2013年5月中旬・室温20℃→22℃
ヒメギフチョウの飼育記録3
卵塊から孵化してから2日後、ヒメギフチョウ(Luehdorfia puziloi inexpecta)若齢幼虫11匹の摂食活動と離合集散を微速度撮影してみました。
10秒間隔でインターバル撮影した6時間半(06:32 am 〜 13:04 pm)分の大量の写真を素材としてタイムラプス映像を制作しました。
食草のウスバサイシンは前日に新鮮な株を採集してきたものです。
一匹だけ遅れて孵化してきた個体も黒くなり、他と区別がつかなくなりました。
幼虫は相変わらず葉裏で集団生活を続けています。
こうして早回し映像にしてみると、休息中も完全静止ではなく体を伸縮しています。
休息に比べて食事に費やす時間は意外に短いことが分かります。
摂食のため群れが一斉に葉縁に移動すると、その重みで葉柄が微妙に傾いています。
葉縁で一列に並び頭を外側に向けて摂食します。
みるみるうちに食痕が大きくなり、虫食い跡が残ります。
若齢幼虫が群れて暮らすのは単純に天敵から身を守る戦略と思われます。
もし初齢幼虫を単独で個別に飼育すると生育が悪くなるのしょうか?
満腹した幼虫は塒(ねぐら)に戻って集団で休みます。
毎回ほぼ同じ場所に戻って集まるのですが、その居場所をどのように探し当てるのか、不思議に思いました。
ランダムウォークで探索しているようには見えません。
往路を忠実に戻るのかな?
もしかすると人間の目に見えないぐらい細い絹糸を吐きながら徘徊し、それを道標(シルクロード!)として戻るのかもしれません。
それとも集合フェロモンを放出していたりして…?
微速度撮影は面白くて癖になります♪
つづく→「ヒメギフチョウ初齢幼虫の脱皮前後を微速度撮影」
【追記1】
茎が曲がって葉がほぼ垂直に立った状態でした。
撮影のために横から補助照明のLEDリングライトで照らし続けたのですが、それでもヒメギフチョウ幼虫の群れは葉表に逃げたりせず葉裏に留まったままでした。
つまり、葉裏に居るのは光を嫌ったせい(負の走光性)ではないことが分かります。
匂いや手触りなどで食草の裏表を見分けた上でなぜか裏側に嗜好性があるのかもしれません。
【追記2】
『日本動物大百科9昆虫II』p33によると、
ギフチョウ属は、成虫、蛹、幼虫の形態に多くの祖先的な形質を残しており、発祥の古いアゲハチョウと考えられている。(中略)系統学上もっとも古い原始的被子植物といわれるウマノスズクサ科を食草としている点は興味深い。
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