2014/01/15

ウジ虫を捕食するクロシデムシ



2013年9月下旬

ニホンザルの死骸を土に還す者たち:#12

生物分解の進むニホンザルの死骸に見慣れないシデムシが来ていました。
こんな真っ黒で巨大なシデムシは初見です。
帰ってから調べてみると、その名もクロシデムシNicrophorus concolor)という種類のようです。
触角の先端だけがオレンジ色です。
未採集・未採寸ですけど、檻の金網一辺の幅5cmと比べてみて下さい。

猿の死骸Rは足の先を檻の外に少しだけ出して死んでいます。
そこに密集して蠢くウジ虫をクロシデムシは次々と捕食していました。
その口元にハエの成虫(種名不詳)が群がっているのは幼虫を助けに来たのではなく、餌食となったウジ虫から滲み出る肉汁を舐めに来たのでしょう。
なんとも壮絶な光景でした。
その間、薄赤色のダニも数匹クロシデムシの体表を素早く動き回っていました。

私が檻に近づくとクロシデムシは警戒して隠れてしまうので、離れた位置から望遠マクロで撮りました。

つづく→シリーズ#13



ウコギの生垣に営巣を始めたキアシナガバチ?創設女王の身繕い



2013年5月中旬

ウコギの生垣に作られたアシナガバチの巣を気にして見に通っていたら、ようやく在巣の女王を確認出来ました。



セグロアシナガバチと迷うのですが、キアシナガバチPolistes rothneyi)のような気がします。
前伸腹節にも中胸背背にも(キアシナガバチならある筈の)縦2本の黄紋が無い点が非常に悩ましいです。(個体変異?)

初期巣の上部で静止している女王の顔正面をアップにすると、やや警戒しているようです。
私がしばらくフリーズすると女王様もようやく警戒を解いてくれて、巣上で身繕いしたり育房を点検したり。

刺だらけの枝に阻まれて初期巣の中がしっかり見えなかったのですが、育房数は約14室で、既に白い卵が幾つか産み付けられていました。

つづく→1週間後に見た育房増設



2014/01/14

猿の死骸から離脱するウジ虫の群れ



2013年9月下旬

ニホンザルの死骸を土に還す者たち:#11

ニホンザルの死骸Rの臀部付近や腕の下にウジ虫(ハエの幼虫)が特に密集しています。
2日前の観察と比べ特筆すべき変化は、屍肉を食べて充分に育った者から順に死骸を離脱しつつあることです。
これから地中で蛹化するために、檻の隅の地面に群れて蠢いている集団がいます。



後で思うと老熟した蛆虫を数匹サンプリングして成虫になるまで飼育し、ハエの種類を調べられればよかったですね。
当時は凄まじい光景と腐臭に圧倒されてさすがに少し気分が悪く、法医昆虫学者の真似事をしてそこまでやる根性がありませんでした…。

つづく→シリーズ#12



【追記】
岡田匡(岩波科学ライブラリー)『糖尿病とウジ虫治療――マゴットセラピーとは何か 』を読むと、マゴットセラピーにも使われるヒロズキンバエの生活史について詳しく解説してありました。

3齢幼虫の後期あれほど執着していた食事は憑き物が落ちたようにぴたりと止める。土壌の乾燥した場所を求めて移動する前蛹期に入る。この時期がウジの生育段階でもっとも長い。この間に食べたものをすっかり消化して腸は空になり、蛹になる準備をする。 (p70より引用)
私が撮った動画に登場する蛆虫がクロバエ科のヒロズキンバエの幼虫とは限りませんが、可能性はあるので、参考のために引用しておきます。



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