2024/05/05

家族総出で夜の二次林を巡回するホンドタヌキ【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年8月中旬 

ニホンアナグマMeles anakuma)の家族が転出した後の旧営巣地(セット)に近所のホンドタヌキNyctereutes viverrinus)家族群が勢揃いでやって来た記録です。 
親タヌキ♀♂が幼獣を引率して夜な夜な採餌に出かける途中で、アナグマの旧営巣地にもときどき立ち寄るようです。 


シーン1:8/17・午前0:29(@0:00〜) 
真夜中に奥の二次林からタヌキの家族が続々と登場します。 
暗闇でタヌキの目がトレイルカメラの赤外線を反射し、白く爛々と輝いています。 
排尿しない限り私にタヌキの性別は見分けられませんが、先頭が成獣aで、続いて幼獣2頭と成獣bが来ました。 
連れ立って右(下)へ。 
最後の幼獣だけ別ルートで左から登場し、アナグマの巣口Rの匂いを嗅いでから家族の後を追いかけて右へ行きました。 


シーン2:8/19・午前4:29(@0:42〜)日の出時刻は午前4:54。 
2日後の未明、奥の二次林からまたタヌキの家族群(計5頭)がやって来ました。 
今回はアナグマの空き巣には近寄らず、林内を右へ向かいました。
途中で林床に排尿マーキングした個体を見かけましたが、どうでしょう? 


【考察】 
二次林に隣接する休耕地にタヌキの巣穴があり、今季は4頭のタヌキ幼獣が産まれました。 
ちなみに、タヌキの営巣地は画面の左上奥の方角にあります。
撮影できた2回とも、幼獣は3頭しか写っていませんでした。 
したがって、幼獣のうちの1頭は何らかの理由で死亡したようです。 
あるいは、幼獣1頭だけ2回とも監視カメラの画角の外を通ったとか、独立心が強くて単独行動を好む幼獣個体が1匹だけいるのかもしれません。 


つづく→

ソバ畑に集まり芽生えを食べるキジバトの群れ(野鳥)

 

2023年8月中旬・午後15:10頃・くもり 

休耕田が稲作からソバ畑に転作されたようで、真夏に撒かれた秋ソバが発芽しました。 
そのソバ畑に多数のキジバトStreptopelia orientalis)が散開して、採食に励んでいました。 
初めはカメラを向ける私を警戒して周囲の防風林に逃げ込んだのですが、私が動き回らず農道の木陰から静かに撮影を続けると、警戒を解いたキジバトが再びソバ畑に続々と戻ってきました。 
キジバトのこれほどの大群を見たのは初めてです。 
引きの絵で右から左にパンしながら数えると、少なくとも計18羽以上は集まっていました。

キジバトたちはソバ畑を歩き回って何かを啄んでいます。
畦道をテクテク歩いて乗り越え、隣の区画のソバ畑に移動する個体もいます。 
地味な羽根色のキジバトは、ソバ畑では見事な保護色になっています。
キジバトは種子食性ですから、ソバの芽生えを採食に来たのでしょう。 
しかし映像を見ても、ソバの芽生えを嘴で1本ずつ引っこ抜いて種子を食べている様子はありません。 
芽生えに失敗した不稔の種子を食べているだけのような気がします。 
発芽した後は種子内の栄養分が急速に枯渇するので、キジバトにとって栄養価が低下しているはずです。 
ソバの芽生えを食すのであれば、わざわざ畑を歩き回る必要はなく、食べ放題のように1箇所で次々と啄むはずです。
あるいはソバ畑の虫を捕食している可能性もありそうです。
つまりキジバトはソバ畑の害鳥とは決めつけられず、害虫を食べたり発育の悪い芽生えを間引いたりしているという側面もあるのかもしれません。 
私はキジバトを盲目的に擁護したい訳ではありません。
ソバの種まきは畝に沿ってばら撒き、浅く土をかぶせるだけらしいので、種まき直後のソバ畑がハト類に最も狙われやすいでしょう。 
発芽して無事にある程度育てば、鳩は食欲をそそられなくなるようです。 
11日後に現場を再び訪れると、ぐんぐん育ったソバ畑にキジバトは1羽も来なくなっていました。 
秋にソバの実が熟すと、種子捕食者のキジバトが再び集まり、収穫前の実を食害するようになります。(映像公開予定
食性を冷静に緻密に観察すれば、鳥害対策も立てやすくなるはずです。

採食中のキジバトは警戒心が強くてすぐに逃げてしまうので、思うように近づけませんでした。
望遠レンズを装着したかったのですが、あいにくこの日は持ってきておらず、仕方なくデジタルズームを駆使しました。 
画質が粗くなるのは仕方がありません。 

関連記事(3年前の撮影:現場近くの別の畑?)▶ ソバ畑の芽生えを採食するキジバトの群れ(野鳥) 
よく見ると、種子から白くて細長いひげ根が出た芽生えをたまにキジバトは食べていました。  
このときは7月下旬の撮影で、もしかすると秋ソバの芽生えというよりも、春ソバの収穫後だったのかもしれません。
撮影時期が違う2つの動画は、ソバの芽生えの生育状態が異なります。


【追記】
藤岡正博、中村和雄『鳥害の防ぎ方』という本は、作物の種類ごと、鳥の種類ごとに取り上げているのですが、ソバについての記述はありませんでした。
それでも読み返してみると、とても勉強になりました。
キジバトは、本来は林の鳥で、農村部に多く、(中略)採食は、群れで行うのがふつうです。(中略)被害がもっとも大きなものはダイズをはじめとするマメ類で、出芽直後に最初に出て来る子葉をついばんでいきます。子葉をついばむだけなら、ダイズは成長が遅れるものの、それほど収量には影響しませんが、子葉と一緒に生長点もついばんでしまうことが多く、その場合はダイズは枯れてしまいます。(中略)ハトは一度餌にありついた場所をよく覚えていて、また同じ畑にやって来ることがふつうです(p67〜68より引用)
 ダイズのほかで被害を受けるのは、イネやムギなどの播種された種子です。(p68より引用)

私もダイズ畑で採食するキジバトを後に撮影することが出来ました。(映像公開予定) 。

キジバトが子葉を食害するとは知らず、てっきり種子食性とばかり思い込んでいました。

今回ソバ畑でも子葉を食べ歩いていたのかもしれません。

       

2024/05/04

アナグマ専用の溜め糞場に代わる代わる排便に通うニホンアナグマの家族【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年8月中旬〜下旬 

シーン0:8/14・午後14:48(@0:00〜) 
明るい昼間にたまたまフルカラーで撮れた現場の状況です。 
画面の左下隅に朽ち果てた切株があり、そのすぐ奥に古い用水路が掘られた名残の溝が斜めに走っています。 
この溝は獣道の一部になっています。
スギの落ち葉が枯れた色と同じで紛らわしいのですが、その溝に捨てられた古い手押し車のフレームが錆びたまま放置されています。 
この手押し車フレームを目印として、ニホンアナグマMeles anakuma)専用の溜め糞場stmpがあります。
タヌキの溜め糞とは違ってアナグマの糞は特定の形状を保っておらず、黒い軟便(下痢便)が溜まっています。 

ここを長期間じっくり定点観察したかったのですが、限られた台数のトレイルカメラをやりくりして複数地点のプロジェクトが同時並行で進行しているために、間隔が開いてしまいました。 
肝心の溜め糞場stmpがもっと画角の中央に来るようにトレイルカメラの設置アングルを決めたはずなのに、ずれてしまいました。 


シーン1:8/15・午前2:16(@0:02〜) 
深夜未明に単独で来たアナグマが溜め糞場stmpの匂いを嗅ぎ回ってから、左向きで排便しました。 
スギ林床にひっくり返ったまま放置されている古い一輪車(手押し車)の錆びたフレームの辺りで地面の 黒い軟便をボトボトと排泄すると、そのまま溝状の獣道を左へ立ち去りました。 


シーン2:8/15・午前9:45(@0:29〜) 
トレイルカメラがなぜ起動したのか理由は不明ですが、アナグマが脱糞してから7時間半後の午前中に溜め糞場stmpの様子が記録されていました。 
ハエやコウカアブの仲間が何匹も飛び回ってます。


シーン3:8/16・午後18:23(@0:51〜)日の入り時刻は午後18:35。 
翌日、日没直前の暗いスギ林にニホンアナグマ3頭の家族群がやって来ました。 
まず先行する2頭がスギ林床を右上へ歩いて行きます。 
後続の個体が切株の下を回り込んでから溜め糞場stmpへ来ました。 
匂いを嗅いでから手押し車のフレームのすぐ上で排便しました。 
顔が黒いのは、穴掘りしたばかりで土で汚れているのでしょう。 
ミミズ採食のためではなく巣穴を掘っていたとしたら、ヘルパー♂かもしれません。
仲間を追ってノソノソと歩き始めま、最後は小走りになりました。 
登場した3頭が幼獣なのか、成獣が混じっているのか、残念ながら私には見分けられません。 


シーン4:8/18・午前4:01(@1:40〜) 
2日後の未明、右から来たアナグマaが溜め糞stmpの匂いを嗅いでいました。 
方向転換して溝の土手の山側を向くと、溝の中の溜め糞場stmpに脱糞しました。 
排便する地点は厳密には決まっておらず、各自が手押し車フレームの周囲に適当に排便するようです。 
用を足すと、右へノシノシと立ち去りました。 
なんとなく幼獣だと思うのですが、単独で写った場合には素人目には成獣♀と見分けがつきません。 


シーン5:8/18・午前4:14(@2:09〜)
約15分後に別個体bが登場しました。 
これも幼獣のような気がしています。 
一連の排便行動は、さっき来た個体aとほぼ同じでした。 


シーン6:8/18・午後19:00(@2:36〜)
同じ日の晩には雨が降っていました。 
左から溜め糞場stmpにやって来たアナグマが、黒い軟便をニョロニョロと排泄。 
雨天で素早く用を足すと、一旦奥に向かってから左折しました。 


シーン7:8/24・午前4:09(@2:53〜) 
6日後の未明に、奥からやって来たアナグマが溜め糞場stmpでくるりと向きを変えました。 
少量の大便を排泄してから右へ立ち去りました。 


【考察】 
複数個体のアナグマが同時に並んで排便することは、今のところありません。 
便意を催したら各自が溜め糞場stmpにやって来て、用を足すようです。 
ここでホンドタヌキが対抗して排便することはありません。 
タヌキ専用の溜め糞場wbcは、ここから約5m離れた地点にあるのです。 
逆に、タヌキの溜め糞場wbcにアナグマが対抗して排便することもありません。 
アナグマとタヌキはおおまかな溜め糞エリアを共有しているものの、自分たち専用のトイレを相互不可侵でしっかり使い分けています。 


【追記】
日本の食肉類:生態系の頂点に立つ哺乳類』という専門書の第8章:金子弥生「ニホンアナグマ」によると、
自動追跡装置を用いた調査により、アナグマがタメ糞を訪問する頻度は、自分の行動圏内で1週間に一度程度、隣接する家族グループとの境界のタメ糞では2-3日に一度程度の頻度であることがわかった。家族グループ内の♂と性成熟前の♀が連れ立ってタメ糞へ訪れる行動も見られており、訪問頻度は交尾時期のほうが高くなった。低密度個体群では、なわばりの標識よりも、隣接する地域の個体との情報交換の役割を果たしており、たとえば♂が行動圏を拡大し♀を探す場合の♀発情個体の空間的な情報を得ることが可能になっているものと思われる。(p193より引用)

ここまで緻密な調査は私には無理ですが、発情期・交尾期に重点的にアナグマの溜め糞場stmpをトレイルカメラで監視する価値はありそうです。 





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