2013年5月中旬
雑木林の林床を忙しなく飛び回るヒメギフチョウ(Luehdorfia puziloi inexpecta)を追いかけてハイスピード動画(240 fps)に撮っていると、ウスバサイシンの群落に止まりました。
どうやら葉裏に卵を産み付けているようです。
手前の枝や葉が邪魔で、肝心の産卵姿勢がよく見えません。
回り込んで撮影アングルを確保すべきか迷ったのですが、下手に私がガサガサ動くと蝶に逃げられそうな気がして我慢しました。
ようやく蝶のほうが移動してくれて、念願の産卵シーンをスローモーションで記録することができました。
次は高画質のHD動画モードに切り替えて撮り続けます。
ゆっくり横へ移動してみると、ようやく産卵中のヒメギフチョウ♀の姿が見れました。
ところが葉にしがみついた蝶は顔をこちらに向けており、肝心の腹端が全く見えません。
ようやく産卵を終えた蝶は少し飛んでから、近くの林床に休息のため着陸。
しばし日光浴すると、顔を拭ってから飛び去りました。
ヒメギフチョウ♀を見送ってから早速ウスバサイシンの葉を捲って調べてみると、2枚の葉に卵塊が11個、6個見つかりました。
真珠のように白く輝く卵が葉裏にかためて産み付けられています。
後に産み付けられた6個の卵塊bは現場に残し、先に産卵した11個の卵塊aを食草ごと採集して持ち帰りました。
飼育に挑戦します。
つづく→「卵から孵化するヒメギフチョウの幼虫【20倍速映像】」
『科学のアルバム:ギフチョウ』p24によると、ヒメギフチョウ♀がウスバサイシン若葉の縁に前脚をひっかけてぶら下がるような姿勢で産卵するのは、♂に付けられた交尾後付属物が棒状に突き出ているためだそうです。
一方、ギフチョウの交尾後付属物は板状らしく、♀の産卵姿勢は葉の縁にしがみつくように止まり体を葉の上の方に乗り出し、腹を思い切り曲げて葉裏に産み付ける。(同書p16)
今回は交尾後付属物はよく見えませんでした。
この辺りはギフチョウとヒメギフチョウが混棲する全国的にも貴重な地域らしいのですが、私はギフチョウの方とは未だ出会いがありません。
ヒメギフチョウ♀産卵@ウスバサイシン葉裏 |
ウスバサイシン群落@ヒメギフチョウ♀産卵後 |
ウスバサイシン花 |
葉裏に卵塊 |
卵塊a:11個 |
卵塊b:6個 |
『日本の昆虫1:ギフチョウ』p18によると、ヒメギフチョウの1卵塊あたりの卵数は平均10.9個で、1頭の♀が133〜164個の卵を持っているらしい。
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