2023/10/30

越冬明けしたニホンアナグマ♀の営巣地に夜な夜な通い、近くでスクワットマーキングする♂【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年4月中旬 

謎の巣穴に住む野生動物の正体を確かめるために、トレイルカメラで監視しています。


シーン0:4/11・午後14:31・(@0:00〜) 
明るい昼間にたまたま撮れた現場の状況です。 
平地の二次林で左右2つの穴が林床に並んで掘られています。 
便宜上、巣穴R(右側)、巣穴L(左側)とそれぞれ呼ぶことにします。 
周囲の落葉灌木(樹種不明)に若葉が茂り始めました。 


シーン1:4/11・午後18:42・(@0:05〜) 
日没時刻は午後18:13。 
タヌキが謎の巣穴を訪問(映像公開予定)してから20分後、1頭の ニホンアナグマMeles anakuma)が写りました。 
赤外線の暗視映像で見ると、足は黒いものの顔の黒い模様は薄い個体でした。 
この♀が巣穴の主だと後に判明します。 
アナグマの性別判定にあまり自信がないのですけど、登場した個体を私なりに♀とか♂とか書き分けることにします。 

巣穴Rの周囲を徘徊して、タヌキの残り香を嗅ぎ回っています。 
タヌキとアナグマは同居しておらず、「同じ穴のむじな」ではありませんでした。 
カメラに向かって近づいてきたのに、1分間の撮影で動画が打ち切られました。 

前日に私がトレイルカメラを設置するために営巣地をズカズカと歩き回ったので、冬眠から早く覚めてしまったのでしょうか? 


シーン2:4/11・午後19:57・(@1:06〜) 
アナグマ♀が2つの巣穴LRの間をうろついてから巣穴Lを覗き込んだものの、中には入りませんでした。 
巣穴Lの周囲でひたすら地面の匂いを嗅ぎ回っているだけです。 


シーン3:4/11・午後20:01・(@2:06〜) 
いつの間にか巣穴Rの近くにアナグマ♀が来ていました。 
そのままノソノソと右へ立ち去りました。(獣道があります) 


シーン4:4/12・午前3:11・(@2:28〜) 
日付が変わった深夜、アナグマ♂が巣穴Rの縁に来ていました。 
穴の奥を覗き込むだけで、入らずに後退しました。 
カメラの方にズンズン近づいて来ます。 
顔の縞模様が不明瞭な「顔白」個体♂でした。 
(自然光下で見た時に白いかどうかは分かりません。) 

画面の左で地面の匂いを嗅ぎ、腰を落として尻を地面に擦り付けました。(@3:16〜) 
これはスクワットマーキングと呼ばれるアナグマ特有の匂い付け行動です。 
このとき、怒ったように落ち葉を足で掻きました。 
私あるいはタヌキの歩き回った残り香が気に食わなかったのでしょう。 

※ 落ち葉を足で掻くシーンだけ動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 

その後は巣穴Lを覗き込んで入りかけたところで録画終了(尻切れトンボ)。 


シーン5:4/12・午前3:13・(@3:29〜)
つづき。 
結局、顔白♂は巣穴Lを物色しただけで中には入らなかったようです。 
奥の林縁を歩き回り、尻の臭腺・肛門腺を地面に擦り付けて匂い付けしました。(スクワットマーキング@3:36〜) 
右に立ち去りました。 


シーン6:4/12・午前3:19・(@4:02〜)
左から歩いて来たアナグマ♀が巣穴Rの奥の林縁で灌木の根元に立ち止まり、何かしています。 
さっき♂がスクワットマーキングした匂いを嗅いでいるのでしょう。

ようやく灌木林に入りました。 姿が見えなくても白い目だけがピカッと光ります。 


シーン7:4/12・午前3:20・(@5:02〜)
つづき。 
♀が巣穴Rの奥の林縁広場で座り込み、右後脚で痒い右脇腹をボリボリ掻きました。 
その後、 初めて巣穴Rの奥にしっかり入り、姿を消しました。 (入巣R)
ここまでが観察初日の記録です。 
これほど長く観察できたのは初めてで、一挙手一投足が面白いですね。

アナグマは複数の巣穴を掘ることが多く、その営巣地をセットと呼びます。 
私が見つけた小規模なセットLRは、♀が越冬した巣穴でした。 
越冬明けの春はアナグマの交尾期です。 
近所に住む♂が夜な夜な♀の巣穴へ夜這いに来て、♀が発情するのを待っています。 
複数の♂が代わる代わる来ているようですが、個体識別ができていません。 
♂が♀の巣内に強引に侵入することはありません。(♀に怒られる?) 
♂の巣穴がどこにあるのか、私は未だ見つけられていません。


シーン8:4/12・午後22:44・(@5:38〜)
この時期のニホンアナグマは基本的に夜行性なのか、明るい日中は活動しませんでした。 
晩になってようやく左から♂が登場。 
顔や肩周りなどずんぐりむっくり(がっしり)した体型から♂と見分けています。
♀の体型は華奢です。
巣穴Rを覗き込む後ろ姿で股間が見えたのですが、睾丸や陰茎などの外性器がよく分かりません。

右に立ち去るときに、なぜかぎこちない歩き方でした。 
すぐにまた右から戻って来て、巣穴Rを覗き込みました。 
その奥の灌木の根元で、前夜と同じく念入りにスクワットマーキングしました。(@6:17〜) 


シーン9:4/12・午後22:46・(@6:28〜)
つづき。 
左に回り込んでから別の灌木の根元で再びスクワットマーキング。(@6:38〜) 
♀のセットのあちこちに♂が匂いで猛アピールしています。 
巣穴の周囲に多数生えた細い落葉灌木の茂みが邪魔で、何をしているのかよく見えません。 
幼木がどれも強く湾曲しているのは、冬の積雪によって押し潰された豪雪地帯に特有の樹形だと思います。
しかし、灌木が強く湾曲しているのは、この二次林の中でアナグマの巣穴周辺だけなのが不思議です。
もしかしてアナグマ♀が自分の巣穴の存在を隠すため意図的に灌木を折り曲げた結果なのだとしたら、面白い発見になります。
アナグマが地中にトンネル網を張り巡らせると木の根が痛めつけられますから、灌木の正常な成長が妨げられるのかもしれません。


シーン10:4/12・午後22:49・(@7:28〜)
つづき。 
♂が巣穴Lの左で何やら活動中です。 
最後は珍しく左に立ち去りました。 


シーン11:4/12・午後23:35・(@7:49〜)
深夜に、おそらく巣穴Lから出てきたばかりと思われる♀が、巣口Lを覗き込んでいます。 
セットをぐるっと回り込んで巣穴Rに入りそうになったところで、録画終了(尻切れトンボ)。 
2つの巣穴LとRは内部で繋がっていると予想していますが、確認できていません。 


シーン12:4/13・午前0:21・(@8:49〜) 
日付が変わった深夜、(巣穴Rから出てきたと思われる)♀が左へ立ち去りました。 
餌を探しに出かけたのでしょう。 
トイレ(溜め糞場)に行ったのかもしれません。 

この♀は正面を向いてカメラ目線になった時に、左右の目の大きさが異なることに気づきました。 
左右の目の色が違うオッドアイ(猫で稀に見られるodd-eye)や斜視など生まれつきの特徴なら、個体識別に使えそうです。 
ただしヒトでも激しく疲れたときには片目がしっかり開かなくなったり目つきが変わったりしますから、アナグマ♀も越冬・出産・育児の激務で疲労困憊しているだけかもしれません。 


シーン13:4/13・午後14:22・(@9:10〜) 
明るい日中にたまたま撮れたセットの様子です。 



ゴイサギ幼鳥の死骸を見つけた!(野鳥)

 

2023年4月中旬・午後15:50頃・くもり 

平地の休耕地(夏はソバ畑)の端に自生する落葉灌木(オニグルミ?)の下に鳥の死骸を見つけました。 
辺りに羽毛が散乱しているということは、捕食者に狩られた食べ残しなのかな? 
手に直接触れないように小枝を使って死骸を裏返してみるとミイラ化した頭部が現れ、ゴイサギNycticorax nycticorax)の幼鳥(俗称ホシゴイ)だと判明しました。 
体が不自然に曲がった状態で固まっています(死後硬直)。 
大きさの比較として、長さ20cmの熊よけスプレーを横に並べて置きました。 

春が来て残雪が溶けたのに、屍肉食性の昆虫は全く来ていませんでした。 
古い死骸だと思うのですが、死亡推定時刻どころか、いつ死んだのか不明です。 

この死骸について、私なりに推理してみました。
死体発見現場は溜池から数百m離れた地点でした。 
夜行性のゴイサギを、昼間にその池で見たことはありません。 
夜になると採食のために飛来するのでしょう。 
餌場の溜池から少し離れた防風林をねぐらとしていたゴイサギ幼鳥が冬の間に死んだようです。 
寒さや飢えで死んだのか、猛禽などの捕食者に狩られたのか、解剖しないと詳細は不明です。 
この辺りは様々な野生動物(テン、ハクビシン、タヌキ、キツネなど)が生息しているのに、死骸がミイラ化して干からびるまで放置されていたのは不思議です。 
おそらく根雪の下に長期間埋もれていたせいで、カラスやトビなどのスカベンジャーに見つからなかったのだろうと推測しています。 

せっかく見つけたゴイサギ幼鳥の死骸を回収して頭骨標本を作ろうか、そのまま放置してスカベンジャーが来る様子を監視カメラで撮影しようか、悩みました。 
しかし当時の私は複数のプロジェクトが同時進行中で忙しく、とても余力がありませんでした。 
限られた台数のトレイルカメラをやりくりするのは大変で、どうしてもプロジェクトの優先順位をシビアに決める必要があります。 

定点観察のため7日後に現場を再訪してみると、ゴイサギ幼鳥の死骸は無くなっていました。 
屍肉食性の野鳥(カラスやトビ)または野生動物が死骸を見つけて持ち去ったのだろうと推察しています。 


※ 私の悪い癖なのですが、現場の状況を動画で記録する際に寄りの絵でカメラをせっかちに振り回してしまい、動きが激し過ぎて酔いそうな映像になってしまいました。 
苦肉の策として、再生速度を70%に落としたスローモーションでお届けします。 
音声がやや間延びしているのは、そのせいです。

2023/10/29

小川に架かる倒木を夜な夜なペアまたは単独で渡るホンドタヌキ【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年4月中旬〜下旬

小川に架かったニセアカシア倒木が天然の丸木橋になっています。
ホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が夜な夜な渡る様子をまとめました。


シーン0:4/6・午後15:47・気温23℃(@0:00〜) 
明るい日中にたまたま撮れた現場の様子です。 
小川が画面の手前から奥に向かって緩やかに流れています。 


シーン1:4/11・午後18:54・気温12℃(@0:05〜) 
日没時刻は午後18:13。 ちょうど日没時刻なのに、もう真っ暗です。 
カメラの起動が遅れ、タヌキが丸木橋を左岸から右岸へ渡る途中でした。 
右岸を登ったところで、待っていた先行個体と合流しました。 
どうやら先行個体が渡る様子は撮り損ねたようです。
この2頭は、行動を共にしている♀♂つがいのパートナーなのでしょう。 
小川の流れる音でかき消されてしまっているのか、鳴き交わす声は聞き取れませんでした。 

ところで、気温が低くない晩なのに、みぞれのような白い物が舞っています。 
これは雪なのか、それともいわゆる雪虫(アブラムシの一種)や花粉なのか、気になります。 


シーン2:4/19・午後18:58・気温(@0:22〜) 
日没時刻は午後18:21。 
8日後の晩には、まず先行個体aが丸木橋を左岸から右岸へ慎重に渡りました。 
タヌキはハクビシンよりも慎重に渡るようです。 


シーン3:4/19・午後19:00・気温(@0:49〜) 
ちょうど1分後に、後続個体bが左岸から右岸へ倒木を渡りました。 


シーン4:4/21・午後22:58・(@1:14〜) 
2日後の晩にはカメラの起動が遅れたせいで、丸木橋を右岸から左岸へ渡り終えるタヌキが写っただけでした。 
左岸の崖を登って笹薮の茂みに消えました。 


シーン5:4/23・午後19:17・(@1:23〜) 
さらに2日後の晩には、 ♀♂ペアが仲良く縦列で間隔を空けずに丸木橋を慎重に渡りました。 2頭のタヌキが同時に渡っても丸木橋の耐久性に全く問題はありません。 
右岸の茂みの奥から赤外線を反射するタヌキの目が白く光っています。 


シーン6:4/25・午後19:02・気温20℃(@1:51〜) 
逆アングルに設置した監視カメラからの暗視映像です。 
丸木橋そのものよりも、その右隣にある左岸の穴が気になって重点的に監視しています。
(野生動物の巣穴ではないかと疑っています。)

日の入り時刻は午後18:26。 
2日後の晩にまず先行個体が左岸に現れ、崖を下りて丸木橋を右岸に渡り始めました。 
渡り終えるときに対岸(左岸)に設置した別のトレイルカメラがようやく起動し、赤外線LEDが照射されました。


シーン7:4/25・午後19:02・(@2:11〜) 
別アングルから撮れた映像がこちらです。 
旧機種のカメラはタイムスタンプの時刻がすぐに狂い始めるので困ります…。 

倒木を伝って左岸から右岸へ渡り終えたタヌキが右岸の茂みに姿を消しました。 
そのまましばらく動画を撮り続けると(退屈なので5倍速の早回し)、左岸の茂みの奥から2つ白く光る目が現れました。(@2:33〜) 
タヌキの後続個体が丸木橋を左岸から右岸へ渡り、先行個体の後を追います。 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 


つづく→


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