2024/09/28

晩秋に落葉した二次林の林床をあちこち掘り返したのはニホンアナグマのしわざ?

 

2023年11月中旬・午後13:45頃・晴れ 

ニホンアナグマMeles anakuma)が営巣する落葉した二次林で、林床のあちこちに落ち葉やその下の土を掘り返した浅い穴が掘られていました。 
立木の根元も浅く掘られています。 
おそらくアナグマが採食した痕跡(フィールドサイン)だと思うのですがどうでしょうか? 
地中のミミズなどを好んで捕食するのだそうです。 
もちろん晩秋にだけこうした採食跡が見つかるのではなく、他の季節でも同様の採食痕があるのですけど、動画ネタが乏しくなってきたこの時期に思いついて撮影してみました。

以前、私は野生動物のフィールドサインを解説した本を読んで、掲載された採食シーンのイラストについて噛み付いたことがあります。 

関連記事(1年前の撮影)▶ 林道を掘り返した採食跡は誰のしわざ?【ニホンイノシシまたはニホンアナグマのフィールドサイン】
果たしてどれだけがトレイルカメラによる証拠写真(または動画)によって裏付けられているのか、気になります。 「採食行動をもっともらしく描いたイラストは、ただの想像図(筆者の仮説、妄想、願望、ファンタジー)ではないのか?」と疑い深い読者が意地悪な質問をしたときに、どのように反論するのでしょう? フィールドあるいは飼育下で採食シーンを直接観察した直後に食痕の写真を記録したのであれば、文句はありません。

今回私が「この動画に写っているのはアナグマの採食痕だ」と断定的に言った場合、過去に抱いた疑念がブーメランのように返ってきます。 
採食シーンを直接見てませんから、例えば「タヌキの採食痕ではないと言い切れるのか?」と詰問されると困ってしまいます。 

今のところ、私はアナグマの撮影を無人カメラに任せて、この二次林にはなるべく立ち入らないようにしています。 
理想を言えば、私もこの二次林の樹上にツリーハウス(観察小屋)を建てて何日間も中に篭り、アナグマの採食行動を直接観察してみたいものです。 
採餌シーンをこの目で見た直後に採食現場へ急行し、フィールドサインを確認すれば、それ以降に自信をもって見抜くことができるでしょう。 
しかし、広い林床のどこでアナグマが採食するのか予想できないため、待ち伏せできないのが問題です。 
よく通ってくるお気に入りの餌場があれば、そこにトレイルカメラを仕掛けてもよいでしょう。 
人工的に餌場を設けて(給餌して)採食シーンが撮れたとしても、私が知りたいことからずれてしまいます。 
宝くじにでも当たって莫大な予算(財力)があれば、監視カメラの数を増やして林内で格子状にくまなく設置するのが近道かもしれません。

エゾタヌキと違ってホンドタヌキは真冬でも元気に活動することが分かっています。 
ニホンアナグマは厳冬期に冬ごもりするだけで冬眠はしないとされています。 
しかし冬の雪国(豪雪地帯)で野生のアナグマの行動を観察した記録はあまりないようです。
冬は絶食して秋に蓄えた皮下脂肪で生き延びるのでしょうか?
ここ雪国でもアナグマが真冬の巣外でときどき採餌する(深い雪を掘り返して地中のミミズを捕る?)とは素人には信じがたい話です。
この点をフィールドサインおよびトレイルカメラによって突き止めるのが次の目標です。 
もしもアナグマが冬ごもりした時期(厳冬期)にも林床に掘り返した採食痕があれば、それはタヌキなどアナグマ以外の野生動物のしわざであると言えそうです。 


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川の堤防にオニグルミの堅果をこっそり埋めて貯食するハシボソガラス(野鳥)

 

2023年11月中旬・午後14:25頃・くもり 

街なかを流れる川で上流から飛来したハシボソガラスCorvus corone)が、川面から何か小さな物を器用に掬い上げて右岸に着陸しました。 
(映像はここから。) 

コンクリートブロックで護岸された堤防を歩き回るカラスが嘴に咥えていたのは、オニグルミの堅果でした。 
直前の行動を想像すると、ハシボソガラスが運搬中のクルミを川にうっかり落としてしまい、それを取り戻したのかもしれません。 
オニグルミの木は水辺に自生していますから、枝から川に落ちた堅果が川上からドンブラコと流れてきて、それをカラスが拾ったのでしょうか? 
(オニグルミの堅果は水に浮きます。) 

コンクリートブロックの上に長い年月を経てわずかに堆積した土壌の中にカラスはクルミを浅く埋め込みました。 
次に、周囲の落ち葉を穴に詰め込んで隠蔽しました。 
食料の乏しい冬に備えて、秋のうちからせっせと蓄えているのです。 
貯食作業を終えたハシボソガラスは、辺りをキョロキョロ見回してから堤防をトコトコ歩いて登ると、どこかに飛び去りました。 
後日お腹が空いたら、埋めたクルミを掘り出して回収し、投げ落とし法で硬い殻を割り、美味しい中身を食べることになります。

実は貯食作業の一部始終を別個体のカラスが近くで見ていました。(映像なし) 
直後にその別個体が貯食物(隠したオニグルミ堅果)をちゃっかり盗むかな?と予想したものの、何も行動を起こしませんでした。 
おそらくこの2羽は縄張りを共有する♀♂つがいで、貯食物を盗み合うような関係ではないのでしょう。 
もしもライバルのカラスに見られていると気づいた場合は、貯食作業を中断して、別な場所にこっそり隠し直すはずです。 

オニグルミの種子は重力散布、水流散布、貯食型の動物散布と何段階も経て母樹から遠くに散布され、分布を広げます。 
今回カラスは半分に割った食べかけのクルミではなく丸ごと地中に埋めたので、もし食べ忘れたらオニグルミの種子散布に貢献したことになります。 
しかし土壌が貧弱(浅い)な場所ですから、発芽してもしっかり根付いて成長するのは難しそうです。 
ハシボソガラスがオニグルミ堅果を丸ごと隠す貯食行動を観察したのはこれが初めてです。


関連記事(3、10年前の撮影)▶  

 

2024/09/27

ニホンアナグマの越冬用巣穴に侵入するホンドタヌキのペア【トレイルカメラ】

 



2023年11月下旬・午前7:40頃・気温1℃ 

平地の落葉した二次林でニホンアナグマMeles anakuma)の越冬用営巣地(セット)にホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が2頭連れ立って明るい朝にやって来ました。 
私には外見でタヌキの性別を見分けられませんが、♀♂つがいなのでしょうか? 

アナグマの巣穴Rに1頭が潜り込んで念入りに内見している間に、もう1頭が外で待っています。 
最後は、もう1頭も巣穴Rに入りました。 
巣穴の主であるニホンアナグマに撃退されなかったということは、アナグマは留守にしていたのでしょう。 
もしも同じ巣穴で2種が仲良く越冬するとなると、まさしく「同じ穴のむじな」になります。 


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