2023年6月下旬
ニホンアナグマ(Meles anakuma)の母子がどこか別の巣穴に転出すると、それまで使われていた営巣地(セット)にホンドタヌキ(Nyctereutes viverrinus)が夜な夜な侵入するようになりました。
これまでよりも出現頻度が上がっています。
アナグマが子育てしている間は特に♀が殺気立っているので、近所のタヌキも遠慮してセットには近寄らないようにしていたのでしょう。
あるいは、アナグマがあちこちに尿による縄張りマーキングを繰り返すことで、まるで結界を張ったように有効だったのでしょう。
嗅覚の鋭いタヌキは、アナグマの匂いが巣口周辺で日に日に薄れていることを敏感に嗅ぎ取り、日に日に大胆に振る舞うようになっています。
シーン1:6/26・午前3:22・気温15℃(@0:00〜)
タヌキが暗い夜にアナグマの営巣地に来たのは、これが初めてです。
これまでタヌキは明るい日中または薄明薄暮の時間帯にこっそり訪れていて、アナグマの活動が活発になる夜には決して現れませんでした。
夜は営巣地(セット)に近づこうとするタヌキを巣穴の主であるアナグマが(吠え立てながら?)積極的に追い払っていたのかもしれません。
深夜未明に現れたタヌキは、左の巣口Lへ真っ直ぐ向かい、そのまま迷いなく巣L内に侵入しました。
まさに「同じ穴の狢 」という諺通りです。
アナグマの空き巣をタヌキがこのまま乗っ取るのかな?
シーン2:6/26・午前3:22・気温16℃(@0:25〜)
別アングルのトレイルカメラでも、タヌキの巣穴L侵入シーンがしっかり撮れていました。
しかしカメラの設置アングルがいまいちで、手前の巣口Lがしっかり写っていません。
シーン3:6/26・午前3:24・(@0:25〜)
カメラの起動が遅れてしまいましたが、1分20秒後に右へ立ち去るタヌキの後ろ姿が写っていました。
タヌキは巣穴Lに居座ったり乗っ取ったりしないで、内見しただけで帰ったようです。
シーン4:6/27・午前0:36・気温19℃(@0:45〜)
翌日の深夜にもタヌキがアナグマの旧営巣地にやって来ました。
巣口Rを覗き込んでから、蚊にでも刺されたのか右の脇腹を舐めて毛繕いしています。
今宵は奥の巣穴Rへ慎重に潜り込みました。
アナグマの母子が転出した後、ヘルパー♂が取り残されたと思ったのですが、ヘルパー♂も不在がちなのかもしれません。
シーン5:6/27・午前0:36・気温19℃(@1:43〜)
別アングルの公開映像でもタヌキの入巣Rシーンが撮れていました。
前夜のタヌキと同一個体かどうか、個体識別ができていません。
巣穴の主であるアナグマ(ヘルパー♂)が不法侵入者を追い払うために飛び出してこないということは、留守なのでしょう。
独りになったヘルパー♂はタヌキを怖がって居留守を使っている可能性はどうでしょう?
タヌキが巣口Rlの横で地面の匂いを嗅いで方向転換しながら排尿マーキングしたように見えたのは、私の気のせいでしょうか?(@2:21〜)
排尿姿勢から見ると、片足を上げなかったので♀のようです。
タヌキが潜り込んだのは巣穴Rrでした。
この後、タヌキが出巣Rするシーンが撮れていません。
単に撮り損ねたのか、それともタヌキが巣R内に居座ったのか、不明です。
シーン6:6/28・午前3:41・気温20℃(@2:43〜)
翌日の深夜未明、土砂降りの豪雨が降りしきる中、タヌキが登場。
身震いしてから慎重に巣穴Rlの中に潜り込みました。
この後、タヌキが出巣Rするシーンが撮れていません。
単に撮り漏らしたのか、それとも巣R内に居座ったのか、不明です。
一時的な雨宿りではなく、いよいよアナグマの空き巣をタヌキが本格的に乗っ取ったような気がしてきました。
シーン7:6/29・午前5:12・気温20℃(@3:14〜)日の出時刻は午前4:16。
翌日の早朝、雨は止んでいました。
やって来たタヌキが奥の巣口Rを覗き込んで匂いを嗅いだものの、中には入らずに左奥の二次林へ立ち去りました。
登場するタヌキの個体識別ができるようになれば、より面白くなりそうです。
【追記】
アナグマ関連の本を読んで「幼獣が生まれた巣穴から母子はやがて引っ越す」という予備知識があったので、そのように解釈しているのですが、トレイルカメラの電池切れで肝心の転出行動を記録できていません。
したがって、タヌキが力づくでアナグマの巣穴を乗っ取り占拠したという可能性も排除できません。
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