2013年7月中旬
民家の庭木にヘクソカズラの蔓が巻き付いていて、クロマルハナバチ(Bombus ignitus)のワーカー♀複数個体が訪花していました。
蜂はヘクソカズラの悪臭を苦にすることも無く、花から花へせっせと飛び回っています。
採餌の様子をよく観察すると、花の根元を外から噛み切って蜜腺を直接舐めていました。
これはまさに穿孔盗蜜と呼ばれる行動です。
蜂が飛び去った後の花には盗蜜痕の穴が開いていました。
後脚の花粉籠に白い花粉団子を付けている個体もいますが、ヘクソカズラ以外の花から集めてきたことになります。
(クロマルハナバチは)マルハナバチの中でも舌が短く、花筒が短い花を好む。花筒に穴をあける盗蜜を行い、他のハチがあけた穴を二次利用することもある。(wikipediaより)
「ヘクソカズラ、盗蜜」でネット検索してみると、「ヘクソカズラ考」と題した興味深いブログを見つけました。
花の構造も写真付きで解説してくれています。
私も後日、ヘクソカズラの花弁を縦に裂いてみると、確かに毛が中に密生していることを確認しました。
この毛がアリによる盗蜜を防ぐために発達した物なら、正当訪花する真の送粉者は何者なのでしょうか?
ハエを誘引するにしては中途半端な悪臭のような気がします。(腐臭を発する植物が知られています。)※追記参照
別な日にヘクソカズラに訪花するヒメハナバチまたはコハナバチの一種を目撃しました。(映像なし)
そもそもアリが花に潜り込んでも受粉を助けてくれるのなら一向に構わない気がします。
むしろクロマルハナバチやクマバチによる穿孔盗蜜への対策を進化させるべきでしょう。
※【追記】
石井博『花と昆虫のしたたかで素敵な関係 受粉にまつわる生態学』によると、悪臭を放つヘクソカズラはハエ類を誘引する産卵基質擬態花ではないと明記してありました。
ヘクソカズラの嫌な匂いは、葉や茎を潰したときに出るものです。したがってヘクソカズラ特有の臭い匂いは送粉とは関係ありません。ヘクソカズラの花は比較的多くの花蜜を分泌しており、ハナバチ類やチョウの仲間がよく訪れます。(p170脚注より引用)
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