2022/10/06

腐朽材に産卵するヨツスジハナカミキリ♀

 

2022年7月中旬・午後12:50頃・晴れ 

里山の湖畔に朽ちた丸太が並んでいました。 
伐採した枯木を玉切りにして一箇所に集めた木場のようです。 
そこへヨツスジハナカミキリ♀(Leptura ochraceofasciata)が飛来しました。 
(映像はここから。) 

長い触角で辺りを探りながら腐朽材の上をせかせかと歩き回り、立ち止まると腹端から産卵管を伸ばしました。 
産卵行動を始めたようです。 
初めは撮影アングルがいまいちだったのですが、ヨツスジハナカミキリ♀が少し歩いて移動してくれたので、産卵管がよく見えるようになりました。 
尖った産卵管を腐朽材に突き立ててグリグリ動かし、刺しています。 
♀は腐朽材のあちこちで産卵を繰り返していました。 
本種の産卵行動を観察するのは初めてです。

産卵を終えたヨツスジハナカミキリ♀が再び丸太の上を徘徊し始めました。 
急に鞘翅をパカッと広げると、飛び立ちました。 
飛び立つ瞬間を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。 
私に向かって飛んできたので、咄嗟に手掴みしたら、あっさり捕獲することができました。
体長はXmm。 

鈴木知之『新カミキリムシハンドブック』でヨツスジハナカミキリを参照すると、
成虫は6〜8月に出現し、本州では両部やノリウツギ(中略)の花を訪れる他、朽ちた広葉樹の立ち枯れや倒木にも集まる。幼虫は腐朽材を食べて成長する。腐朽タイプを問わず、褐色腐朽材・白色腐朽材のどちらからも見つかる。幼虫で越冬し、春に材内で蛹化・羽化する。(p41より引用)
ちなみに、オオヨツスジハナカミキリという別種がいるらしい。 
ヨツスジハナカミキリとは別属で、幼虫の食樹が違います。 
今回の現場の周囲は雑木林で、スギやアカマツ以外の針葉樹(モミなど)を見かけたことはありません。


鈴木知之『朽ち木にあつまる虫ハンドブック』を紐解くと、「白色腐朽材内のヨツスジハナカミキリの前蛹」と題した写真が掲載されていました。
一般に朽ち木は、外見の色や状態によって3つに区別できます。腐朽タイプのちがいによって、それを利用する昆虫の種は微妙に異なります。(中略)

 

白色腐朽(白腐れ)
 白色腐朽菌には、カイガラタケやカワラタケなど多くの担子菌や、マメザヤタケなどの子嚢菌が知られています。広葉樹を腐朽させるものが多く、リグニンも分解するため、腐朽材の色は白っぽくなります。 (以上、p3より引用)

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