2017年7月中旬・午後18:57〜20:09(日の入り時刻は午後19:01)
ここ数年、定点観察を続けているハクセキレイ(Motacilla alba lugens)の集団塒があるケヤキ並木を久しぶり(約4ヶ月ぶり)に見に来ました。
繁殖期が終わったらハクセキレイは夏の集団塒から居なくなるのかどうか(解散する?)、宿題が残っているのです。
▼関連記事のまとめ
・ハクセキレイ(野鳥)の集団塒:定点観察2017年
・ハクセキレイ(野鳥)の集団塒:定点観察2016年
冒頭に登場するのは、大通り沿いの某店舗の屋上に止まっていたハクセキレイ♂です。
塒入りが始まる前に、辺りによく響く声で鳴いていました。
屋根から飛んで大通り沿いの電線に止まり直しました。(就塒前集合場所に一番乗りの個体)
このように日没が近くなると各自が少しずつ集団塒に合流するのです。
この日の観察でまず意外だったのは、集団塒の位置がなぜか大通りに沿って少しだけ東に移動していたことです。
日没時刻の直前にハクセキレイが集まり始めた電柱は、従来の集団塒の一つである電柱Nの一つ東隣りの電柱Neでした。
カメラをズームインしてみると、背中の黒い♂だけでなく背中が灰色の♀も集まっていました。
繁殖期は♂しかここに塒入りしなかったので(♀は夜も巣に留まり抱卵・抱雛するらしい)、雌雄が集団塒に同居している点も大きな違いです。(性比の偏りが回復した)
やはり繁殖期が終わったとみなして良いでしょう。
恥ずかしながら私は未だハクセキレイの成鳥♀と若鳥の区別があやふやなので、灰色の個体は巣立ったばかりの幼鳥や若鳥である可能性もあります。
(幼鳥は全体にぼやけた灰色で、胸の黒斑が小さいらしい。)
これまでの観察から、「この群れは就塒前集合で、どこか近くにある集団塒にやがて移動するのだろう」と予想しました。
この予測は一部外れることになります。
昨年のハクセキレイは大通り沿いの赤い三角屋根に就塒前集合していたのですけど、今回そこには一羽も集まりませんでした。
しばらくすると、電柱Neのほぼ真下(東側)に植栽されたケヤキ街路樹の茂みに移動を始めました。
多数の個体が一気に飛び込む集団就塒ではなく、五月雨式に飛び込んでいます。
ケヤキの葉が生い茂っているため、外灯に煌々と照らされていてもハクセキレイが樹幹のどこに隠れたのか分からなくなってしまいました。(個体数をカウントできず)
しかし群れの一部の個体は夜になっても電柱Neの中段付近に居残っていました。(少なくとも17羽。なぜか電柱の最上部には
電柱を登るための太いボルトに止まっている個体も居ます。
昨年の観察では、春になってケヤキの葉が茂ると電柱よりもケヤキの樹冠に塒入りするようになりました。
樹幹の方が葉に身を隠しやすくて安心なのだろうと当時はすんなり理解したのですが、今回の塒入りでケヤキ並木よりも電柱を選択した個体の存在は謎です。
ケヤキ樹幹の塒が満員状態とは思えませんし、たとえそうであっても、現場はケヤキの並木道なので、他にもケヤキの木は等間隔で立っています。
真夏の寝苦しい夜は、ケヤキ樹冠よりも電柱の塒の方が風通しが良くて涼しかったりするのでしょうか?
ちなみに昨年のハクセキレイが塒入りしていたケヤキ並木は、通りを挟んで反対側の街路樹でした。
私が近くで撮影しているからハクセキレイは警戒してケヤキ樹幹に全個体が塒入りしなかったのだろうか?と考えたりもしました。
しかし、30分ほど現場を離れ戻って来ても、一部のハクセキレイは電柱に居残ったままでした。
日がすっかり沈んで空が真っ暗になると、鳴き声も聞こえなくなり辺りは静かになりました。
電柱Neの塒で未だ起きている個体は尾羽を上下に動かしています。
尾羽も動かさずじっとしている個体は寝静まっているのでしょう。
素人考えでは「電柱の中途半端な高さ(中段付近)よりも最上部で夜を過ごす方が天敵から襲われるリスクが低いのでは?」と心配になりますが、ハクセキレイなりの事情や理由が何かあるのでしょう。
この群れがいつ集団塒を少し東に移動したのか、そして理由も気になります。
何者か(捕食者やヒト)に追い立てられ、危険を感じたのでしょうか?
今季は他の撮影で忙しくて、定点観察の空白期間が生じてしまいました。
昨年の定点観察で、ハクセキレイの塒入りについては大体分かったつもりでいました。(本で得た知識をなぞっただけ)
ところが今回は細かい点で就塒行動に幾つか新展開がありました。
野鳥の生態は本に書いてあるよりも奥が深く一筋縄では掴めない(混沌としている?)、と改めて実感しました。
撮影の合間に測定した気温の変化は、
午後19:17で28.4℃、湿度61%。
午後19:27で28.2℃、湿度64%。
午後20:11で27.9℃、湿度63%。
撮影を終えて帰宅すると、夜からやや強い雨が降り出しました。
夏は気温が高いので、ハクセキレイは夜に雨が降って濡れても気にせず朝まで耐え忍ぶのでしょう。
もしも雨宿りが可能な場所に集団塒を変えるのなら、それはそれで面白い行動です。
※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。(実際はもっと暗いのですが、ハクセキレイの雌雄を見分けるために彩度を上げました)
つづく→15日後の定点観察
20:08 pm |
20:10 pm |
0 件のコメント:
コメントを投稿