2026/09/18

樹上でちぎり取ったコナラの若葉に付いていた虫を捕食するニホンザル♂

 

2025年5月下旬・午前10:05頃・くもり 

里山の山道を私が静かに登っていると、パッチ状に植林された スギ(杉)林でニホンザル♂(Macaca fuscata fuscata)と遭遇しました。 
樹上のニホンザル♂は、スギの幹の陰から顔を出して、私を見下ろしています。 
初めは逆光で猿の顔がよく見えませんでした。 
欠伸をしたのは、もしかすると犬歯を誇示して私を威嚇したつもりなのかもしれません。 
次に左手で頭を掻きました。 
胸に乳首が見えず、股間に薄いピンクの陰嚢が見えたことから、♂と判断しました。 
白っぽい毛並みの個体です。 

やがてニホンザル♂は、座っていたスギの横枝から立ち上がると、樹上で移動開始。 
隣の横枝に跳び移り、私の真上まで来て横枝に座りました。 
チラチラとさり気なく私を見下ろしています。 

樹上の猿は、スギの枝先から左手を伸ばすと、隣接するコナラの葉を数枚ちぎり取りました。 
そのままスギの横枝に戻り、採取したコナラの若葉を採食しています。 
食事の様子をよく観察すると、コナラの葉そのものを食べているのではなく、葉に付着した小さな虫(種名不詳)を丹念に指でつまんで捕食していました。 
調べた葉を下にどんどん捨てています。 

次に、ニホンザル♂は左上を見上げながら左手で左膝を掻きました。 
このとき、次の移動ルートを思案・検討していたようです。 
最後に、隣接するコナラやスギへと樹間移動を始めました。


【考察】 
コナラの若葉を食べても良さそうなのに、今回のニホンザル♂が口にしなかったのは意外でした。
その代わりに、コナラの葉に付着していた小さな虫を指で丹念に摘み取って食べていました。
捕食した虫の正体を見極められなかったのは残念です。
今思うと、ニホンザルが捨てたコナラの葉を拾って、詳しく調べるべきでしたね。

ひとつ思いついたのは、コナラの葉の表面にできた虫こぶ(虫えい)を食べたのではないかという仮説です。
Perplexity AIに訊いてみると、やや否定的な見解でした。

Q1: 5月下旬にコナラの葉に形成される虫こぶ(ゴール)はあるか?

A1: はい、5月下旬にコナラの葉に形成される虫こぶ(ゴール)はいくつか確認されています。代表的なものを以下に挙げます。

5月下旬にコナラの葉で見られる主な虫こぶ

ナラハタイコタマフシ

  • 形成者: ナラハタイコタマバチ(タマバチ科)
  • 形成部位: コナラ、ミズナラ、カシワなどの若葉
  • 形態: 葉の表と裏にほぼ同じくらい隆起し、両方の先端がやや平らになる球形の虫こぶ shizensanpo.seesaa
  • 出現時期: 6月中旬から出現するとされるが、5月下旬頃から形成が始まる可能性あり shokonooniwawamushizukushi

ナラハムレタイコタマフシ

  • 形成者: 不明(タマバチ類と推定)
  • 形成部位: コナラなどの葉
  • 形態: 球形の虫こぶが葉に複数集まって形成される shizensanpo.seesaa

補足

虫こぶ(ゴール)は、タマバエ類・タマバチ類・アブラムシ類などの昆虫やダニが植物組織に寄生し、植物ホルモンの分泌などを介して細胞分裂や形態形成に影響を与えることで形成されます 。コナラでは上記の他にも、ナラメカイメンタマフシ(枝端の芽に生じる)やナラハウラマルタマフシ(葉裏の主脈に生じる)なども報告されていますが、これらは出現時期がやや異なる場合があります 。 shokonooniwawamushizukushi

5月下旬のフィールド調査では、特にナラメリンゴフシが枝先に目立って観察されやすく、ナラハタイコタマフシナラハムレタイコタマフシも葉裏を中心に確認できる可能性があります。


Q2: ニホンザルが虫こぶを食べることはあるか? 樹上でニホンザルがコナラの若葉をちぎり取って1枚ずつ調べて、何か小さい物を指でつまんで食べていた。虫こぶに含有するタンニンなど忌避物質を嫌って食べないのだとすると、虫こぶではなく虫を捕食していたことになる。


A2: ご指摘の観察は非常に鋭く、**「虫こぶそのものではなく、虫こぶの中にいる昆虫幼虫を捕食していた」**という解釈が最も妥当です。以下に根拠を整理します。

ニホンザルの食性と昆虫捕食

ニホンザル(Macaca fuscata)は基本的には植物食性が強い雑食動物ですが、昆虫類を積極的に捕食することが広く報告されています

  • 屋久島のニホンザルでは、年間の採食行動のうち**無脊椎動物およびその他の動物質が10.3%**を占め、昆虫類は重要なタンパク源となっています 。 pubmed.ncbi.nlm.nih
  • 日本全国215論文・49調査地のデータを統合した研究では、136種の動物質を摂食し、そのうち108種が昆虫類であったと報告されています 。 cir.nii.ac
  • 上高地のニホンザル群では、冬季に水生昆虫や魚類を捕食する行動が進化しており、指でつまむ、手ですくう、口で剥ぎ取るなど柔軟な採餌戦略が確認されています 。 tenbou.nies.go
  • 昆虫としては、セミ、バッタ、カブトムシ、サワガニ、カタツムリ、トビケラなど多様な節足動物や軟体動物が摂食対象となります 。 pref.ishikawa.lg

虫こぶ(ゴール)の摂食に関する報告

現時点で、ニホンザルが虫こぶ(ゴール)そのものを積極的に摂食したという報告は文献に見当たりませんこれは以下の理由から考えられます。

虫こぶの化学的防御

虫こぶは植物組織の異常発達ですが、タンニンやその他の二次代謝産物(フェノール類など)を高濃度に含有することが多く、多くの草食動物にとって忌避物質として働きます。

  • 虫こぶ内部は幼虫の保護と栄養供給のために特殊化していますが、植物側にとっては「異常組織」であり、防御物質の蓄積部位となる場合があります。
  • 多くの昆虫幼虫は、こうした化学物質に対して耐性を持ち、虫こぶ内部で安全に発育できますが、哺乳類にとっては摂食を抑制する要因となります。

観察行動の解釈

ご観察の「コナラの若葉を1枚ずつ調べ、小さい物を指でつまんで食べていた」という行動は、昆虫幼虫や小型無脊椎動物を探索・捕食する典型的な行動と一致します。

  • ニホンザルは視覚と手指の巧緻性を活かして、葉裏や虫こぶ内部にいる昆虫を効率的に捕獲できます。
  • 5月下旬は、ナラハタイコタマフシやナラメリンゴフシなどの虫こぶ内部にタマバチやタマバエの幼虫が生育している時期であり、タンパク質豊富な餌資源となります。

結論

ご推察の通り、**「虫こぶそのものではなく、虫こぶの中にいる昆虫幼虫を捕食していた」**という解釈が最も妥当です。ニホンザルは昆虫類を積極的に摂食することが知られており、虫こぶは昆虫幼虫の「隠れ家」かつ「栄養源」として機能していると考えられます。

この観察は、ニホンザルの採餌行動の柔軟性と、季節的なタンパク質獲得戦略を示す重要な事例と言えるでしょう。

林内の排水溝で水中のオタマジャクシ?を捕食するハシブトガラス【野鳥:トレイルカメラ】

 

前回の記事:▶ 林内の丸木橋でオニグルミ堅果を食べるハシブトガラス【野鳥:トレイルカメラ】 


2025年4月下旬・午前11:40頃・くもり・17℃ 

春の林内で雪解け水が貯まった排水溝を自動撮影カメラで見張っています。 
水路を跨ぐ丸木橋のように倒木が架かっています。 

昼前に1羽のハシブトガラスCorvus macrorhynchos)が丸木橋に乗っていました。 
左岸の水際で、水中から何か黒くて小さな獲物を捕食したようです。 
倒木の根っこが邪魔で獲物がよく見えなかったのですが、オタマジャクシ(カエルの幼生)ですかね? 
この水路は春限定の止水なので、小魚などは居ません。 

左へ上陸すると、ハシブトガラスはホッピングで助走してから飛び去りました。 


つづく→

2026/09/17

食草を探して飛び回りウスバサイシンの葉に産卵するヒメギフチョウ♀

 

2026年4月下旬・午前11:10頃・晴れ 

里山の細い山道でヒメギフチョウ♀(Small Luehdorfia)が低く忙しなく飛び回っていました。 
ウスバサイシンなど幼虫の食草を探しているのでしょう。 
メインの林道へ合流する地点の手前で、日当たりの良い場所でした。 

下草に点々と生えたウスバサイシンに何度も舞い戻ってきて、触角や脚で葉に触れて吟味しています。 
腹端を曲げて葉裏に産卵したかどうか、肝心の腹端が隠れて見えませんでした。 
過去に撮った産卵動画ではもっと時間をかけていたので、今回はなぜか産卵してない気がします。 
ウスバサイシンの葉をめくって卵の有無を確認すべきでしたね。 

関連記事(13、18年前の撮影)▶  

山道の法面にはカタクリの花が咲いていたのに、ヒメギフチョウ♀は吸蜜せずに飛び続けています。 


※ ヒメギフチョウ♀の飛ぶ動きがあまりにも速いので、等倍速の映像は割愛し、全編1/5倍速のスローモーションに加工しました。 
必死で流し撮りを試みた映像は手ブレがひどく、そのままでは見てられません。 


【考察】
今のところ、私がヒメギフチョウを見かけるのは、いつも里山の低い地点ばかりです。 
春に羽化したギフチョウやヒメギフチョウは、配偶行動のために山頂や尾根に集まるらしいのですけど、私はまだ一度もヒメギフチョウの求愛や交尾を観察できたことがありません。 
春山の山頂や尾根まで登る回数をもっと増やさないといけません。 
(長い冬の後の春は私の体力が落ちているのと、残雪の雪崩がちょっと怖いのです。)

地球温暖化が進むと、北方系のヒメギフチョウはますます見られなくなるだろうと予想しています。
シカが今まで越冬できなかった雪国(豪雪地帯)にまでこれから分布を広げると、ヒメギフチョウの食草であるウスバサイシンを含めてあらゆる下草を食べ尽くされてしまう、という恐ろしい懸念もあります。

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