2016/11/23

巣穴に出入りするクロマルハナバチ♀の羽ばたき【ハイスピード動画】



クロマルハナバチの巣:定点観察#1


2016年6月上旬・午後14:51〜16:13

峠道の法面を補強する土留のコンクリート壁面に排水口が等間隔で並んでいます。
その穴の一つにマルハナバチが飛び込むのを目撃しました。
蜂の種類を同定するために、巣に出入りする一瞬を240-fpsのハイスピード動画で撮ってみました。
巣穴の前に三脚を立てて監視し、ひたすら長撮りを繰り返します。
マルハナバチの巣を見つけたのはこれが初めてだったので、とても嬉しく興奮しました。

出巣はほんの一瞬で、見逃しがちです。
帰巣する蜂は排水口を目掛けて左右に蛇行しながら飛んで来るようです。
巣口の苔に着陸すると、歩いて入巣します。

ひとつしかない巣穴に蜂が連続して帰巣したので、個体識別するまでもなく複数個体のワーカーが羽化済みであると分かります。
つまり創設女王による単独営巣期は既に終わり、ワーカー♀との共同営巣期に入っていました。

採餌してきたワーカー♀は後脚の花粉籠に白い花粉団子を付けており、巣にせっせと搬入しています。
空荷で帰巣する個体もたまには居ます。
この時期の蜜源植物は何でしょう?
峠道を歩いてみた限りでは(ラインセンサス)、山中に咲いている花といえば道端のハルジオンぐらいしか見かけませんでした。
蜂がどこで採餌しているのか気になります。
しかし出巣直後の蜂がどちらに向かったかというのは、もしかすると障害物のカメラを避けただけで、深い意味はないのかもしれません。
巣穴の前に三脚や私が長時間立っているせいで、蜂の飛行経路を邪魔してしまった可能性がありますね。(観察者効果

直径7cmの排水口は苔むした土で半ば塞がれていました。
排水口に溜まった土砂や苔から雑草が芽生えています。
残念ながら穴の奥の様子は全く見えません。
これから梅雨になって大雨が降ったら排水口内の巣は水没の危機に陥るのではないかと心配です。
路面から排水口までの高さは21.5cm。
コンクリート壁の手前(穴の下)に掘られた側溝は乾いていました。
営巣地の標高は645mで、コンクリート壁面は北東を向いています。
午後は日陰になり、じっとしていると肌寒いぐらいでした。
逆に午前中は朝日を浴びて暖かいのかもしれません。

発見当日はクロマルハナバチBombus ignitus)なのかコマルハナバチなのか、しっかり見分けられませんでした。
クロマルハナバチにしては小柄に見えますけど、季節の初めに羽化した個体(early-worker)だからでしょう。
もうひとつ問題なのは、クロマルハナバチは平地に生息するという定説です。
傾向として、山地性のオオマルハナバチと棲み分けていると言われています。
雪国で標高645mの営巣地はどうなのか、興味があります。

もしコマルハナバチなら生活史が早く進行し、じきにレモン色の♂が羽化してくるはずです。
『日本の真社会性ハチ』によると、クロマルハナバチは巣を攻撃すると軽い攻撃がみられる一方で、コマルハナバチは巣を刺激してもほとんど攻撃がみられないそうです。(p210、p242より)
同定のために採集したいのですが、この時期にワーカーが一匹でも減るのはコロニーにとって打撃でしょう。
そこで採集はもう少し待って、定点観察に通うことにしました。

つづく→#2:クロマルハナバチ♀の定位飛行【ハイスピード動画】



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