2023/08/20

雪山のスギ林道でトレイルカメラを固定したスギの幹に眼下腺マーキングするようになったニホンカモシカ【暗視映像】

 



2023年1月中旬〜下旬〜2月上旬 

厳冬期に雪深い里山のスギ林道に通うニホンカモシカCapricornis crispus)の記録をまとめました。 

シーン1:1/19・午前3:21・気温-4℃・(@0:00〜) 
未明に左から現れたカモシカが林道を横切り、カメラの方へ近づいてきます。 
画面手前の死角で立ち止まると、何かを擦り付ける物音が聞こえます。(@0:17〜) 
※ 冒頭だけ動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 

どうやら、カメラを固定したスギの幹にニホンカモシカが顔を擦り付けて眼下腺マーキングしてるようです。 
(カモシカが死角に消えた間は5倍速の早回し。) 
しばらくすると、画面の下端から再登場したカモシカが林道を右へゆっくり立ち去りました。 
ちなみに、タヌキが持ってきた黒いビニールテープが林道の凍った雪面に残されたままです。

この辺りを縄張りとする複数個体のカモシカがこれまで代わる代わるマーキングしていた道端のスギ落枝が雪の下に完全に埋もれてしまったので、林道を挟んでちょうど反対側に立つスギの幹に眼下腺マーキングする対象物を変更したのです。 
ヒトの登山者が雪山で埋もれた道標を掘り出すように、お気に入りのマーキング用スギ落枝をカモシカが雪の下から掘り出したら面白いのですが、そこまで執着せずに臨機応変に対応しました。
1頭が新たな場所に眼下腺マーキングするようになれば、次に来た個体も匂いで気づき、それに対抗して自分もそこに眼下腺マーキングするようになるのでしょう。 




シーン2:1/21・午後12:39・気温-3℃・(@0:44〜) 
2日後の明るい昼過ぎにカモシカが再登場。 
大雪が積もった後で、林道上に放置された黒いビニールテープは完全に埋もれて見えなくなりました。 
左下手前の死角でスギの幹に眼下腺からの分泌物を擦り付けてマーキングしてる物音♪がかすかに聞こえます。(@0:48〜) 

足跡を見るとカモシカは右から登場したはずなのに、カメラの起動が遅れています。 
気温が氷点下のせいで電池の電圧が低下している上に、カモシカ毛皮の断熱性が高くてセンサーが体温を検知できなかったのでしょうか? 


シーン3:2/2・午前3:37・気温-3℃・(@0:56〜) 
12日後の未明にまたカモシカが現れました。 
雪が降りしきる中、奥の斜面を登ってきたカモシカが林道を渡って手前へ来ました。 
新雪に残るカモシカの足跡は、それほど深くありません。 

積雪量が増すと、トレイルカメラの位置が林道の雪面に対して相対的に低くなります。 
カモシカはトレイルカメラの匂いを嗅ぐと、いつものようにスギの幹にゴリゴリ♪と眼下腺マーキング。 
カメラに近過ぎですけど、なかなか迫力のある映像が撮れました。 
カメラでゴリゴリと角研ぎされたら大変ですが、壊されずに済んでよかったです。


シーン4:2/5・午前6:43・気温-4℃・(@1:34〜) 
 3日後、日の出直後の明るい早朝にカモシカが前回と同じルートで登場。 
(日の出時刻は午前6:37:46。) 
今回もトレイルカメラに興味を示しました。 
顔のアップで見ると、カモシカの睫毛が長いことが分かります。 
カメラに鼻息を吹きかけた際に、口内の下顎の白い歯が一瞬見えました。 
今回はスギの幹に顔を擦り付ける物音がしなかったので、匂いを嗅いだだけで眼下腺マーキングしなかった様子。 

林道を左に立ち去ったのではなく、どうやら法面を登って行ったようです。 
雪道にカモシカの蹄跡が残りました。

後日、逆方向から杉の木を狙うようにトレイルカメラの設置場所を変更し、カモシカの眼下腺マーキング行動をしっかり撮影できるようになりました。(映像公開予定)



跳んで逃げるオオカマキリの幼虫

 

2022年7月下旬・午後12:45頃・晴れ 

低山の細い山道を登っていると、ススキの葉の上にオオカマキリTenodera sinensis)の幼虫が乗っていました。 
左右の鎌を揃えて前に構え、獲物を待ち伏せしているようです。 
武器となる鎌をときどき口で舐め、手入れを怠りません。

横を向いたオオカマキリ幼虫の目線の先を追うと、左隣のススキの葉にいつの間にかトンボが止まっていました。 
アキアカネSympetrum frequens)の未熟♀のようです。 
急に飛び立つと、すぐにまた同じススキの葉に舞い戻りました。 
1/5倍速のスローモーションでリプレイしてみると、アキアカネ♀は急に上空を見上げてから飛び立っていました。 
上空を飛来した昆虫を狩ろうと緊急発進したようです。 
しかし、着陸したアキアカネ♀は口に獲物を咥えておらず、狩りは失敗だったようです。 
オオカマキリの幼虫はトンボが離着陸する動きに無反応でした。 
獲物としては大き過ぎますし、遠くて鎌が届く射程距離ではありません。 

私がカメラをマクロモードに切り替えてレンズを近づけると、オオカマキリ幼虫は慌ててススキの葉を伝って逃げ、隣の葉へピョンと跳び移りました。 
ススキの葉身をどんどん登り、逃げる場所がなくなりました。 
指でそっと腹端に触れると、驚いたオオカマキリ幼虫は躊躇なく地面に跳び下りました。 
1/5倍速のスローモーションでリプレイ。 
カマキリの成虫ならジャンプしながら羽ばたいて、遠くまで飛び去ることが可能です。 
不完全変態のカマキリ幼虫は成虫に体型がそっくりでも翅が未だありません(無翅)。 
カマキリの幼虫は体重が軽いので、高所から落ちても平気です(体にダメージが無い)。 
地上で見失ってしまい、カマキリ幼虫の逃避行動は成功です。 

関連記事(13年前の撮影)▶ オオカマキリ幼虫

2023/08/19

ニセアカシアの大木を逆さまに下りる雪国のハクビシン【トレイルカメラ:暗視映像】

 

2023年1月中旬・午後23:00頃・気温-1℃ 

河畔林のニセアカシア(別名ハリエンジュ)大木の真下に残された溜め糞場bLを自動撮影カメラで見張っていると、深夜にゴソゴソという激しい物音と共にレンズの至近距離に獣が現れました。 
ニセアカシア老木の幹に巻き付いて育った太いフジ(藤)蔓をハクビシン(白鼻芯、白鼻心;Paguma larvata)が爪を立てて垂直に下り、雪面に降りました。 
凍結した雪面に達すると、溜め糞場bLには興味を示さず横切りました。 
1/3倍速のスローモーションでリプレイ。 

フジ蔓上に見慣れない異物を発見したハクビシンが、トレイルカメラを調べに来たのかな? 
それとも、ニセアカシアの樹上にハクビシンがねぐらとする樹洞があるのでしょうか? 
後日現場入りした際に調べてみたのですが、下から見上げた限りでは、樹洞や巣穴は無さそうでした。 
ハクビシンは果実を好むらしいので、ニセアカシア高木に巻き付いたツルウメモドキの熟果を食べに来た可能性もありそうです。




同じ流域の河畔林で数百m離れた地点(溜め糞場rvやコンクリート護岸)でもハクビシンの家族がトレイルカメラにこれまで何度も写っていたので、今回登場したこと自体には驚きはありません。 
元々ハクビシンは南方系の外来種のはずなのに、雪国(東北地方)の厳冬期でも冬ごもりや冬眠をしないで適応し、元気に活動している様子が撮れたのは初めてです。 
身軽なハクビシンは木登りが得意だと評判ですが、ほぼ垂直の大木を逆さまになって下りる様子を間近で撮影できたのも嬉しい収穫です。
木下りの次は、ハクビシンの木登りを撮影してみたいものです。






【追記】
郷土出版社『置賜ふるさと大百科』を紐解くと、ハクビシンに関するコラムがありました。
夜行性で木登りがうまく、長い尾でバランスをとりながら、樹間を移動する。(中略)現在置賜地方全域に生息し、最近では市街地でも見かけられるようになった。(p54より引用)


私が特に興味を持ったのは次の一節で、初めて聞く話でした。

戦前に中津川(現在の飯豊町) や山形県境に近い福島市庭坂で、タヌキの毛皮目的で繁殖が行われたという話を聞いた。タヌキと一緒に動物商から「台湾タヌキ」と称する動物を購入して飼育したが、毛皮が粗悪で売り物にならず、山に放したり、なかには逃亡したものもいたという。持参したハクビシンの写真を見せたところ、それは間違いなくハクビシンであった。わが国におけるハクビシンの渡来ルーツを解明するのに貴重な証言である。(p54より引用)



【追記2】 

増田隆一『ハクビシンの不思議:どこから来て、どこへ行くのか』によると、

私(筆者:しぐま註)の憶測ではあるが、積雪地帯の冬季には、ハクビシンは森林には入り込まず、ヒトの生活環境の近くで住居の一部や残飯を利用して生活しているのではないだろうか。そして、春から秋の積雪のない時期には、森林で生活し、分布域を広げている可能性がある。(p117より引用)

そして筆者は、ハクビシンの糞内容物調査によって雪国で冬季の食性を調べることを提案しておられました。

私も興味があるのですが、ハクビシンの溜め糞場をフィールドで見つけたことがありません。



太いフジ蔓以外に多数巻き付いている細い蔓はツルウメモドキ



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