2024/04/02

後足で立ち上がるニホンアナグマ幼獣の謎【トレイルカメラ】

 



2023年7月上旬 

ニホンアナグマMeles anakuma)の母子が久しぶりに生まれ育った営巣地(セット)に一時帰還した日に、幼獣が後足で立ち上がる謎の行動が何度も見られたのでまとめてみました。 


シーン1:7/9・午前6:24(@0:00〜) 
レンズに雨の水滴が付着しているのか、夜が明けたのに、画面全体がやや曇っています。 
赤丸で囲った幼獣個体に注目してください。 
後足で立ち上がると、灌木の細い幹に前足を掛けました。 
樹上に気になる虫でも見つけたのでしょうか? 
枯れ木で枝葉が付いてなかったので、巣材集め行動の萌芽とは考えにくい気がします。 


シーン2:7/9・午前6:32・気温23℃(@0:20〜) 
母親♀が幼獣4頭を引率して獣道を辿り、右上奥の灌木林へ向かっています。 
道中で1頭の幼獣が立ち止まると、立木に前脚を掛けながら後足で立ち上がりました。 
この立ち木にはたまにタヌキが通りがかりに排尿マーキングしているので、その匂いに反応したのかもしれません。


シーン3:7/9・午前8:01・気温27℃(@0:39〜) 
赤丸で囲った1頭の幼獣個体が再び例の立木に前脚を掛けて立ち上がり、幹の匂いを嗅ぎました。 


シーン4:7/9・午前8:05(@0:57〜) 
赤丸で囲った幼獣個体が、林縁で細い灌木に前脚を掛けて立ち上がりました。 
シーン1と同じ枯木だと思います。 
別個体の幼獣がじゃれついたので、邪魔されてしまいました。 


シーン5:7/9・午前8:09(@1:16〜) 
赤丸で囲んだ1頭の幼獣が前脚を立木(樹種はミズキ?)に掛け、後足で起立しました。 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 


【考察】
幼獣を個体識別するのは無理なので、毎回同じ個体がやっているのかどうか分かりません。 

以前は母親♀が営巣地周辺の林内で同様に立ち上がり、樹上の枝葉や蔓植物を掻き集めて巣材(寝床)としていました。 
しかし、この時期の成獣(母親♀)は後足で立ち上がる行動をやらなくなりました。 
巣材集め行動の萌芽が早くも幼獣で見られたのかな?

幼獣の兄弟姉妹間で取っ組み合いの格闘遊びが頻発しています。
自分が一番大きいことを示して兄弟姉妹間で序列をつける誇示行動なのか?と思いつきました。
それなら競い合うように複数の幼獣が同時に後足で立ち上がって背比べしても良さそうなものです。 

立ち上がって幹の匂いを嗅ぎながら、なるべく高い位置に放尿マーキングしているような気もします。
しかし排尿の有無を動画では確認できませんでした。

難しく考えなくても、好奇心旺盛な幼獣による単なる探索行動なのかもしれません。

我々ヒトの直立姿勢とは異なり、アナグマは立木を支えにして掴まり立ちしないと後足だけでは立ち上がれないようです。 
同じイタチ科のテンやイタチはたまに後足だけで直立姿勢になって周囲を警戒することがあります。
ずんぐりむっくり体型のアナグマは骨格的に無理なのか、掴まり立ち以外の純粋な直立姿勢を私はまだ見たことがありません。 



死んだカラスの羽根に群がるシデムシの幼虫

2023年7月上旬・午後12:20頃・晴れ 

平地のスギ防風林の林床にタヌキなどが歩く獣道が形成されています。 
定点観察のためにホンドタヌキの溜め糞場phから溜め糞場wbcへ獣道を辿って歩いていると、腐りかけたカラスの死骸が獣道の真ん中に転がっていました。 
骨も肉もほとんど残ってなくて、数枚の黒い羽根だけでした。 
頭部が無いとカラスの種類(ハシブトガラスかハシボソガラスか)を見分けることが出来ません。 
おそらく死肉食性の野生動物が死んだカラスをどこかで見つけ、死骸を運んでいく途中で落とした羽根なのでしょう。
カラスも死肉食の掃除屋ですけど、仲間の死骸を共食いすることはあるのでしょうか?
 
通い慣れた獣道にある日突然現れたので、ここで死んだカラスが生物分解された訳ではありません。
スギ林をねぐらとするカラスが死んで、樹上で腐った死骸の一部が地面に落ちたという可能性も考えられます。

腐りかけたカラスの羽根に、黒くて三葉虫のような体型をしたシデムシ類の幼虫が群がっていました。 (種名不詳)
落枝を使って羽根を裏返してみてもシデムシ成虫の姿がなかったので、私には幼虫の種類を見分けられません。
近くの溜め糞場でよく見かけるクロボシヒラタシデムシOiceoptoma nigropunctatum)の幼虫ですかね?
他には微小なハエも来ていました。 

鬱蒼としたスギ林の中は日差しが遮られて薄暗いのに、かなり蒸し暑い日でした。 
写真の後で動画も撮ろうとしたのですけど、先を急ぐ用事があって焦っていた上にあまりの暑さで頭がボーッとしていた私は動画撮影が雑になってしまいました。
不用意に近づいたら、シデムシの幼虫は散り散りに素早く逃げてしまいました。


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全景写真の中央の上下に獣道が走る。

扇風行動で巣内を冷やすコガタスズメバチ♀

 



2023年7月中旬・午前11:45頃・晴れ 

物置小屋の軒先に営巣したコガタスズメバチVespa analis insularis)のコロニーを定点観察しています。 
前回と比べて巣の形状ががらっと様変わりしていました。 
外皮が少し大きく成長して、球形というよりも、やや滴状の形になりました。
初ワーカー♀が羽化したので、初期巣に特有の煙突状の細長い巣口は完全に撤去されていました。 
この撤去作業を観察・撮影するのが私のミッシング・リンクになっているのですが、残念ながら今季も見逃してしまいました。 
新たな巣口として、外皮の底部の側面に丸くて大きな穴が開いていました。 

巣口が大きいので中の様子が結構よく見えます。 
中から外をじっと見張っている大型の個体は創設女王です。 
巣内で少なくとももう1匹の内役ワーカーが動き回っていました。 
巣口に顔を出したものの、飛び立って外役に出かけませんでした。 
巣盤の育房の一部は白い繭のキャップで覆われています。 (繭の中で蛹が育っています。) 

巣口の縁から外皮に乗り出した門衛♀が単独で扇風行動をしていました。 
巣内の気温が高くなり過ぎると幼虫や蛹の発生に悪影響を及ぼすので、巣内に冷風を送り込んでいるのです。 
コガタスズメバチの巣口がこんなに大きな例を私は初めて見たかもしれません。
特に暑い日には巣内に熱気がこもらないように、臨機応変に巣口をかじり取って大きく広げるのかもしれません。
後で巣口を狭くするのもスズメバチにとっては朝飯前です。





扇風行動をストロボ写真で記録する際に、羽ばたきが止まって見えるようにもっとシャッタースピードを上げるべきでした。 
ハイスピード動画でも扇風行動を撮りたかったです。 
しかし現場に長居していると、近所の人に怪しまれてしまいます。 
せっかく人通りのない時間帯を狙って来たのに、コガタスズメバチの巣の存在を気づかれたら最後、大騒ぎになり駆除されてしまうでしょう。 
手早く撮影を済ませ、そそくさと現場から立ち去りました。 
とにかく焦っていた私は、肝心の気温を計るのも忘れてしまいました。 

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。 


つづく→? 
残念ながら、定点観察できたのはこの日が最後でした。 
予想通り、ここでもコガタスズメバチの巣は丸ごと駆除されてしまいました。 
スズメバチにとっても蜂好きにとっても、受難の時代が続きます。 
各種スズメバチの生活史を撮影するプロジェクトが遅々として進まないのは、定点観察の途中で巣が駆除されてしまうからです。 
人目を忍んで細心の注意を払ってコソコソ通わないとスズメバチの観察ができないのは、ストレスでもあり、情けなくなります。 
コガタスズメバチは攻撃性が高くないので、蜂を刺激しなければ、専用の防護服も着用しないで普通に撮影することが可能です。
(黒い服を着るのは避け、黒髪を帽子で覆い、香水や整髪料は使わないなど、服装には注意が必要です)


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