2011/09/11

ワカバネコハエトリ?♂vsヤガタハエトリ♀異種間の威嚇誇示行動




2011年5月下旬

別種のハエトリグモが出会うとどのような行動を取るでしょう?

室内で別々に捕獲して飼い始めたワカバネコハエトリ?♂(体長〜4.5mm)とヤガタハエトリ♀(Pseudeuophrys erratica体長〜3.5mm)を一時的に同じ容器に同居させてみました。
たまたま♂♀のペアとなりましたが、優れた視覚を有するハエトリグモは当然ながら違う種の間で求愛・交接を行ないません。
種特異的な求愛ダンスを踊ることが性的隔離のメカニズムの一つと考えられています。


このワカバネコハエトリ?♂は捕獲した時から左の第一脚を欠損しています。
容器内でヤガタハエトリ♀の存在を認めるとワカバネコハエトリ♂は一本しか無い第一脚を高々と振り上げました。
この行動はハエトリグモではよく見られる威嚇ディスプレーと思われます。
それを見たヤガタハエトリ♀は特に歩脚や触肢を使った示威行動を取ることなく、おとなしく退却しました。


体格差が多少あるものの、狩りなどの直接攻撃に至ることもありませんでした。


前の記事で報告したように、後に同じ個体のヤガタハエトリ♀を用いて同種と思われるヤガタハエトリ♂と同居させました。
ところが、なぜかペアリング(求愛・交接などの繁殖活動)が上手くいきませんでした。
このヤガタハエトリ♀は奥手なのか気難しいのか出会いに消極的で、異種のハエトリグモ♂に対する反応と同じでした。
関連記事はこちら→「ヤガタハエトリ♂♀飼育記録:プラトニックな関係(求愛拒否?)


今思えば、ヤガタハエトリvsワカバネコハエトリの対決をどうせやるなら♂同士の方がクモ合戦として面白いはずなんですけど(文字通り異種格闘技)、試すのを忘れました。





2011/09/10

ヤガタハエトリ♂♀飼育記録:プラトニックな関係(求愛拒否?)




2011年5月下旬〜6月上旬



5月下旬に室内に迷い込んだハエトリグモを捕獲しました。
毎年恒例ですっかり馴染みになったヤガタハエトリ♂(Pseudeuophrys erratica)成体と思われます。
体長は約3.5mm。







相前後して同種の♀と思われる個体も室内で見つけて飼い始めました。
体長〜3mm。




クモ蟲画像掲示板」にて写真鑑定してもらうと、標本を精査しないとイワテハエトリとの区別が難しいらしいのですが、ヤガタハエトリ成体♂♀でまず大丈夫だろうとの所見を頂きました。

ハエトリグモにはよくあるように、ヤガタハエトリの斑紋は性的二型を示します。
大雑把に言うと♂は黒色、♀は褐色です。


繁殖行動を観察するために、この二匹を同じ容器に移しました。
初めの頃、♂は♀の住居網を調べたり潜り込んだり(夜這い)していたので、期待して見守りました。
同居の際に偶然♀の外雌器を接写できました。






ところが待てど暮らせど期待した交接行動は全く観察できません。
♂は興味津々で♀に接近しつつ第一脚を万歳のように振り上げ触肢を動かします(求愛ダンス?)。
しかし♀はそっけなく退却するだけで、決して♂を受け入れようとしません。
容器内で二匹が出会う度にこの行動が繰り返されます。



一つの住居網に同居したのは初めのうちだけで、じきに独立した住居を構えるようになりました。
ご近所トラブルを避けるためか(縄張り?)、容器内で互いに最も離れた対角線の位置に住居網を作ることが多かったです。


長期間の飼育でも共食いは起こりませんでした。


私が見てない間にこっそり交接した可能性も当然考えられます。
そこで飼育を続け、♀が受精したかどうか、つまり卵嚢を作るかどうか、幼体が孵化するまで見届けるつもりでした。
ところがその後、諸事情によりクモの世話や観察を続けられなくなってしまいました。
残念ながら中途半端な結果のまま、気づくとクモは干からびて死んでしまいました。



同種の成体なのになぜ今回のペアリングは不調に終わったのか、なぜプラトニックな関係を貫いたのか、非常に気になるところです。
以下は個人的な覚書で、機会があれば自分で追試します。


  1. 実は別種だった?
  2. ♂または♀が未だ亜成体だった? (脱皮していないと思うが見逃した?)
  3. たまたま♀が何らかの異常で♂を受容しなかった?
  4. 交接済みの♀はそれ以上の交接を拒否する? 本種♀はもしかすると生涯で一度(成体への脱皮直後など)しか交接しないのかも?
  5. ♂が♀の好みに合わず拒否された?(female choice!)
  6. 本種はパンダのような特に繊細な生きもので、飼育下ではなかなか繁殖行動をしてくれない? 特別な飼育環境を整えてやる必要があるかも。(私にとって一番の悪夢)

【追記】
一つのアイデアとして、♀だけをCO2麻酔にかけ寝かせておくと♂が交接するかどうか、試してみる価値はあるかも。
ハエトリグモ♂の中には同種♀の死骸に対しても求愛することがあるらしい。

参考:「麻酔したクモに対するネコハエトリの求愛行動:PDF」、「マミジロハエトリに求愛したヨダンハエトリ










2011/09/09

エンマコオロギ♂が鳴かない夜:謎の行動



2011年9月上旬

一匹で飼育しているエンマコオロギ♂(Teleogryllus emma)がある晩、奇妙な行動を示しました。
いつもなら機嫌よく鳴いているはずの時刻なのに、飼育容器からブルブルと何やら聞き慣れない低い音が持続的に聞こえます。

覗いてみると、立ち止まったまま翅を激しく振るわせていました。
映像をよく見直すと前翅だけでなく後翅も振るわせています。
しかし鳴くときの翅の動きとは明らかに違います。
正常に鳴く際はもう少し前翅を立てています。

これは何か意味のある行動あるいは特殊な鳴き声なのだろうか?
ヒトの耳には聞こえない周波数(不可聴域)で鳴いているのかもしれません(超音波、あるいは低周波数)。
それとも異常行動(神経症状?)なのだろうか。
てっきり老化で発音器官が磨り減り鳴けなくなったのかと思いきや、しばらくしたら正常に鳴いたので一安心。



同じ行動をこの日は何度も目撃しました。
しかし照明下の動画に撮れたのはこの一回だけです。
映像の最後で跳躍しました。

もしかすると、飛び立つための準備運動なのだろうか?
夜蛾が飛び立つ前に体温を上げるため飛翔筋を激しく震わせる準備運動を連想しました。
独り身で寂しくなったエンマコオロギ♂が♀を求めて飼育容器から飛んで脱出したがっていたのかもしれません。

この不思議な行動について何かご存知の方がいらっしゃいましたらコメントを頂けると幸いです。

【追記】
後日、エンマコオロギの交尾行動を飼育下で観察した際にヒントが得られたかもしれません。
♀にマウントされた♂は精包を排出しながら激しく身震い(貧乏揺すり)しました。
つまり、上記の謎の行動も独身生活の長い♂が溜まった精包を出した可能性が考えられます。
当時は翅の動きにばかり気を取られて、腹端の様子は観察していませんでした。
謎の行動は一晩で何度も繰り返したので、この仮説は違うかもしれません。






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