2023年10月中旬
平地のスギ防風林でホンドタヌキ(Nyctereutes viverrinus)専用の溜め糞場wbcを自動センサーカメラで見張っていると、たまに意外な珍しい鳥が写るので飽きることがありません。
シーン0:9/25(@0:00〜)
明るい日中にたまたまフルカラーで撮れた現場の様子です。
スギの落葉落枝が積もった林床の赤丸で囲った位置にタヌキが残した溜め糞場wbcがあります。
この画角では2つの糞塊が黒々と写っていて、画面中央やや左の糞塊が最大の溜め糞です。
実は、画面の左下外の死角にもう一つの溜め糞があります。
シーン1:10/11・午前6:45(@0:06〜)
画面左下辺りの林床で見慣れない地味な鳥が後ろ向きでじっとしていました。
やがて嘴で落ち葉をめくった際に方向転換しながら尾羽を素早く扇状に広げ、すぐに閉じました。(@0:15〜)
どうやらヤマシギ(Scolopax rusticola)のようです。
尾羽の裏側の先端が白いと成鳥なのだそうです。
尾羽を扇状に広げるのは威嚇のディスプレイなのでしょうか?
長い嘴を林床の落ち葉に差し込んでから、左にピョンと跳んで消えました。
一連の動きを1/3倍速のスローモーションでリプレイ。(@0:25〜)
シーン2:10/11・午前7:04(@0:42〜)
18分後にヤマシギが再び登場しました。
左から右へスギ林床をトコトコ歩いて横切って姿を消しました。
その後は画面の外からカラスのようなカモメのような鳴き声が聞こえたのですけど、ヤマシギの鳴き声かどうか分からず、編集でカットしてしまいました。
※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。
【考察】
ヤマシギという馴染みのない鳥が撮れたのは、生まれて初めてです。
和名から受ける印象とは違って山地性とは限らず、平地の林にも住んでいるそうです。
夜行性らしいのですが、早朝に採食行動(探餌行動)が撮れたことになります。
『やまがた野鳥図鑑』によると、
シギと言えば水辺の鳥だが、ヤマシギはその名の通り「山のシギ」だ。平地や山地の林にすんでいる。 ヤマシギは普通の鳥より目が真横にあるため、顔を動かさなくても360度見える。これは活動時間や採餌方法に関係があるのだろう。夜行性で、長いくちばしを土中に刺してミミズや虫などを探している。暗闇で下を向いて採餌するのだから、いち早く危険を察知する必要がある訳だ。 観察の機会は少ない。県内での生息状況はよく分かっていないものの、記録は一年中あり、意外と身近な場所にいるようだ。(p115より引用)
山渓カラー名鑑『日本の野鳥』という図鑑でヤマシギを調べると、興味深い食性が書いてありました。
夜行性で、昼間はよく茂った林ややぶの中に潜み、夕方になると飛び出して湿地、農耕地などで採餌する。柔らかい泥や堆肥の中などにくちばしをさし込み、くちばしの触覚で餌を探りあてる。小動物を捕え、特にミミズをよく食べる。夜行性であることと関連して、大きな目をしている。 (p265より引用)また、「翼を小きざみに震わせながら牛糞の中のミミズを採餌」というキャプションが付けられた生態写真も掲載されていました。
今回ヤマシギがタヌキの溜め糞場に現れたのは、やはり虫が多いからでしょう。
バードリサーチニュースの生態図鑑でヤマシギを調べても同様の記述がありました。
他のシギと同様に嘴の先端だけを開くことができ,土中の餌をつまみ取ることができる. 繁殖期には林内で営巣し,林内や草地で採食する.夜行性で,渡り時期や越冬期には昼間は林内などで休息するが,夜間には開けたところにも出てくる.関東では,河川敷の堤防沿いの草地や,草丈の低い(20cm以下)採草地を好む(写真2).農地の中でも堆肥置場など餌が豊富と思われる場所には複数個体が群れることがあり(後略).
私があちこちに設置したトレイルカメラにヤマシギが写ったのは、今のところこの一度きりです。
図鑑の情報を踏まえた上で、堆肥置場にトレイルカメラを設置すれば、幻の鳥ヤマシギを効率よく撮れるかもしれません。
尾羽を急に広げる謎の行動については、図鑑では何も言及されていませんでした。
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