2023/02/04

夜の溜め糞場で糞虫を捕食するホンドタヌキ【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2022年9月上旬・午後20:00頃・気温21℃ 

里山の杉林道にある溜め糞場sを監視カメラで見張っていると、ある晩にホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が右からやって来ました。 
この個体は「フサ尾」です。 
痩せて見えるのは夏毛だからか、それとも若い個体なのか、観察歴の浅い私にはよく分かりません。 

ニホンアナグマMeles anakuma)が残した溜め糞の周囲で立ち止まるとスギ落ち葉の匂いを嗅ぎ、何か虫を捕食しました! 
残念ながら獲物の正体は不明ですが、おそらく夜行性の糞虫の一種でしょう。 
その場でムシャムシャと平らげ、頻りに首を振っています。 
もしかすると、餌食となった虫が毒ガス(最後っ屁)を放出したのかな?  
だとすると、糞虫ではなくオサムシやゴミムシの仲間かもしれません。 
それとも食べた糞虫がシンプルに臭くて不味かったのでしょうか。
捕食シーンを1/4倍速のスローモーションでリプレイ。


虫を食べた後のタヌキが急にスギ大木の根元に生えた下草に向かって駆け寄りました。
なんとなく、振る舞いが幼獣のような気がします。 
飛び回る夜蛾?を追いかけたのかもしれませんが、映像にターゲットの昆虫は写っていません。 
その狩りは失敗したようです。 
暗闇でタヌキはどのぐらい目が見えているのでしょうか?  
この日の月齢は満月ではなく上弦の月です。 (月齢7.8、月の出は午後13:19、月の入りは午後22:37) 
昼間でも薄暗い鬱蒼としたスギ林の林床に充分な月明かりが差し込んでいるとは思えません。 
タヌキは主に嗅覚や聴覚を頼りにして、夜の森で獲物を探しているのでしょう。

最後に林道を左へ立ち去る前に、画面の左端でタヌキが放尿マーキングしたかもしれません。 
1/4倍速のスローモーションでリプレイしてみると、後方へシャッと少量の尿を放出したように見えます。 
後方へ排尿したということは、♀なのかな? 
しかし、モノクロのスロー映像を何度も見直すと、私の願望がもたらした目の錯覚のような気もしてきました。 
スギの落ち葉や落枝がタヌキに踏まれたせいで動き、小便したように見えただけですかね? 
この1回だけでは、なんとも言えません。 

参考サイト:タヌキ
交尾・出産:発情期が近づくと、雄は後肢をあげて尿かけをするマーキングが増える。
今回の個体は、自分たちの溜め糞場には興味を示さず、排便するどころか迂回するように通り過ぎました。 

タヌキの捕食シーンおよび放尿マーキングは初見です。 
自分たちが排泄した溜め糞に食糞性の昆虫が集まり、それを更にタヌキが捕食していることが分かりました。 
溜め糞場を見ているだけでも、様々な生き物が登場し、なかなか複雑に絡み合った面白い生態系です。 



ミズナラの樹液を吸いに来たサトキマダラヒカゲを追い払うスジクワガタ♂

 

2022年9月上旬・午後14:25頃・くもり 

里山の急斜面をジグザグに登る細い山道の横にミズナラの大木がそびえ立っています。 
その苔むした幹にサトキマダラヒカゲNeope goschkevitschii)が翅を閉じて止まっていました。 
小刻みに素早く翅を開閉しながら、幹を歩いて下り始めました。 
サトキマダラヒカゲが到達したのはミズナラの樹液酒場でした。 
苔むした樹皮の内側から木屑(フラス)が排出されているのは、材の中に穿孔して潜むカミキリムシ幼虫の排糞孔です。 
その傷口からミズナラの樹液が滲み出しているいるのです。 
私の鼻では樹液の発酵臭を嗅ぎ取れませんでした。 
樹液酒場には2匹のスジクワガタ♂(Dorcus striatipennis striatipennis)などが先客として群がって居ました。 

サトキマダラヒカゲは翅を閉じたまま、長い口吻を伸ばして樹液を吸汁し始めました。 
先客スジクワガタ♂の存在に気づいていないのか、足で踏んづけています。
蝶の種類を同定するために翅裏に正対して紋様をしっかり撮りたかったのですが、見つけたときには近過ぎて、私が下手に動くと逃げられそうです。 
残念ながら蝶はすぐに飛び去ってしまいました。 
私のせいではなく、隣席の先客スジクワガタ♂に追い出されたようです。 

薄暗い現場では蝶をミドリヒョウモン♀と見間違え、樹皮に産卵するのかと予想したのですが、映像を見直すと全然違いました。 
後翅裏の斑紋の配列(緩やかなくの字)から、ヤマキマダラヒカゲではなくサトキマダラヒカゲと判明。 

カメラを上にパンして、ミズナラの樹高を示します。 
季の入ったミズナラの幹にはツタ?の蔓も巻き付いています。 
周囲の雑木林ではミンミンゼミ♂が鳴いていました♪ 




2023/02/03

夜の水場に来たホンドテン?【トレイルカメラ:暗視映像】

 

2022年9月上旬・午後20:09 

山中の泉を見張る監視カメラにホンドテンMartes melampus melampus)らしき小動物が写りました。 
画面の対岸は、池の湧き水が流れ出る浅い水路(沢の源流)になっています。 
生い茂る雑草をかき分けながら、その流れをテンが遡上してきました。 
カメラの存在に気づいたのか、警戒して一旦戻りかけました。 
右岸の水際に沿って少し進んでから、草深い崖を斜めに登りました。
池で水を飲んだり水浴したりすることはありませんでした。 

胴体が細長く、夏毛のテンだと思うのですが、もしかしてニホンイタチMustela itatsi)ですかね? 
モノクロの暗視動画では体色が見えないのと、大きさの比較対象が無いと体長が分からないのがネックです。 
前回登場したハクビシンよりは明らかに小型の動物です。
関連記事(6日前の撮影)▶ 深夜の水場で排便するハクビシン?【トレイルカメラ:暗視映像】

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