2026/07/04

ハルジオンの花蜜を吸うキオビトビノメイガ(蛾)

 

2026年5月下旬・午後13:55頃・晴れ

里山の山腹をトラバースする林道に咲いたハルジオンの群落でキオビトビノメイガPyrausta mutuurai)が訪花していました。 
この組み合わせは初見です。 


とても小さな蛾ですけど、翅の模様のデザインが美しくて好きな種の一つです。
翅を全開にしたまま口吻を伸ばして中心部の筒状花から吸蜜していました。 
背後にクロマルハナバチ♀?(またはベーツ擬態のハナアブ)が飛来しても、この小蛾は気にせず吸蜜を続けています。 

私が動画を撮りながら近づいたら、キオビトビノメイガはハルジオンの花から飛び立ちました。 
高速の羽ばたきによって翅のオレンジ色の斑紋がチラチラと明滅して見えます。
雑草が一面に蔓延る林道を低空で飛んでから、カキドオシの葉の上に留まりました。 
触角を前脚で拭ったり、前脚を口で舐めたりして、身だしなみを整えています。


【考察】
小蛾の中では結構メジャーな種なのに、キオビトビノメイガ幼虫の食餌植物はまだ解明されていないそうです。
最新科学技術を使ってどのようにアプローチすれば良いでしょうか?
ChatGPTにアイデアをもちかけて相談してみました。

Q: 昆虫の中には、幼虫時代の食餌植物がいまだに分かっていない種がいる。採集した成虫を試料とし、DNAバーコーディングによって消化管内に残った微量な餌の種類を突き止めることはできないか? 変態の時期に消化管内の餌は完全に分解されてしまうだろうか?

A: 結論から言うと、ほとんどの完全変態昆虫では、この方法は期待できません。理由は、幼虫から成虫への変態の過程で消化管の内容物がほぼ失われるためです。

もう少し詳しく説明します。

完全変態昆虫(チョウ目、コウチュウ目、ハエ目、ハチ目など)では、終齢幼虫が蛹になる前に**摂食を停止し、消化管内の内容物を排出(gut purge)**することが一般的です。その後、蛹期には消化管を含む多くの組織が大規模に再編成されます。

このため、

  • 幼虫が最後に食べた植物組織

  • 植物DNA

  • 葉緑体DNA

などが成虫までそのまま残る可能性は極めて低いと考えられます。

したがって、成虫の消化管から「幼虫時代の食草」をDNAバーコーディングで特定することは、通常は困難です。

一方、不完全変態昆虫(バッタ類、カメムシ類など)では話が少し違います。幼虫(若虫)と成虫の間で消化管が完全に作り替えられるわけではないので、羽化直後であれば若虫時代の餌が残っている可能性はあります。しかし時間が経って成虫が摂食を始めれば、当然その情報は失われます。


では未知の食草はどう調べているのか?

現在では、いくつかの方法が用いられています。

1. 幼虫を探してDNAバーコーディングする(最も確実)

未知の幼虫を採集し、成虫とDNAバーコードを比較して同種であることを確認します。

これは近年非常によく行われています。


2. 幼虫そのものをDNAメタバーコーディングする

幼虫の消化管内容を解析し、食べた植物を同定します。

こちらは現在かなり一般的な手法です。


3. 成虫が産卵した植物を調べる

雌を飼育して産卵させ、

  • どの植物に産卵するか

  • 孵化幼虫が実際に食べるか

を確認します。


4. 野外で植物表面の卵や幼虫を探す

地道ですが、今でも非常に重要な方法です。


ただし、成虫から食草を推定できる特殊な場合もある

完全変態昆虫でも、

  • 成虫が羽化直後でまだ排便していない

  • 成虫が幼虫時代の巣や材の中で羽化する

ような場合には、体表や直腸付近に幼虫時代の残留物が残っている可能性はゼロではありません。

また、成虫ではなく

  • 蛹殻

  • 幼虫の糞(フラス)

  • 巣材

から植物DNAを検出できる例は報告されています。


むしろ有望なのは「腸内細菌」や「安定同位体」

近年は植物DNAだけでなく、

  • 腸内微生物叢

  • 安定同位体比(炭素・窒素など)

から幼虫時代の栄養源や生活環境を推定する研究も進んでいます。

これらは食草を種レベルまで特定することは難しいものの、「針葉樹由来か広葉樹由来か」「C3植物かC4植物か」といった情報を与えてくれることがあります。


つまり、ご提案の「採集した成虫から幼虫時代の食草をDNAバーコーディングで特定する」という発想は非常に魅力的ですが、完全変態昆虫では変態前の消化管内容がほぼ失われるため、現状では一般的な方法にはなっていません

ただし、この発想自体は研究者も以前から検討しており、その延長として現在は幼虫の糞(フラス)のDNAメタバーコーディングや、**環境DNA(eDNA)**を利用した手法などが発展しています。特にフラスは、幼虫を直接採集できなくても食草を高い精度で推定できるため、未知の食草を解明する有力なアプローチとして期待されています。

2026/07/03

【実録:猿も木から落ちる!】リンゴの樹上から落ちたニホンザル

 



2026年6月上旬・午前10:10頃・晴れ 

山麓の果樹園に群れで侵入した野生ニホンザルMacaca fuscata fuscata)を観察していると、「猿も木から落ちる」衝撃映像が撮れました。 

シーン1: 
リンゴの木に登って未熟な果実を食べている成獣♀が、隠し撮りする私に気を取られたのか、樹上でバランスを崩して落ちそうになっていました。 
足元の枝が不安定なようです。 
決まりが悪そうに樹上で向きを変えました。 


シーン2: 
なぜか毛皮が濡れている個体です。 
直前に小川で水浴びをしてきたのかもしれません。 
股間は見えませんでしたが、胸の乳首が小さいので、若い♀のようです。(♂の可能性は?) 

リンゴ灌木の梢でニホンザルが私を見つけて警戒していたら、座っていた細い横枝が猿の体重を支え切れずに、分岐点から折れてしまいました。 
この滑落事故は不可抗力です。 
咄嗟に下部の枝にしがみついてなんとか滑落を免れ、すぐに登り直しました。 
怪我はなかったようで、一安心。

樹冠部から大きく跳んで隣の木に移ると、青りんごの実った枝葉がしばらく上下に激しく揺れています。 


シーン3: 
「猿も木から落ちる」瞬間を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。(@0:51〜)
止まり木(横枝)の破断という不可抗力の墜落でした。
落ちていく猿に回転運動は見られず、折れた枝と一緒に自由落下しただけでした。

ついでに跳躍樹間移動もスローモーションで見直すと、激しく揺れた青リンゴ(未熟果)がいくつか落ちていました。(落果)


「猿も木から落ちる」様子は狙って撮れるものではないので、ラッキーでした。
次は、高所から落ちたネコが空中で自ら体をひねる有名な運動をスーパースローで撮ってみたいものです。


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サクランボの樹上で熟果をついばむスズメの群れ(野鳥)

 

2026年5月下旬・午後14:00頃・晴れ 

民家の庭で育ったサクランボの果樹にスズメPasser montanus)が賑やかに鳴き交わしながら群がり、赤く熟した果実を採食していました。 
枝葉の生い茂った中央部に隠れているスズメは撮影しにくいので、枝先部分スズメが来るまで待って撮影しました。 
青空を背景にすると、ピントを合わせやすいのです。 

スズメは、サクランボの果皮がまだしっかり赤く色づいていない果実を選んで食べることもありました。 
体の大きなムクドリとは違って、スズメはサクランボの果実を丸ごと飲み込めません。 
枝からぶら下がっているサクランボの果肉を、小さな嘴でちびちびと啄んでいます。 
熟果を枝からもぎ取って咥えた個体も、丸ごと飲み込まずに、果肉だけを器用に食べて種子は下に捨てました。 

サクランボの種子に注目すると、重力散布とほぼ変わりませんから、スズメはサクランボの被食型種子散布に寄与していると言えません。 
種子捕食者ではないものの、サクランボにとっては甘い果肉の食べられ損になります。 
ムクドリなどがサクランボの種子散布者を務めています。



離れた位置から撮影している私のことをスズメは明らかに警戒しているようで、横枝を伝って移動し、果樹の枝葉が生い茂った中央部に隠れてしまいました。


関連記事(7年前の撮影)▶ サクランボの熟果を食害するスズメ(野鳥)

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