2024/11/19

谷の落葉した樹上で警戒するニホンザルの群れ(首輪装着個体など)

 

2023年12月中旬・午後15:00頃・くもり 

野生ニホンザルMacaca fuscata fuscata)の群れが山麓の谷に散開し、採食しながらゆっくり遊動していました。 
谷の両側の斜面は落葉樹林です。 
落葉した冬の森は見通しが良くなり、樹上のニホンザルを見つけやすくなります。 
逆にニホンザル達も私に気づいた途端に警戒し、木陰に隠れたり木からスルスルと下りて逃走したりしました。 
地形の上から敵に見下されることにニホンザルは強い不安を覚えるのでしょう。
子連れのニホンザル(母子?)も樹上にいました。 
欲張ってカメラをズームインし過ぎると、手前の茂みのせいで被写体にピントが合わなくなってしまいます(前ピン)。 

最後に見つけた個体は、顔を少し上げたときに、黒い首輪が見えました。 
テレメトリー調査用に電波発信器またはGPSを装着しているようです。 
成獣♀だと思うのですけど、胸の乳首が枝に隠れて見えません。 
落葉樹の曲がった幹に腰掛けていた首輪ニホンザルは、樹上で方向転換して少し右上に登って座り直しました。 
私を警戒して、木の間の死角に隠れたつもりなのでしょう。 
痒い腰を左手で掻いています。 
唇がオレンジ色(茶色?)に染まっているのは、何を食べた跡なのかな? 
頬袋に餌を詰めているようで、口をもぐもぐ咀嚼しています。 

少し遠くて、ニホンザルの鳴き声はほとんど聞き取れませんでした。 
谷の斜面の林床には常緑のササ薮が点在しています。 
常緑の低木群落はユキツバキまたはヒメアオキと思われます。

2024/11/18

年末の大雪で埋もれかけたスギ倒木下の巣穴を何度も訪れる冬毛のホンドテン【トレイルカメラ:暗視映像】

 


2023年12月下旬

シーン0:12/22・午後13:12・くもり(@0:00〜) 
明るい昼間にたまたまフルカラーで撮れた現場の様子です。 
平地のスギ防風林で画面の奥に向かって根こそぎ倒れたスギの根元に掘られた謎の巣穴をトレイルカメラで見張っています。
画面のほぼ中央にぽっかり開いているのが、問題の巣穴bです。 
丸木橋のように見える水平の倒木で遮られて見えませんが、その下をくぐったすぐ左奥に、ニホンイタチMustela itatsi)が越冬する「根曲がり巣穴a」があります。 

巣穴bもイタチの越冬用巣穴ではないかと予想していたのですが、ホンドテンMartes melampus melampus)の登場シーンをまとめました。


シーン1:12/23・午後20:01(@0:03〜) 
晩に雪が降ってます。 
現れたのは、イタチよりも大型なテンでした。 
初めは巣口bを覗き込んでいたのですが、手前に向かって新雪を軽快にラッセルしながら出てきました。 
赤外線の暗視映像(モノクロ)でテンの冬毛は真っ白に見えます。 
てっきり巣穴bから外に出てきたのかと初めは思いましたが、周囲に残ったラッセル跡を冷静に読み解くと違いました。
奥のけもの道から来て水平倒木の下をくぐり、巣口bを点検してから手前に来たようです。 


シーン2:12/23・午後21:12(@0:16〜) 
1時間10分後、小雪がちらつく晩に、巣口bで獣が動いています。 
手前に積もった雪が邪魔で、残念ながら巣口bがよく見えません。 
その後は、右上にピョンと跳び上がって姿を消しました。 
今回もイタチではなくテンでした。 


シーン3:12/24・午前2:15(@0:36〜) 日付が変わった深夜、雪がほぼ降り止んでいました。 手前の深雪に足跡が新しく付いています。 巣口bから再び右上にピョンと跳び上がり、立ち去りました。 手前の獣道から来て、巣口bを点検してから通り過ぎたようです。 


シーン4:12/24・午前2:52(@0:45〜) 
37分後、水平倒木の手前の雪面を右から左に横切りました。 
新雪にテンの足跡が残ります。 


シーン5:12/24・午前2:57(@0:52〜) 
4分後に、倒木の右下からテンが顔を覗かせていました。 
これまでとは逆の経路で登場したようです。 
監視カメラに気づいて警戒したのか、その場で不格好に方向転換してから右上に立ち去りました。 

ところがしばらくすると、再びテンが戻って来ました。 
巣口bに飛び降りたものの、巣内には入らずに新雪をかき分けながら手前に向かってきます。 


シーン6:12/27・午前10:58・晴れ(@1:16〜) 
3日後の昼間には、積もった雪がだいぶ溶けていました。 
積雪に埋もれかけていた巣口bが、前よりもよく見えるようになりました。 


【考察】
個体識別できていませんが、とりあえず同一個体のホンドテンが何度も来ているということにします。
謎の巣穴bが気になって、繰り返し訪れて様子をうかがっているようです。
トレイルカメラを警戒しているのか、「穴があったら入りたい」というほど積極的ではありません。
ホンドテンが巣穴bに入る決定的瞬間の映像が撮れないことには、そこに住んでいると確証がもてません。 

もしかすると越冬用巣穴bの乗っ取りが目的なのではなく、野ネズミなど穴居性の獲物を探しているのかもしれません。

並んで風倒した2本のスギ倒木の根元に掘られた2つの巣穴a、bが何m離れているのか、真面目に計測すべきなのですが、巣口の近くまで私が近づいたことを示す足跡や匂いを残したくありません。
巣穴の主である野生動物が警戒して二度と近寄らなくなってしまうのでは、元も子もありません。
無人センサーカメラでの動画撮影を最優先にして、巣穴から少し離れた地点に機材を設置しただけです。

野生動物は水平倒木を丸木橋のように渡るのではないかと予想していたのですが、ホンドテンはその下をくぐり抜けただけでした。




【アフィリエイト】

羽ばたきながらヒャクニチソウの花で吸蜜・産卵するオオタバコガ♀(蛾)【FHD動画&ハイスピード動画】

 


2023年10月中旬・午後15:00頃・晴れ 

街なかの花壇に咲いたヒャクニチソウ(百日草)の群落でオオタバコガ♀(Helicoverpa armigera armigera)が訪花していました。 
この組み合わせは初見です。 
左前翅の翅頂が欠けた同一個体を撮り続けました。 

花弁が色とりどりの品種が咲いている中で、赤、白、黄色の花で吸蜜しました。 
筒状花から口吻を引き抜くと、オレンジ色の花粉が付着しています。 
次の花へと移動する前に、触角を前脚でぐいっと拭うことがありました。(身繕い) 
隣接する花に移動するときには、省エネのためにわざわざ飛ばずに歩いて行きました。 

くらべてわかる蛾 1704種』という図鑑でオオタバコガを調べると、
♀は(翅表が:しぐま註)橙褐色 
食草:イネ科、キク科、ウリ科、ナス科、バラ科など広食性 (p115より引用)

農薬メーカー?シンジェンタジャパンのサイトでは、次のように書いてありました。

前翅は雄は黄色味を帯び、雌は赤味を帯びる。 


この記述に従えば今回の個体は♂ということになるのですが、後に産卵したので♀と判明しました。
翅色の個体変異なのか、それとも強い日差しで翅の色が白飛びしてしまったのかな? 

訪花中も葉に止まっているときも、ほぼ休みなく翅を小刻みに震わせています。 
足を着地していますから、ホバリング(停空飛翔)ではなくて、いつでも飛び立てるように飛翔筋を震わせて体温を上げる準備運動(アイドリング)をしているのでしょう。 
暖かい日向ですから気温が低い訳ではないのですが、本種は寒がりなのか、特有の習性のようです。 
もしかして、捕食圧の高い地域なのでしょうか? 



オオタバコガがヒャクニチソウの花から飛び立つ瞬間を狙って、240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@1:08〜) 
撮影中は気づかなかったのですが、黄色い花の品種のヒャクニチソウで花蜜を吸いながら、腹端を前方に屈曲させて筒状花の側面に付けました。(@1:13〜) 
元の姿勢に戻るときに産卵管を伸ばしていたことから、産卵行動と判明しました。 
つまり、この個体は♀でした。 
準備運動していた羽ばたきが力強くなると、次の花に飛び去りました。 
前後の動画をじっくり見直しても、産卵していたのはこのときだけでした。 

オオタバコガ♀の産卵行動を観察できたのは、これが2例目です。 
関連記事(3年前の撮影)▶ ナスの葉に産卵するオオタバコガ♀(蛾) 

オオタバコガの産卵習性についてネット検索すると、石川県の病害虫防除室が公開しているPDF資料『オオタバコガ - 石川県 防除室だよりvol12』 がヒットしました。
雌は夜間に葉裏や新芽、花蕾付近等に1粒ずつ、一晩で200~300 粒、期間中に2000粒程産卵します。
卵を何個もまとめて産み付けるのではなく、1個ずつしか産まないというのは、私が観察した通りです。 
今回は花に産卵したので驚いたのですけど、オオタバコガ♀では珍しくないことを知りました。
撮れた写真や映像を改めて見直すと、ヒャクニチソウの群落で虫食い跡のある葉や花弁があちこちに見つかります。 
卵から孵化したオオタバコガ幼虫による食痕とは限りませんが、可能性はあります。 


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