2021/06/05

早春の池で水面に浮かぶヤマアカガエル♂

 

2021年3月中旬・午後12:30頃・晴れ 

ヤマアカガエル♀♂(Rana ornativentris)が繁殖のために集まる早春の池Hで長時間観察していると、ときどき水面に独身♂がプカプカ浮いていることがあります。 
本格的な配偶行動が始まるまで退屈なので、浮遊ガエルの理由をいくつか考えてみました。 

(1)池の水底でじっとしている個体が息継ぎのために浮上したのでしょうか? 
水面で浮いていた♂が息を吐きながら潜水して池の底に戻ることがありました。 

(2)岸辺に上陸する前に危険が無いかどうか周囲を見張って警戒しているのかな? 
動画の最後に登場する個体は、水面に浮遊しながら風でゆっくりと岸の方へ流されるがままになっています。 
岸辺に漂着すると、そのままそこを縄張りと定めて♀の待ち伏せを開始。 
これが普通ではなく、多くの♂は池の底から水中を岸辺まで登ってきて、上陸ポイントを自分で決めます。

(3)他の多くの♂は岸辺で池の外を向いてほぼ等間隔で並んで各自が縄張りを張り、♀が産卵に来るのを待ちます。 
ただし、自分の縄張りの近くに♀が来なければ、抱接のチャンスは無いでしょう。
一方、池の水面に浮いている♂は、独自の繁殖戦略なのかもしれない、と思いつきました。 
つまり水面で全方位を見張り、♀が岸辺のどこに現れても一気に泳いで♀の元に駆けつける作戦なのかもしれません。 
池が小さかったり、岸辺で待機するライバル♂の数が少なければ、その作戦でも♀獲得に成功する可能性がありそうです。 
しかし池が大きかったりライバル♂の密度が高くなったりすると、池の中央から泳いで辿り着く前に、岸辺で予め待っていたライバル♂がすぐに♀を掴まえ抱接してしまうはずです。


2021/06/04

モンシロチョウ♂に求愛された♀が交尾拒否行動せずに逃げた謎(ツンデレ♀?)

 

2020年5月中旬・午後13:50頃・くもり 

民家の家庭菜園の片隅に咲いたアブラナ科の野菜(クキタチ?)の周囲をモンシロチョウ♂(Pieris rapae)が探雌飛翔していました。 
一方、♀aらしき個体が翅をしっかり閉じたまま葉裏にしがみついた静止しています。 
♂がその背後で激しくホバリングしても、♀aは全く無反応でした。 
もし交尾済みの♀ならば、♂に迫られたときに広げた翅を深く下げながら腹端を高く持ち上げて交尾拒否の意思表示をするはずです。
この♀は交尾拒否行動もしないで、ただじっとしていました。
なんとなく羽化直後の♀個体ではないか?と思うものの、定かではありません。 

撮影中は気づかなかったのですけど、実はその奥(画面の上)の葉裏にも別個体♀bが潜んでいました。 
この♀bは♂に対して交尾拒否行動を示したようですが、肝心の腹部の状態が手前の茎に隠れてカメラにはしっかり写っていません。 
途中から飛んで逃げて行きました。 

モンシロチョウ♂が繰り返し舞い戻ってきて、♀aにしつこく求愛しています。 
遂に我慢しきれずに♀aが飛び立つと、追いかけてくる♂と乱舞になりました。(求愛飛翔) 
♀aはすぐに近くのクキタチ?葉陰に隠れてしまい、見失った♂が必死で辺りを探索しています。 

♀aの不可解な行動がなんとも解釈に困る動画でした。 
自然界は常に教科書通りになるとは限りません。
ツンデレな♀個体なのでしょうか?
寝ていたにしては、時刻が午後です。
もしかすると、♀aは食草の葉裏に産卵中だったのかな?

 

早春の池で♀を呼ぶヤマアカガエル♂の鳴き声♪(求愛歌)

 

2021年3月中旬・午後14:05〜14:41・晴れ 

未だ雪深い早春の里山で冬眠から目覚めたヤマアカガエル♂(Rana ornativentris)が池の岸辺に陣取り、鳴いていました。 
♀を呼び寄せるための求愛歌で、辛抱強く待ち伏せしています。 
♀が来たら抱接し、産卵してもらうのです。 
♂が鳴いているシーンを動画で記録するのがとても苦労しました。 
私が雪山を登って池に近づくとヤマアカガエル♂の合唱が聞こえたのに、到着すると静かになってしまいました。 
ヤマアカガエルはとても警戒心が強く、私がザクザクと残雪を踏みしめて歩き回る物音を聞いたただけで、池の底にすぐ潜って隠れてしまいます。 
警戒心が解けて岸辺に戻って来るまで、私はかなり長いこと動かずにじっと待ちました。 
鳴かぬなら鳴くまで待とうヤマアカガエル しぐま

日当たりの良い山腹を流れる沢の水(雪解け水)が斜面の窪地に貯まって池になっているのですが、実は高低差のある2段の池L,Hが棚田のように連続しています(流れでつながっている)。 
下の池L(low)でようやく鳴き始めてくれた♂個体1匹に注目して撮影できました。 
池なのにチョロチョロ♪と水音が絶え間なく聞こえるのは、上の池H(high)から下の池Lに流れ込んでいる音です。 
このヤマアカガエル♂はちょうど流れ込みの直下で日当たりの良い岸辺に縄張りを張って待機していました。 
岸から生えた草に前足を掛けて体が流されないように固定し、池の外側を向いて静止しています。 
カエルは太陽を直視しても眩しくないのかな? 
後脚の大きく広げた内腿が、まるで緑藻が生えたように緑色でした。 (長い冬眠中に体表に藻が生えた?)

両頬の鳴嚢を風船のように膨らませながら、ココココ…♪と小声で繰り返し鳴いていました。 
求愛歌の合間には白い喉をヒクヒクと動かしています。 
日当たりが良い場所だったのに、日が傾いた後半は日陰になりました。 
そのせいか、最後にヤマアカガエル♂は岸辺を移動し始めました。 
(隣のライバル♂が気になるようです。) 

かなり苦労して撮ったのに、カメラのピントが被写体のカエルの目にしっかり合っていないような、変に滲んだ映像になってしまいました。 
今回は水面からのギラギラした反射光を抑えるためレンズに円偏光フィルター(CPLフィルター)を装着してみたのですが、その副作用で遠くの被写体をズームインしたときに像がぼやけてしまうのです。 
ヤマアカガエルの下半身など水面下の物は確かにきれいに写るのですが、水面から上に出たカエルの顔が少しぼやけてしまっています。 
安物買いせずにメーカー純正(正規品)のCPLフィルターを選んでいたら、こんな症状は出ないのでしょうか? 
普段は使いもしないCPLフィルターをわざわざ取り出して試してみたのに、大誤算です。 
何よりも、現場で撮影中にこの異状に気づかなかったことが悔やまれます。 
池から少し離れた雪原(雪山)に三脚を立てて撮影していたので、カメラのバックモニター(液晶画面)で確認したくても周囲が眩し過ぎて、細部までよく見えませんでした。 
(横着せずにビューファインダーでしっかり確認すべきでしたね。) 
よく晴れた雪山で半日過ごしただけで、雪からの強い照り返しで私の顔が少し日焼け(雪焼け)しました。 
動画の出来に満足できなかった私は、ヤマアカガエル♂の求愛歌を撮り直すために、数日後にも現場を再訪しました。 
ところがヤマアカガエルの繁殖行動は下火になっていて、♂は鳴かなくなっていました。 
来年にまた再チャレンジします。 

※ 動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 
ヤマアカガエル♂の求愛歌を声紋解析してみる? 

午後13:13に測定した池Lの岸辺の水温は13℃でした。
池の底の水温はもっと低いはずです。 



【追記】 
平凡社『日本動物大百科(5)両生類・爬虫類・軟骨魚類』でヤマアカガエルの生態について調べると、昼間に鳴くのは珍しいと分かりました。
水場では夜になると♂が集まり、「キャラララ…キャラララ…」と頬にある1対の鳴のうをふくらませてさかんに鳴きあう。人気(ひとけ)の少ない山間の池や水田などでは、明るいうちから鳴きだす個体もいるが、その場合はきわめて臆病で、少しでも人の気配がするとすぐに鳴きやんでしまう。(p36より引用)


【追記2】
ピッキオ『森の「いろいろ事情がありまして」 』という本でヤマアカガエルの繁殖行動を扱った第2話「スケートリンクのカエル合戦」によると、
 ♂は岸辺に集まり、「キャララ、キャララ」とかわいらしい声で鳴きます。1匹が鳴き出すと、それは付近が安全な証拠。それぞれライバル心に火がついたように鳴き出し合唱となります。(p12〜13より引用)

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