2026/06/13

サクランボ果実の食べ方を幼鳥に教えるスズメの親鳥(野鳥)巣外給餌

 

2026年5月下旬・午後14:05頃・晴れ 

郊外の住宅地で物置小屋の錆びたトタン屋根にスズメPasser montanus)の親子が留まっていました。 
頬の黒斑が濃いのが成鳥で、巣立ったばかりの幼鳥は頬の黒斑が薄くて嘴の縁が黄色いのが特徴です。 
横に立つサクランボの庭木に果実が鈴なりに実り、赤く熟した落果や種子がトタン屋根にたくさん散乱しています。 

親鳥のスズメがサクランボの赤い落果を食べていました。 
ムクドリと違って体の小さなスズメは、サクランボ果実を丸呑みにするのではなく、果肉だけを啄んでいます。 
その近くで空腹の幼鳥が翼を小刻みに震わせて餌乞いしています。 
餌乞いに特有の鳴き声を発しているはずですが、カメラに対して後ろ向きですし、遠くから撮影していたので聞き取れませんでした。 
周囲でチュンチュン♪とにぎやかに鳴いているのは、別個体のスズメたちです。 

 幼鳥はすぐ横に落ちていたサクランボの種子を見つけると、興味を持ってつついてみたのの、餌ではないと悟って食べませんでした。 
幼鳥が駆け寄ると、親鳥は食べ残しのサクランボ落果を幼鳥とシェアして一緒に食べ始めました。 
親子で交互にサクランボの果肉を啄んでいます。 

やがて親鳥がそのサクランボ落果を丸ごと咥えると、器用に果肉だけを食べています。 
それを見て横の幼鳥が餌乞い(給餌の催促)を再開しました。 
スズメの親鳥は幼鳥にサクランボの食べ方を教えているようです。 
親鳥がその場に落とした食べ残しのサクランボを幼鳥がもらって食べ始めました。 
幼鳥も教わった通りにサクランボ熟果を丸ごと咥え、果肉だけをちびちび食べています。 

その間に親鳥はホッピングでトタン屋根を下り、幼鳥から離れて行きました。 
最後に幼鳥は、食べかけのサクランボ果実を咥えて飛び去りました。 


【考察】 
初夏に核果が実るサクランボの種子散布の戦略は、被食型の動物散布です。
スズメはサクランボ核果の果肉だけをついばみ種を捨てるので、普通はサクランボの種子散布者ではありません。 
しかし今回の事例では、スズメの幼鳥が食べかけたサクランボの果実を持ち去ったので、母樹から離れる種子散布を助けたことになります。

2026/06/12

両目を失明した雪国のホンドタヌキが、運んできた獲物を巣穴近くの雪の下に埋めて隠してから巣内で休む【トレイルカメラ:暗視映像】貯食行動

 


前回の記事:▶ 雪深い二次林の巣穴で越冬するホンドタヌキ:2月中旬〜下旬【トレイルカメラ:暗視映像】 


2025年3月上旬

シーン0:3/10・午後12:19・晴れ・気温23℃(@0:00〜) 
シーン0:3/10・午後16:40・晴れ・気温13℃(@0:03〜) 
雪国の二次林でホンドタヌキ♀♂(Nyctereutes viverrinus)が越冬する巣穴Rを2台の自動センサーカメラで見張っています。 
ここは以前、ニホンアナグマの営巣地(セット)でした。 


シーン1:3/10・午後17:07・晴れ・気温9℃(@0:07〜) 日の入り時刻は午後17:44 
夕方に画面右下から単独で来たらしいタヌキが、巣口Rの中を覗き込んでいました。 
その足跡が雪面に残っています。 

タヌキが顔を上げたら、血まみれの大きな肉片を咥えていました。 
この巣穴に潜む野ネズミにしては大き過ぎます。 
こんな大きな獲物を生きたままタヌキが狩れるとは思えません。 
雪原で行き倒れた野生動物とか車道で新鮮なロードキル(死骸)を見つけて、ここまで運んできたのでしょうか。 
拡大すると、獲物は鮭(サケ)など大きな生魚のようにも見えます。 
どこか近所の庭に忍び込んで池の鯉(コイ)を狩ってきたのでしょうか? 

巣内でごちそうを食べるのかと思いきや、タヌキは獲物を咥えたまま、左へ運んで行きます。 
タヌキが歩くと、溶けかけた雪面(いわゆる腐れ雪)にズボズボと膝まで潜っています。 


シーン2:3/10・午後17:08・晴れ・気温8℃(@0:33〜) 
つづきが別アングルの監視カメラに写っていました。 
獲物を口に咥えたタヌキが雪原を少し運ぶと、立ち止まって獲物を雪面に降ろしました。 
血まみれの顔を雪で洗っているように初めは見えたのですが、どうやら鼻面を使って雪面に穴を掘っているようです。
雪面に置いた獲物に周囲の雪をかけて埋めようとしているのだと分かってきました。 
それにしても、穴掘りで前脚を使わないのが不思議です。 
前脚を怪我しているのでしょうか?

雪国のホンドタヌキによる貯食行動を初めて観察できたのに、獲物を埋め終える前に1分間の録画時間が終わってしまい、残念無念。 


シーン3:3/10・午後17:09・晴れ(@1:35〜) 
47秒後にトレイルカメラが再び起動すると、獲物を雪の下に埋め終えたタヌキが空荷で巣口Rに戻って来ました。 
振り返って貯食した位置をしっかり確認してから、巣穴Rの奥に潜り込みました。 


シーン4:3/10・午後17:09・晴れ(@2:13〜) 
入巣Rシーンが別アングルからも撮れていました。 

巣口Rで少し雪かきしてから、中に入りました。 
このとき普通に前足を使ったので、負傷で痛めている訳ではないことが分かります。 


シーン5:3/10・午後19:26・気温0℃(@2:55〜)
すっかり暗くなった晩にタヌキが巣穴Rの外に出てきました。 
背中を弓なりに伸ばすストレッチ運動をしてから、外出します。 
(この行動は、出巣直後のタヌキがよくやります。) 
雪面に新しい足跡は付いていないので、別個体が登場したのではありません。 
さっき巣外で魚?を貯食した個体が、巣穴で約2時間15分間、寝ていたことになります。 

雪面の匂いを嗅ぎながら監視カメラの方へ歩いて来ると、タペータム(輝板)が両目とも赤外線を反射していない(失明?)個体であることが分かりました。 
少なくとも夜には私でもしっかり識別できる個体でした。


【考察】 
長い期間トレイルカメラで営巣地を地道に定点観察してきましたが、久しぶりにトップレベルで面白い(ワクワクする)行動が記録できました。 

まさか越冬中に死んだ仲間の死骸を埋葬したのか?と早とちりしそうになったのですが、 運んできた獲物(生魚?)を営巣地の雪の下に埋めたのです。(貯食行動
雪面に深い穴を掘って埋めたのではなく、獲物の上に周囲からかき寄せた雪をこんもりと乗せて隠しただけです。 
食べ残した餌を隠すだけでなく、腐らないように冷蔵保存する効果も雪にはあります。 
この死骸を後で両目失明タヌキが掘り出して食べるかどうか、注目です。 
キツネや他のタヌキなどに見つかって盗まれないのか、心配です。 

実は、この辺りで暮らす野生動物(タヌキやキツネ)が魚の死骸を冬に運んでくるシーンは、翌年もトレイルカメラに何度か写っていました。 (映像公開予定)
もしかすると、近所の誰かが毎年冬に野生動物へ給餌している可能性がありそうです。 
(魚をさばいた残渣を外に捨てているだけかもしれません。) 

両目が失明(タペータム機能の喪失)した個体でも、毛並みや肉付きを見る限り、健康そうです。
少なくとも明るい昼間は視覚のハンディキャップが顕在化しないようで、獲物を見つけて営巣地まで運んでこれました。


つづく→

早春の池で煮干しをかじるトビケラの幼虫を一時捕獲(エグリトビケラ科?)

 



2026年4月上旬・午後12:15頃・晴れ 

山麓にあるヤマアカガエルRana ornativentris)の繁殖池を毎年早春に定点観察しています。 
この日は卵塊から孵化した幼生(オタマジャクシ)の群れが岸辺付近の浅い水中に蠢いていました。 
その様子を動画に撮り始めたら、後に登場するトビケラ幼虫が一緒にちらっと写っていました。(冒頭の赤丸○) 
しかしカモフラージュの効果抜群の蓑を身にまとっているため、このときの私はまだ気づいていません。 
オタマジャクシが動き回るので、水底のゴミが揺れているだけのように見えます。 

試しに餌として、煮干し(無塩タイプ)をヤマアカガエル幼生の群れの近くに投入してみました。(@0:36〜) 
水中に煮干しの匂い物質(ダシ)が拡散するまで、しばらく時間がかかります。 
予め煮干しの頭部を取り除き、背骨に沿って半分に裂いておくと(2枚おろしの状態)、煮干しの匂いが早く水中に拡散することが後に分かりました。
やがて、オタマジャクシが煮干しに群がり、ちびちびと食べ始めました。 
このとき煮干しの端に1匹のトビケラ幼虫が食いついていることに、動画を見て初めて気づきました。(赤い矢印⇩@1:09〜) 





しばらく経つと、蓑をかぶった(筒巣を背負った)トビケラの幼虫が新たにもう1匹合流し、同じ煮干しの別の部位を食べています。(赤い矢印⇦@1:46〜) 

三脚を使って動画を長撮りしていると、煮干しがオタマジャクシの集団につつかれて水中で移動してしまったので、私が煮干しを鉛筆でつついて画角の中央に戻してやりました。 
煮干しを動かしても、謎の異物はしっかり付着して離れません。 
ただの水底のゴミではあり得ません。 
現場の私もこれでようやくトビケラの幼虫だと確信できました。 
筒巣に入って身を守りつつ、その端の開口部から顔だけ外に出して、煮干しを食べているようです。 

1匹の筒巣の腹端に白っぽい粘液のような物質が付着していたのは、トビケラ幼虫が排泄した糞なのでしょうか?(右の個体@2:02〜)
巣材を筒巣に固定するために分泌した接着剤なのかと初め勘違いしたのですが、そのための絹糸は腹端ではなく口から吐くとPerplexity AIに教えてもらいました。
周囲のオタマジャクシは煮干しに夢中で、トビケラ幼虫の糞?を食べることはありませんでした。
謎の白い水溶性分泌物をちゃんと分析した訳ではないので、ヤマアカガエル卵塊のゼラチン質が分解された断片がたまたまトビケラ幼虫の筒巣に付着していただけかもしれません。

謎のトビケラ幼虫2匹をじっくり観察するために、煮干しと一緒に手掴みで池の外へ取り出してみました。(@3:40〜) 
今回は餌を池に投入しただけですが(給餌実験)、釣り糸を付ければ、煮干しでトビケラ幼虫が釣れることになります。
巣筒は円筒状で、採寸してみると長さは約25mmでした。 
トビケラ幼虫が持ち運んでいる筒巣は、水中の落ち葉や枯れた茎など植物質の欠片を丹念に寄せ集めて作られていました。 
枯草の細長い茎や落枝を巣材として使う際には、長さを切り揃えた上で、幼虫の体軸に対して直角の向きに並べてあります。 








1匹のトビケラ幼虫は採集時に煮干しを放してしまいましたが、近くに置いてあります。 
すると筒巣の端から上半身を乗り出して、煮干しを目指して這い始めました。 
おかげで、水中では見えなかったトビケラ幼虫の頭部や胸部(地味な焦茶色)、脚(薄い茶色)などを観察することが出来ました。 
もう片方のトビケラ幼虫は、煮干しにしっかり食いついたままです。 

蓑の巣材が濡れている限り、陸上でもトビケラ幼虫はエラ呼吸が可能です。 
一方、変態前のヤマアカガエル幼生は陸上で肺呼吸できないので、ピチピチと暴れています。 

トビケラ幼虫が2匹とも煮干しに食いついたので、小魚(カタクチイワシ?)の死骸を口器で齧る様子をじっくり接写することができました。 
途中で左の個体が筒巣ごとゴロンと転がり、2匹のトビケラ幼虫が横に並んでくれました。 
おそらく同種のトビケラだと思いますが、巣筒の長さはほぼ同じでした。 
少し体格差があるのは、栄養状態(それまでの摂食量)の違いでしょう。 

持ち帰って家の水槽で飼育し成虫が羽化すれば、私にもトビケラの種類が同定できるかもしれません。 
しかし、持ち帰る容器を何も持ってきませんでしたし、水槽の水温を低く保ち流水にするなどの飼育ノウハウが難しそうなので、水生生物に疎い私は諦めてしまいました。 
元の池に戻してやり、微速度撮影を続けました。 




【考察】 
私が煮干しを給餌する前に、自然状態のトビケラ幼虫は池の底で何を食べていたのでしょうか?

筒巣に入ったままの状態のトビケラ幼虫を同定できるでしょうか?
筒巣の形や巣材、生息環境などで種類をある程度まで絞り込めるのだそうです。
幼虫を蓑から取り出して裸にした状態で実体顕微鏡で精査すれば、検索表も用意されていました。

【ネット検索で見つけた参考文献】
・河川生物の絵解き検索@環境省2017年(PDF資料)
・京都府の水生昆虫(トビケラ)PDF資料

環境省の検索表2017を参照すると、エグリトビケラ科(Limnephilidae)が素人目には似ています。
大顎には明瞭な歯がある。
筒巣の材料や形は様々、中〜大型種が多い。
後胸の中央前方のキチン板は常にある。
などと記載されていました。

30年前の古い資料ですが、谷幸三『水生昆虫の観察: 安全できれいな水をめざして 』(1995年)という本にはトビケラ目の科の幼虫の検索表が細密画と共に載っていました。
素人には使いこなせない検索表は飛ばして、代表種が作る筒巣の細密画だけを眺めると、確かにエグリトビケラ科エグリトビケラNemotaulius admorsus)幼虫の筒巣が一番似ているものの、微妙に違います。

一方、ChatGPTに写真鑑定してもらうと(途中経過は割愛)、おそらくエグリトビケラ科(Lepidostomatidae)であり、候補としてエグリトビケラ属(Lepidostoma)の一種ではないかとの見解でした。
改めてエグリトビケラ科をネット検索すると、「An Artless Riverside ​川虫館」というサイトに幼虫と筒巣の見事な標本写真が掲載されていました。
エグリトビケラ科 Limnephilidaeキリバネトビケラ属Limnephilusの一種(トウヨウウスバキトビケラまたはその近縁種)の筒巣や生息環境などがそっくりでした。

来季はぜひトビケラ幼虫を採集して、飼育に挑戦してみたいものです。
私は「延長された表現型」として、虫の巣が大好物です。

【アフィリエイト】

ピンセットで蓑を脱がして裸の幼虫をじっくり観察してから、筒巣を作り直す過程を飼育下で微速度撮影してみたら、面白そうです。

関連記事(20年前の撮影)▶ 色紙の上で動き回る蓑虫

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