2017年5月中旬
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屋根裏の巣で待つ雛に虫を給餌するムクドリの♀♂つがい(野鳥)
屋根裏の巣に居る雛のためにムクドリ(Sturnus cineraceus)の親鳥がせっせと給餌に通っています。
毎回ではないのですが出巣の際に、雛の排泄した白い糞を嘴に咥えて巣穴から飛び出して来ることがありました。
雛の糞はゼラチン質の粘膜に包まれて食後に排泄されるので、親鳥が排糞しやすくなっています。
こうして親鳥は巣の中を出来る限り清潔に保っているのです。
そのまま流し撮りして、巣から飛び去る親鳥の後姿を捉えました。
運び出した雛の糞をどこに捨てるのでしょうか?
親鳥が空中から適当に落とすのか、それとも決まった場所があるのかな?
次は排糞の瞬間を240-fpsのハイスピード動画に撮ってみました。
※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。
2017年5月中旬
春に咲く木の花の中で個人的に大好きなのはジンチョウゲと並んでキリ(桐)です。
個性的な芳香なのにすっきりとしていて甘ったるくなく、たまりません。
桐は500円玉硬貨の図案にも採用されています。
そんな桐の花の送粉者に興味を持って毎年調べているのですが、とにかく高木なので花を観察するのは一苦労です。
長い梯子を持ち歩いたり危険で面倒な木登りをせずに、なんとか観察できないでしょうか?
昨年は山の急斜面を利用して撮影する方法を編み出しました。
今年は別な方法を試みます。
平地の河川にかかるとある橋の下(河川敷)に桐の木が数本植えられていて、橋の上から樹幹に咲いた花をヒトの目線に近い高さで愛でることが出来る絶好のポイントを見つけていたのです。
山地と平地とで桐に訪花する送粉者の種類は変わるでしょうか?
未だ蕾の頃から開花を待ちわびて、足繁く通いました。
この日、満開には早いものの、かなりの数の花が咲いていました。
風が止むと桐の花の甘い芳香が辺りに強く漂います。
ようやく開花していたのに、山地ではメインの送粉者であったクマバチ♀がここでは一匹も来ていなかった点が意外でした。
逆にちょうど一年前の里山ではほんの一瞬しか見れなかったクロマルハナバチ♀(Bombus ignitus)がここでは我が物顔に採餌していました。
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桐の花で採餌するクロマルハナバチ♀
花から花へ飛び回る同一個体を追いかけて動画に撮りました。
クロマルハナバチと言えば盗蜜行動の常習犯ですが、キリは花筒が太いため、正当訪花で安々と潜り込めます。
花筒の中で葯に触れたクロマルハナバチ♀の胸背に白い花粉がべっとりと付着しています。
やがて前年に作られた桐の実の殻に止まって身繕いを始めました。
体毛に付着した花粉を念入りに落とし、それまで空荷だった後脚の花粉籠に移し替えています。
しかし胸背には足が届かず、花粉で汚れたままです。
これは桐の花にとっては好都合で、クロマルハナバチ♀が次の花に潜り込んだ際に胸背が雌しべの先に擦れて受粉が成立するのでしょう。※
お化粧が済むと再び採餌を再開しました。
動画を視聴すると大きな川の流れる音が聞こえると思います。
以上から「川沿いの平地で桐に訪花するメインの送粉者はクロマルハナバチなのだろう」と単純に結論付けるのは早計です。
多分この仮説で正しいと思うのですが、念のために何年も通って観察例を積み重ね、傾向を比べてみないといけません。
というのも、今年の春は虫の発生が非常に遅れている(とにかく野外で昆虫が少ない)という報告が日本各地から寄せられ、私も同じ異状を実感しているからです。
実は今回、橋の上でかなり長時間粘っても、桐を訪花した昆虫はこのクロマルハナバチ♀一匹だけでした。
※ 実際に桐の花を分解して、雌しべ、雄しべと葯の位置を確認してみましょう。
ここは橋の欄干から手を伸ばせば桐の花を摘み取ることも可能なのです。
右半分の花弁をカットしてみます。
マルハナバチが花蜜を吸おうと花筒に潜り込むと、まず雌しべの先に背中が擦れることがよく分かります。
雄しべの葯はその少し奥に並んでいます。
送粉者のハナバチと共進化した結果、キリの花はこのような構造になったのです。