2024/03/05

丸太の表面から繊維をかじり取って巣材を集めるセグロアシナガバチ♀

 

2023年6月下旬・午後12:05頃・くもり 

雪国で冬に屋根から雪下ろしをすると、1階の窓が重い雪に埋もれて破損する恐れがあります。
それを防ぐため、冬になる前に窓を雪囲いする必要があります。 
この平屋建ての古い民家では、細い丸太を何本か軒下の外壁に立てかけ、その支柱に釘で板を横に打ち付けて窓を守る雪囲いとしています。 
春になって採光のため板を数枚撤去した後も、骨組みはそのまま残してありました。 

ある日私が通りかかると、1匹のセグロアシナガバチ♀(Polistes jokahamae)が軒下の雪囲いから巣材集めをしていました。 
初めは横板の端をかじっていたのですが、材質が固くて表面の繊維がうまく採取できなかったようです。 
少し飛び回ってから、支柱の細い丸太に止まり直しました。 
今度は横を向いてくれたので、大顎で繊維を齧り取る様子がしっかり観察できました。 
毛羽立った繊維を上から下に向かって薄く剥ぎ取っていきます。 

同定の識別ポイントである前伸腹節が側面からは見えませんが、肩が茶色ですし、腹部に波打った褐色紋があることから、キアシナガバチではなくセグロアシナガバチだろうと判断しました。 
セグロアシナガバチ♀の巣材集めは初見です。 
時期的に創設女王とワーカー♀の可能性が両方ありますが、体長を測ってないので見分けられません。 

セグロアシナガバチ♀は、せっかく集めかけた巣材を惜しげもなく前足で払い落とすように捨ててしまいました。 
それまでも材木の表面の繊維をあちこちで試しにかじり取っていました。
巣材となるパルプの質に納得がいくまでこだわりを示すアシナガバチを見たのは初めてかもしれません。 
巣のどの部分を作るための巣材なのか、確かめられなかったのが残念です。
丸太の表面をタールで防腐処理してあるのが気に入らないのかな? 
しかしアシナガバチは天敵のアリが巣に来ないように、自ら分泌したタール状の物質を巣柄や巣盤の天井に塗りつけます。

セグロアシナガバチ♀は丸太で一度下向きになったものの、再び上向きに戻って場所を少し変え、巣材集めを再開しました。 
齧り取った繊維を噛みほぐして前足で丸く整形すると咥え直し、追加の巣材集めに戻ります。 

前脚で顔を拭ってから、巣材の団子を抱えて飛び立ちました。 
どこか近くに営巣地がありそうですけど、蜂を見失ってしまいました。 
丸太のあちこちに蜂が繰り返し齧った跡が残っているということは、お気に入りの場所なのでしょう。 
同一個体が巣材集めに戻って来るまで、ここでしばらく待てば良かったですね。 
用事があって先を急いでいた私は、1回で観察を打ち切りました。 


【追記】
この細長い真っ直ぐな丸太は、おそらく間伐された若いスギと思われます。
余計な横枝を切り落とし、ゴワゴワした樹皮をきれいに剥いでから丸太として利用されます。
したがって、今回セグロアシナガバチ♀が巣材としてかじり取った丸太表面の繊維を樹皮と呼ぶのは間違いですね。
樹皮直下の繊維状の組織を何と呼ぶのか、正式名称を知りません。(形成層?)
靭皮繊維と呼ぶらしい。


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