2025/07/09

ノアザミの花で採餌するコハナバチ♀の一種?

 

2024年6月上旬・午前11:30・くもり 

水田の農道に咲いたノアザミの群落で見慣れないハナバチが訪花していました。 
ノアザミの雄しべの先端から白い花粉が吹き出しています。 
ハナバチが口吻を伸ばして吸蜜しながらノアザミの頭花を歩き回ると、必然的に雄しべの花粉が蜂の体毛に付着します。 
顔の毛や前脚にノアザミの白い花粉が大量に付着していたのに、後脚の花粉籠はまだ空荷でした。 
ミツバチ科だと思ったのですけど、ハキリバチ科の可能性もありますかね? 
腹部下面にスコパの有無を確認できませんでした。 

マクロモードでカメラのレンズをそっと近づけながら接写しても、蜂は逃げませんでした。 
飛び立つとやや高音の羽音を立て、同じ頭花にすぐ舞い戻ってきます。 
再び飛び立つと、ホバリングしてから手前の頭花に着陸しました。 

蜂が居なくなった後でノアザミの総苞片に触れると、粘り気があることを確認しました。 
農道の奥の水田では田植えが終わっていました。
はじめは筒状花から雄しべが現れて、昆虫などが花を刺激すると、接触運動により雄しべから花粉が湧き出てきて、昆虫に花粉を与える[9][10][8]。雄しべが引っ込むと、続いて雌しべが現れて、花粉をつけた昆虫の媒介によって受粉する[8]。頭花の外側にある総苞は緑色の球形で、総苞片は反り返らず、直立して先端は鋭いとげになり、粘液を出して背面はよく粘る[7][5][6]。(wikipedia:ノアザミより引用)
関連記事()▶ 第8話「アザミの花粉放出の巧妙な仕掛け」 


さて、このハナバチの種類(和名)は何でしょうか? 
腹部には黒と茶色の横縞模様。
胸背は黒くてつるつるしています。 
剥げたのか、それとも元々胸背には毛が生えないのか、不明です。 
胸部の辺縁部には白っぽい毛が密生しています。 
オオマルハナバチ♀ほど毛深くありません。 
関連記事(同所同時期の撮影)▶ ノアザミの花で採餌するオオマルハナバチ創設女王 
伸ばした口吻は真っ黒。
後脚だけでなく中脚にも茶色の毛が密生していて、花粉籠が複数あるように見える。

この件でPerplexity AIに相談してみたところ、画像認識もやった挙句にコハナバチ科の一種ではないか?と言われました。 
現在のAI技術は、質問に虫の写真を添付しても、分類学者が作った検索表に従って細部の特徴を検討して種を同定してくれる訳ではありません。 
ただ画像検索で似た写真をインターネット上で探しているだけなので、注意が必要です。 
AIが学習できるほど充分な数の写真データがインターネット上に蓄積されていれば(メジャーな種なら)、その方法(画像認識)でも上手く行くのですが、コハナバチ?のようなマイナーな種類の虫だとあまりあてになりません。 
あいにく私はコハナバチについて疎いので、今回の回答がAI特有のハルシネーション(自信満々の知ったかぶり)かどうかも判断できません。 
ハナバチに詳しい人にぜひ判定してもらいたいところです。
コハナバチ科の中には、ヒトの汗を好んで舐める蜂がいるらしいのですが、今回の個体は私の汗ばんだ手を舐めに来ませんでした。


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2025/07/08

平地の二次林で空咳をするニホンカモシカ【トレイルカメラ】

 



2024年6月中旬・午後14:07・晴れ
平地の二次林で最近暮らすようになったニホンカモシカCapricornis crispus)がニホンアナグマの旧営巣地(セット)で頭を下げて地面の匂いを嗅ぐと、コホッコホッ♪と乾いた咳をしました。 

別アングルに設置した監視カメラでも空咳のシーンが撮れていました。(@0:13〜) 
アナグマの巣口Rを見下ろしながら、空咳をしています。 
その後はペロペロと舌舐めずり。 
「咳をしても独り」という尾崎放哉が詠んだ有名な自由律俳句を思い出します。 
最近この巣穴に出入りしているアナグマやタヌキの残り香を嗅ぎつけてむせたのではなく、呼吸系の疾患かもしれません。 


※ カモシカの咳が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


【考察】 
野生のニホンカモシカで空咳をしている個体を観察したのは、今回が初めてです。 
興味深い症例なので、まずGemini AIに相談してみた回答を掲載します。
野生のニホンカモシカで咳をしている個体を見かけられたとのこと、ご心配ですね。カモシカが咳をする原因は、いくつか考えられます。 考えられる咳の原因 感染症: パラポックスウイルス感染症: ニホンカモシカでは、口唇や眼瞼周囲に発疹ができ、咳やくしゃみなどの呼吸器症状を伴うことがあります。特に、過去に国内で発生した事例があり、注意が必要です。 他のウイルス性・細菌性感染症: パラポックスウイルス以外にも、様々なウイルスや細菌が原因で呼吸器系の感染症を起こす可能性があります。 肺虫症: 肺に寄生虫が寄生することで、咳や呼吸困難などの症状が現れることがあります。 環境要因: 大気汚染: スモッグや排気ガスなど、大気汚染物質を吸い込むことで、呼吸器系が刺激され、咳が出ることがあります。 花粉症: 春先など、特定の時期に花粉を吸い込むことで、アレルギー反応を起こし、咳が出ることがあります。 異物混入: 草や木の枝などを誤って吸い込んでしまい、咳が出る場合があります。 その他: ストレス: 環境の変化や他の個体との争いなど、ストレスによって免疫力が低下し、感染症にかかりやすくなる可能性があります。 老衰: 高齢個体では、呼吸器系の機能が低下し、咳が出やすくなることがあります。
AIの回答はもっともらしくても出典や情報源を示してくれないことが多いので、どこまで信用できるのか、素人には判断できません。 

次にカモシカに関する専門書籍を紐解いてみました。 
大町山岳博物館『カモシカ:氷河期を生きた動物』は出版が1991年で古い本ですが、死んだニホンカモシカ(野生または飼育個体)を計474件も病理解剖した結果がカラーの病理写真とともに詳細にまとめられていて、貴重な資料になっています。 
カモシカの呼吸器系疾患として、以下の病名が列挙されていました。
肺炎(繊維素性胸膜肺炎、誤嚥性肺炎、気管支肺炎、線維性肺炎、化膿性肺炎、ウイルス性肺炎、外因性肺炎、他)、肺充血、肺水腫、感冒、熱射病、日射病、肺出血、胸膜炎、肺壊疽 (p102 表17より引用)
肺炎は呼吸器系の病気の中で最も生じやすい病気で、特に幼獣にとって重要である。(中略)肺炎にかかったカモシカは発熱し、呼吸があらく早くなり、呼吸困難の状態を示す。体力が弱り下痢を併発するものもいる。また、生前はそれと分からず、死亡後の検査で肺炎と診断される場合もある。(中略)肺炎は微生物による感染のほか、寒さやストレスによる体力の低下、異物を吸いこんだり他の病気に併発して発病したりする。幼獣は、成獣に比べ外界の変化に対して抵抗力が弱いから、肺炎にかかりやすいのも当然である。 (p106-107より引用)
他には、肺虫症の症例が多かったそうです。
肺虫は宿主であるカモシカを死に至らせない程度に肺の一部に宿借りし、自分たちの「種」を保存している。肺虫病変は年齢を問わず、検索したカモシカの70%以上に観察された。(p115より引用)
トレイルカメラの映像や空咳の音声だけから呼吸器系疾患の診断をするのは無理ですが、専門書で得た知識を念頭に入れつつ経過を見守るしかありません。 
ただの一時的な軽い症状で、心配いらないかもしれません。
上記AIの回答は、明らかに本書または同一著者(大町山岳博物館館長の千葉彬司 氏)による関連文献を学習した内容が含まれているようで、それほど的外れなハルシネーションはなさそうです。


夜の水場で長居するフクロウは何をしているのか?【野鳥:トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年6月上旬〜中旬 

シーン0:6/7・午後13:14・晴れ(@0:00〜) 
シーン0:6/7・午後13:40・晴れ(@0:04〜) 
明るい昼間にたまたまフルカラーで撮れた現場の状況です。 
山林に湧き水が年中溜まっている湿地帯があり、浅い水溜りを2台の自動撮影カメラで見張っています。 

夜な夜な水場に来るフクロウStrix uralensis)の水浴以外のシーンを以下にまとめました。 


シーン1:6/9・午前3:51(@0:07〜) 
未明に中洲に佇んでいたフクロウが対岸に飛び移って身震いしてから、右上に飛び去りました。 
飛び立つ瞬間にフクロウが羽ばたいた風に煽られて、周囲の下草が揺れています。 

画面の左端手前に眩しく光っているのは、ホオノキ大木の幹です。 
この影に隠れてフクロウが水浴した直後だったのかもしれません。 


シーン2:6/10・午前1:19(@0:31〜) 
翌日の深夜に来たフクロウは、対岸の水際に佇んでキョロキョロと周囲を警戒しています。 
手前の中洲にピョンと飛び移りました。 


シーン3:6/10・午前1:18(@1:31〜) 
別アングルで設置した監視カメラの広角映像に切り替えます。 
被写体のフクロウが遠くても、2台のトレイルカメラが同時に照射する赤外線によって、充分明るく録画できました。 


シーン4:6/10・午前1:21(@2:02〜) 
中洲の奥の水溜まりで足浴するフクロウの後ろ姿が写っています。 
よちよちと右へ渡渉すると、軽く羽ばたきながら対岸へピョンと上陸しました。 
しばらくすると、再び水際にぴょんと移動。 


シーン5:6/10・午後22:12(@3:02〜) 
昼間を挟んで同じ日の晩に、フクロウが再び水場に降り立ちました。 
すぐには入水しないで長々と周囲をキョロキョロと警戒しています。 
赤外線を反射して白く光る眼しか写りません。 


シーン6:6/11・午後20:08(@3:23〜) 
翌日の晩にも、水場に来たフクロウは警戒を怠りません。 


シーン7:6/11・午後20:08(@4:24〜) 
別アングルの広角映像に切り替えます。 


シーン8:6/11・午後20:35(@4:37〜) 
赤外線を反射して白く爛々と光る両目が水面にも反射して写っています。 
夜行性のフクロウの目にはタペータムが発達しています。 

フクロウがキョロキョロと周囲を見回す際に首の可動域の広さは驚異的です。 


シーン9:6/11・午後20:35(@5:37〜) 
別アングルの広角映像に切り替えます。 
夜の森で水場にじっと佇んでいるだけでも、フクロウは絵になりますね。 


シーン10:6/12・午後21:09(@6:37〜) 
翌日の晩。 
ホオノキ高木の横枝に別個体(つがいのパートナー?)のフクロウが着地したのか、ゴン♪と鈍い物音がしました。 
その瞬間に、足浴していたフクロウは樹上を見上げました。 

水溜まりの中でフクロウは翼を広げても、警戒しているのかなかなか水浴行動を始めてくれません。 
頻りにホオノキ樹上を見上げて気にしています。


シーン11:6/12・午後21:08(@7:37〜) 
湿地帯全景の映像に切り替えます。 


シーン12:6/12・午後21:13(@7:49〜) 
いつの間にかフクロウは水溜まりの中洲に移動していました。 
ようやく警戒を解くと、ぴょんと飛んで右の水溜まりに身を浸しました。 
その動きに反応して、対面の監視カメラが起動。 


シーン13:6/12・午後21:14(@8:09〜) 
入水したフクロウが水面に何度か顔を付けたものの(洗顔行動?)、頭上を頻りに気にしていて、なかなか本格的な水浴を始めてくれません。 
後ろ姿で分かりにくかったのですが、もしかするとフクロウはこのとき泥水を飲んでいたのかもしれません。
ハト類以外の鳥は、水を一口飲むごとに顔を上げて水を喉に流し込む必要があります。 


シーン14:6/12・午後21:16(@9:09〜) 
水溜まりから対岸に上陸すると、しばらくしてから足元の泥濘をなぜか嘴で啄みました。(@9:30〜) 
水生昆虫など何か小さな獲物を捕食したのかと思いきや、すぐに興味を失い左の水溜まりへジャブジャブと渡渉します。 
そこから右上へ飛び去りました。(@10:02〜) 

謎の捕食シーンを1.5倍に拡大した上でリプレイ。(@10:09〜) 
水際の落ち葉を試しに嘴でつついてみたようです。 


シーン15:6/12・午後21:23(@10:21〜) 
数分後にフクロウが水溜りの中洲に降り立っていました。 
私はフクロウの個体識別が出来ていませんが、つがいのパートナーが順番待ちをしていて交互に水場に来ているのか、それとも同一個体が繰り返し来ているのでしょうか? 

しかし今回もフクロウは水浴するでもなく、ひたすら周囲をキョロキョロと見渡しているだけです。 


シーン16:6/12・午後21:23(@11:21〜) 
広角の監視映像に切り替えます。 


シーン17:6/14・午後19:48(@11:33〜)
2日後の晩に現れたフクロウです。 
足浴していたフクロウが歩いて水溜まりの左エリアへ移動しました。 
左手前に聳え立つホオノキ幹の影に隠れて、監視カメラの死角で水浴するつもりなのでしょうか? 
そこでも水中で足踏みしたり周囲を警戒したりするばかりで、なかなか行水を始めません。 


シーン18:6/14・午後19:48(@12:33〜)
広角の監視映像に切り替えると、異変が生じていました。 
トレイルカメラの近くでクモ(種名不詳)が垂直円網を張った結果、奥の湿地帯が見えにくくなってしまいました。 
造網したクモがこしきに占座しています。 
それでもクモの巣を透かして、泥水溜りに来ているフクロウの姿がなんとか見えます。 
邪魔なクモの巣が張れないように後日、トレイルカメラ周囲に伸びたスギの横枝を剪定しました。 

カメラを凝視していたフクロウが翼を広げてバランスを取りながら、よちよち歩いて水溜まりの中を移動しています。 
周囲を警戒しながら水浴しているようですが、円網のせいでよく見えません。 

キョキョキョキョ…♪という単調な音がかすかにずっと聞こえるのは、おそらくヨタカCaprimulgus indicus jotaka)の鳴き声♪のようです。  (※追記参照)
それともトレイルカメラの内部ノイズ?
関連記事(9年前の撮影)▶ ヨタカ♂(野鳥)の鳴き声♪と声紋解析 


シーン19:6/15・午前3:50(@13:35〜)
日付が変わった未明にフクロウが再び左の死角ギリギリに来ていました。 
やはりトレイルカメラに監視されるのを嫌って、死角で水浴したいようです。 
その対策として、後にトレイルカメラの設置場所をもう少し右にずらすことになります。 

ヨタカに代わって夜明け前から鳴き始めた美声の鳥は、おそらくクロツグミ♂(Turdus cardis)の囀りさえずりでしょう。 


シーン20:6/15・午後21:23(@14:35〜)
同じ日の晩に、クモ円網の背後でフクロウが水溜りに来ていました。 
水浴するでもなく、周囲を油断なく見回しているだけです。 


シーン21:6/15・午後21:25(@14:47〜)
泥水溜りの中洲に降り立ったフクロウが真上をしばらく見上げています。 


シーン22:6/15・午後22:15(@14:59〜) 
フクロウが水溜りの対岸に佇み、カメラ目線で警戒しています。 
やがてフワリと飛んで手前の中洲に移動しました。 


シーン23:6/15・午後22:14(@15:37〜) 
広角の監視映像に切り替えます。 
手前に張られたクモの垂直円網が夜風に揺れると、こしき周辺の横糸が張られていない部分を透かして、ときどき奥のフクロウがはっきり見えました。 


※ フクロウの羽ばたき音や鳥の鳴き声などが聞き取れるように、動画の一部で編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


【考察】 
この水場に最も頻繁に現れ、最も長居するのは夜行性のフクロウです。 
しかし、フクロウが行水する時間そのものは短いのです。 
水を飲んだり浴びたりしないで佇んでいる時間は、一体何をしているのでしょうか? 

水溜りでのんびり足浴しているだけでも、ひんやり涼しくて気持ちよいのかもしれません。 

なかなか入水しないで警戒しているのは、トレイルカメラの存在が気になるのか、それとも周囲の草むらに捕食者(肉食獣のテンなど)が潜んでいないかどうか警戒しているのでしょうか? 
水浴中のフクロウは無防備になりますから、周囲に捕食者が潜んでいないことを確認するのは当然です。 

水溜りの中で蠢くオタマジャクシ(アズマヒキガエルの幼生)の群れをフクロウは興味津々で眺めているのかな? 
それにしては、フクロウはこの水溜りでオタマジャクシを狩って捕食しようとはしません。 
本格的な水浴をする前にフクロウは顔を水面に浸けて素早く左右に振ります。 
私はこれを洗顔行動だと思っているのですが、もし水中のオタマジャクシを狙っているのだとしたら話は変わっています。 
しかしオタマジャクシを狩るのなら、嘴ですばやく突き刺さしたり、足の鉤爪で獲物を捕らえるような動きをするはずです。 

水場に来る野ネズミなどの野生動物を狙って待ち伏せしているのでしょうか? 
それならホオノキの樹上から音も立てずに襲いかかる方が狩りの成功率は高いような気がします。 
地上の水溜りで待ち伏せしていても、獲物に気づかれる可能性は高いですし、地上から一旦飛び上がって獲物に襲いかかるとタイムロスがあって獲物に逃げられそうです。 

フクロウが浅い水溜まりの中を歩き回ったり足で掘ったりしているのは、少しでも深い地点を探して水浴するためだと思っていました。 
オタマジャクシやカエルの捕食など、何か他の目的があるのでしょうか? 
例えばサギ類は、水底で足踏みして振動を与え、小魚などの獲物が驚いて隠れ家から出てきたところを捕食します。 


※【追記】
樋口亜紀『フクロウ類の世界とは』を読んで初めて知ったのですが、フクロウとヨタカは親戚なのだそうです。
(フクロウの)起源は鳥類の歴史の中でも古く、化石や遺伝的研究の結果、少なくとも今から7000〜8000万年前に、夜行性の捕食者として一大グループを構成していた現在のヨタカ目と共通の祖先から別れたと考えられています。 (文一総合出版『フクロウ―その生態と行動の神秘を解き明かす』p14より引用)
そもそも鳥の猛禽類は単系統ではなく収斂進化であることが遺伝子解析から分かっています。


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