2013年7月上旬
ヒメクモバチ羽化の飼育記録5
泥巣から羽化脱出するヒメクモバチ(旧名ヒメベッコウ;Auplopus carbonarius)を観察するための撮影機材と飼育容器の全体をメッシュネットで覆い、手製の網室のようにしていました。
こうすることで、放置していても羽化した成虫を確実に生け捕りすることができます。
ペアリング(交尾)する相手が羽化してくるまで、捕まえた蜂に水と蜂蜜を与えておきました。
(少なくとも飲み水を与えないと僅か1日でヒメクモバチは死んでしまいます。)
この日に羽化脱出したばかりの♂eと前日に羽化した♀dとの交尾行動を観察してみました。
プラスチックの容器に同居させたら撮影の準備が整う前にあっという間に♂が♀に飛びついてマウントし、さっさと交尾してしまいました。
2009年に飼育観察した時のように蜂を炭酸ガスで麻酔してから同居させればよかったですね。
♀は全身真っ黒で地味な蜂ですけど、それに対して小柄な♂は顔が白く腹端背面に白点があるのが特徴です。
また今回初めて気づいたのですが、足の色に性差があるような気がします(♂の前脚および中脚が褐色、♀は黒色)。
♀に背後からマウントしたまま♂はときどき羽ばたいています。
交尾はすぐに終了し、ペアを解消した♂は触角を掃除しています。
しばらくすると再度♂が交尾を仕掛けるも、♀が暴れて逃げました。
♀の交尾拒否は何度も見られ、その場で激しく旋回して♂にマウントされないようにする行動も見られました。
ヒメクモバチの♀は生涯に一度しか交尾しないのでしょうか?
2009年の飼育観察では、近親交配ですけど同一ペアが続けて何度も交尾を行ないました。
今回はたまたま相性があまり良くないペアだったのかもしれません。
甲虫飼育用に市販されている昆虫ゼリーを与えて飼育すると、この♀dは羽化してから20日間、生存しました。
容器内の掃除を徹底してカビの発生を抑えられたらもっと長生きしたはずです。
以下の写真は♀dの標本です。
♂eの標本写真は前の記事で掲載済み。
▼つづく
「ヒメクモバチの泥巣は雨に弱い」は本当か?
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