はフクログモ科のようで、歩脚は左右の第四脚を根元から2本切り落とされています(-L4R4)。
ようやく泥巣に辿り着くと、空の育房へすぐに搬入しました。
まず自分が後ろ向きに育房へ入り、クモを引きずり込みます(クモは顔を入り口に向けた状態)。
外に出て身繕い。
顔を入れて点検すると、次は腹端を差し込んで産卵しました。
産卵後、巣上で少し身繕いするとすぐに離巣。
完全ノーカットでお届けします。
この日は接写の大敵である風が無くて助かりました。
つづく
 


ランダムに記事を読む