2022/01/03

イチジクの熟果に集まり順番待ちするアカタテハ

 

2021年8月下旬・午後13:35頃・小雨

熟したイチジク(無花果)果実の甘い匂いに誘われてアカタテハVanessa indica)も飛来しました。 
しかしオオスズメバチ♀の群れが熟果を占有している間は、怖くて近づけないようです。 
順番待ちしながらアカタテハは未練がましく口吻を伸ばしてイチジクの葉柄や未熟果の表面を舐めています。 

この組み合わせは初見だったのに、実際にアカタテハがイチジク熟果から吸汁するシーンは撮れませんでした。 
スズメバチが来てないイチジク熟果もあったので、いずれアカタテハも吸汁できたはずです。
しかし小雨が降っていたため、私も長時間粘る気になれず帰りました。

 

2022/01/02

秋の山道で行動を共にするニホンカモシカ母子

 

2021年10月上旬・午後15:45頃・晴れ 

山道が広場になった地点でニホンカモシカCapricornis crispus)の母子と遭遇しました。 
毛が白っぽい幼獣は私(の気配)に気づいたようで、こちらを振り返って見ています。 
一方、先を歩く母親は私に全く気づいていませんでした。 
カモシカの幼獣は角が生えてないと思いきや、頭部にズームインしてみると小さな突起のように可愛らしい1対の角が生えかけていました。(@2:22) 
幼獣を連れて歩く成獣は♀のはずですが、シカと違ってカモシカは♀の頭にも角があるので、性別を外見で見分けられません。 
股間の外性器を見ようとしても性別不明です。 
下腹部も毛に覆われているため、乳首も見えません。 
せめて幼獣に授乳してくれれば母子と確定するのですが、ちょうど乳離れした時期のようでした。

広場の横に自生するヒメヤシャブシ灌木の葉がさび病に罹ったのか褐色に変色しています。 
ニホンカモシカの母親♀はその枝葉の匂いを頻りに嗅いでいます。 
顔の眼下腺をヒメヤシャブシや隣に生えたミズナラの葉に擦り付けてマーキングしているようです。 
結局、母親♀は灌木の葉を採食しないで歩き始めました。 

幼獣は母親に追いつくと、並んで歩いて行きます。 
ガードレールの陰で幼獣は左後脚の足の先(蹄)で左耳を器用に掻きました。(@0:44) 

母親♀は体表の毛が黒く、秋晴れの山道で暑そうに喘いでいます。 
一方、幼獣の毛皮は少し白っぽい。 
小走りで母親について歩く幼獣は舌を出し入れしていました。 

母親が立ち止まって道草を食いました。(採食) 
ようやく私の匂いを嗅ぎつけたのか、♀がこちらを振り返って正面から私を不思議そうに凝視しました。 
しかし鼻息を荒げて威嚇することはありませんでした。 
少し距離が離れているので、カメラを構えたままじっとしている私の姿が近視のカモシカには見えてないようです。 

ゆっくりした足取りのまま母親♀が先導し、広場の端の急斜面を下り始めました。 
山中で電線の下の斜面は保線管理のためきれいに草刈りされています(伐採帯)。 
私が急いで近づいてから続きを撮ると、カモシカの母親♀は電柱のケーブルカバーの匂いを嗅いでいました。(眼下腺マーキング?) 
枯れ草を踏みしめる音をなるべく立てないようにゆっくり忍び寄った私が急斜面の上から見下ろすと、カモシカの母子は近道の伐採帯を下り切るところでした。
砂利の敷かれた林道に辿り着いた母子が並んで立ち止まりました。
カモシカの母親は右横に来た幼獣の脇腹の匂いを嗅ぎながら、尾を左右にパタパタと激しく振りました。 
最後、母子は林道を左に曲がって死角に消えました。 

この後もしつこく2頭を追いかけようか迷ったのですが、冒頭で母親♀が眼下腺マーキングをしていた灌木の樹種を調べに戻りました。
 (写真鑑定でヒメヤシャブシおよびミズナラと判明。)

野生ニホンカモシカの母子を見れたのは久しぶりです。 
これまで母子を目撃した時期は8月上旬および下旬、3月下旬でした。 
 関連記事(6、8年前の撮影)▶  
走り去るニホンカモシカ母子 @2015年8月上旬 
 むらたこういち『ニホンカモシカ (くらべてみよう!どうぶつの赤ちゃん)』という本で復習すると、カモシカの母子が行動を共にする期間は約1年間なのだそうです。
・ニホンカモシカは毎年5月から6月に赤ちゃんを産みます。一度に1頭出産し、お母さんだけで赤ちゃんを育てます。 (p7より引用) 
・1才になるまで、子どもはお母さんといっしょにすごします。(p15より) 
・4ヶ月ほどたつとお乳だけではなくお母さんと同じように木の葉っぱや果物を食べるようになります。 (p17より) 
・(♀の)乳首は、お腹の後ろ足のつけ根の近くに2つある。
この本によると、10月上旬の幼獣はちょうど離乳し始めた頃になります。 
確かに今回、母親は幼獣に授乳しませんでした。 
幼獣も母親の真似をして自力で草などを少し採食したようです。 

 
眼下腺マーキング@ヤシャブシ/ミズナラ葉
ヤシャブシ葉(さび病?褐色変)

仲間の糞を咥えて捨てるカクモンヒトリ(蛾)若齢幼虫

 

2021年10月上旬・午後15:15頃・くもり
前回の記事:▶ コシアブラ幼木の葉に群がるカクモンヒトリ(蛾)の若齢幼虫

コシアブラの葉の表面を徘徊するカクモンヒトリLemyra inaequalis inaequalis)若齢幼虫を動画に撮っていると、面白い行動がたまたま記録されていました。 
おそらく隣の別個体が残したと思われる糞を見つけると、それを抱えて葉の外にポイと捨てたのです。(@0:35) 
黒い糞を短い胸脚で抱えたというよりも、口で咥えて捨てたように見えました。 
集団で食べている植樹植物を衛生的に保つだけでなく、寄生蜂や狩蜂などの天敵を糞の匂いで誘引しないために進化した行動でしょう。 
そもそも、それぞれの幼虫は排便する際に糞が食草の外に落ちるような体勢になるはずですが、たまに失敗してもお互いに糞を掃除するようです。 
この行動は利他的のように見えて、実は天敵から我が身を守るための利己的な行動だからこそ、進化してきたのでしょう。

カクモンヒトリは幼虫越冬らしい。
幼虫の段階では近縁種クロバネヒトリと酷似しているので成虫まで飼育したかったのですが、この時期は忙しくて世話する手が回らず、諦めました。 

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