2016/12/24

ナガボノシロワレモコウの花蜜を吸うフタモンアシナガバチ♀



2016年9月上旬

水田の畦道に咲いたナガボノシロワレモコウの群落でフタモンアシナガバチ(Polistes chinensis antennalis)のワーカー♀が訪花していました。
花から花へ飛び回り、吸蜜しています。
そっと近づいて接写するために追い回しても同じ群落に舞い戻って来てくれるので助かりました。

何の変哲もない組み合わせの訪花映像に見えるかもしれませんが、私は「積年の謎がこれで解けた!」と非常に興奮しました。
Q: ヘラオオバコは虫媒花ではないか?
個人的にここ数年とても気になっている疑問で、しつこく追求しています。
詳しくはこちらのまとめ記事(リンク集)をご覧下さい。
定説によると、オオバコや帰化植物のヘラオオバコは地味な花を咲かせて花粉が多く、風媒花の特徴を備えています。

花糸(葯を支えている細長い柄の部分)が細長いのは風媒花(風によって花粉が運ばれる)の特徴です。(『ふしぎな花時計:身近な花で時間を知ろう』p102より引用)


花が地味で単純なのは、昆虫などの送粉者を惹き寄せる必要がないからです。
ヘラオオバコの花を嗅いでも芳香は感じられません。
風媒花は受粉効率の悪さを花粉の量で補います。
空気中に花粉を大量に撒き散らす結果、我々を悩ませる花粉症の原因(アレルゲン)にもなります。
ちなみにヘラオオバコは江戸時代の末期に渡来したらしい。



オオバコが風媒花であることは日本語版wikipediaに明記してありました。
一方、検索してもヘラオオバコが風媒花であると明記した資料を日本語で見つけられなかったのですが、英語でようやく発見。
風媒による他家受粉の他に、無性生殖のクローンでも増殖するそうです。


The mode of reproduction can vary among populations of P. lanceolata.[9] Reproduction can either occur asexually via cloning or sexually, with the pollen being wind dispersed.[9] In the populations that reproduce asexually via cloning, genetic variation is much lower than the populations that reproduce sexually.[8] (英語版wikipedia:Plantago lanceolataより)

アシナガバチ類はカリバチの仲間ですから、ハナバチと違って花粉を集めることはしません。
したがって、フタモンアシナガバチがヘラオオバコの花を舐めていたのは蜜腺の存在を強く示唆しています。
今秋はヘラオオバコの花を重点的に見て回り、この問題について更にしつこく証拠映像を撮り貯めていますので、お楽しみに。
植物組織学的に蜜腺の存在を証明するにはどうしたら良いのか、詳しい方は教えて下さい。
果糖を検出するアッセイをすれば良いのかな?
花が咲く前からヘラオオバコを袋掛けしておいて結実しなくなることを実験で示したとしても、それは風も虫も両方無い条件ということになります。
栽培したヘラオオバコに対して風だけ、虫だけ、をそれぞれ遮断するような本格的な実験を組む必要がありそうです。

風媒花をつける植物の仲間であっても、二次的に虫媒などになったと考えられるものもある。たとえばカシやナラなどのブナ科植物は風媒花をつける植物の代表であり、雄花は細長い柄に、ごく小さいものが並ぶ地味なものであるが、シイやクリの花には多くの昆虫が訪れる。これらの場合、雄花の穂は枝先に多数集まり、穂全体が黄色みを帯びることでまとまればかなり目を引くようになっており、また、強い香りを放っている。逆に、キク科におけるヨモギやブタクサのように、虫媒花の群でありながら、二次的に風媒となったものもある。(wikipedia:風媒花より)
今後はヘラオオバコだけではなくオオバコの花にも昆虫が訪花するのか、注意して見て回るつもりです。


【追記1】

恥ずかしながら、私は初めこの花をヘラオオバコかと思い込んでいたのですが、訂正しておきます。





↑【おまけの動画】

冒頭で示した映像は蜂にピントが合わない前半部を編集で泣く泣くカットしています。
今回のフタモンアシナガバチ♀がたまたまナガボノシロワレモコウの花穂で休んでいたのではなく結構長い時間ナガボノシロワレモコウの群落に執着して訪花していたことを示すために、ノーカット版をブログ限定で公開します。



【追記2】
ナガボノシロワレモコウの花に微小のアブラムシが集っていて、蜂がその甘露を舐めに来た可能性もあり得るかもしれません。
そのようなアブラムシの存在には気づきませんでした。

後日に撮影したアブラムシspコロニー@ナガボノシロワレモコウ花柄(2017年10月中旬)

2016/12/23

ウスムラサキイラガ(蛾)亜終齢幼虫の排便



2016年9月上旬
▼前回の記事
脱皮後に抜け殻を食すウスムラサキイラガ(蛾)幼虫【60倍速映像】


ウスムラサキイラガ(蛾)の飼育記録#4



脱皮して亜終齢になったウスムラサキイラガ(Austrapoda hepatica)幼虫は抜け殻を完食すると、しばらく休んでから食欲が回復したようです。
脱皮した葉裏から隣の葉に移動して、ミズナラの葉を食べ始めました。
それとともに、定期的に排便するようになりました。

脱皮した当日の夜および翌日に撮影した脱糞シーンをまとめてみました。
ラストシーン(@3:25〜)だけは、10倍速の微速度撮影で監視中に撮れたもの。
夜間(室温29℃、湿度57%)は約45分間隔で規則的に排便していました。
肛門がヒクヒクするのが排便の前兆です。
腹端を持ち上げてポトリと脱糞します。
丸い糞が勢い良く放出されます。
これまで様々な種類のイモムシを飼育してきましたが、幼虫の糞の断面は腸の形状を反映したロゼッタ状になるのが普通です。(※追記参照)
一方、ウスムラサキイラガ幼虫の糞は球形で、奇異な印象を受けました。
終齢になれば腸内の襞も発達して糞の形も変わるのでしょうか。

つづく→#5:ミズナラの葉を蚕食し脱糞するウスムラサキイラガ(蛾)亜終齢幼虫【100倍速映像】



※【追記】

盛口満『昆虫の描き方: 自然観察の技法II』p102~103によると、
イモムシは小さな体で、栄養価の低い植物の葉から、できるだけ栄養を吸収できるような工夫が必要となる。そのためイモムシは大食漢であったりするが、そのほかにも、栄養吸収の効率をよくするために、腸の断面積を大きくする工夫をしている。イモムシの糞は断面が花のような形になっているのは、このためだろう。






畑を歩き回るセグロセキレイ♀(野鳥)



2016年9月上旬

民家の家庭菜園でセグロセキレイ♀(Motacilla grandis)が徘徊していました。
♀なのか、それとも若鳥なのかな?
カメラを警戒して小走りで茂みの陰に隠れてしまい、期待した採食シーン(虫の捕食)は撮れませんでした。

実は見つけたときに一緒に居た♂は屋根の上に逃げてしまい、これは逃げ遅れた個体です。
冒頭で鋭く一声鳴いたのは、どちらの個体か不明です。



【追記】
藤田祐樹『ハトはなぜ首を振って歩くのか(岩波科学ライブラリー)』によると、
(セグロセキレイの)尾振りは、天敵を警戒している時に頻繁に行なわれることを明らかにした。捕食者に対して、自分は気づいていることを伝えるメッセージだというのだ。(p106より引用)



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