2024/01/17

タヌキの溜め糞場で多数のダニに寄生されたエンマムシの一種

 

2023年5月下旬・午前11:30頃および午後13:15頃 

平地のスギ防風林にホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が残した巨大な溜め糞場wbc-1を定点観察しています。 

今回私の目を引いたのは、1匹の真っ黒な甲虫(成虫)です。 
体表に赤っぽいダニ(種名不詳)が多数群がっていました。 
ダニは体外寄生や吸血性というよりも、ただヒッチハイク(運搬共生、便乗)しているだけかもしれません。 
この甲虫は何でしょう? 
どなたか教えていただけると助かります。 
てっきりタヌキ溜め糞場では常連のセンチコガネPhelotrupes laevistriatus)かと思ったのですが、ハネカクシのように鞘翅が短く腹端が露出していることに気づきました。 
その点でクロシデムシを連想しました。
体表に多数のダニが集ったクロシデムシの写真がネット上には多数公開されています。
しかし、クロシデムシにしては触角が違いますし、死肉食性のクロシデムシが獣糞に来るという話も聞いたことがありません。
同定のため謎の甲虫を採集すべきでしたが、採集道具を何も持ってこなかった私が「どうしよう? どうしよう?」と焦っている間に、溜め糞の中に潜り込んでしまいました。
こういうときに躊躇なく素手で捕獲できるのが筋金入りの虫屋なのでしょう。 
私はまだまだ修行が足りません。

【追記】
YouTubeのコメント欄にて、H720316氏から「ダニだらけの甲虫はエンマムシの仲間かな?」とのコメントを頂きました。
画像検索してみると、多数のダニのたかったエンマムシの写真がいくつかヒットします。
Yahoo知恵袋で他の人が写真鑑定してもらった回答が参考になったので、引用させてもらいます。
ダニの集団です。シデムシなどにもよく付着している肢が長めで全身が褐色のダニ(種は不明)と同じものと思われ、昆虫に寄生しているのではなく死体にわくウジを餌としており、自力では移動能力に乏しいため飛翔できる昆虫の体表にしがみついて乗り物として利用し、目的となる死骸に移動するものとされています。シデムシと異なりエンマムシは体表がツルツルした部分が多く上翅も体とぴったり組み合わさり隙間が少ないため、しがみつける場所が腹端くらいしかなかったのでしょう。
なおシデムシは死体を訪れて腐肉を食べるため、このダニを連れていくことで餌を巡って競合するウジを食べてもらうという双利共生の関係があるとされていますが、エンマムシの場合はダニと同じくウジを餌とするため、そのような関係には当たらないことになります。尤も死体には大抵エンマムシが食べきれないほどのウジが発生するので、餌を巡る競合までは起こらないと思われます。


溜め糞場wbc-1で多かったのは、クロボシヒラタシデムシOiceoptoma nigropunctatum)の成虫と幼虫でした。 
クロボシヒラタシデムシの幼虫は三葉虫のような奇怪な形をしています。 
様々なハエ類も集まっていましたが、真面目に検討していません。 

それよりも、どこか近くでずっと鳴いている鳥の美声が気になりました。 
調べてみると、森林性のクロツグミ♂(Turdus cardis)の囀りさえずりのようです。 
他にはキジ♂(Phasianus versicolor)が近くの農地(休耕地?)でケンケーン♪と縄張り宣言の母衣打ちほろうち♪をする鳴き声も聞こえました。 

※ 前半部はかなり薄暗くてぼんやりした映像だったので、動画編集時に自動色調補正を施しています。 
色合いが少しどぎつく強調されてしまったかもしれません。

帰路に現場を再訪したら、近くにもう一つ別な溜め糞wbc-2を発見しました。 
隣の溜め糞wbc-1よりも規模は小さいものの、新鮮な糞が追加されていました。 
クロボシヒラタシデムシの成虫および幼虫が群がって活動しています。 
現場では気づかなかったものの、写真にはサビハネカクシOntholestes gracilis)らしき姿も1匹写っていました。

2024/01/16

巣穴の外で幼獣を毛繕いしてやるニホンアナグマ♀【トレイルカメラ:暗視映像】

 


2023年5月下旬・午後20:50頃 

ある晩、ニホンアナグマ♀(Meles anakuma)が幼獣を運ぶ引っ越しの途中なのか、2つの巣口RLの中間地点に幼獣を置いて、その毛皮を念入りに舐めていました。 
母親♀が目を離すと、幼獣はヨチヨチと這うように歩いて奥の巣口Rへ向かって移動しようとします。 
♀は向きを変えながらも、幼獣への対他毛繕いを続けています。 
幼獣の首筋を咥えながら、♀は左足で自分の体をボリボリ掻きました。

※ トレイルカメラの電池が消耗しており、細切れ映像をつなぎ合わせたものになりました。 


山林を歩きながらエゾユズリハとマルバアオダモの葉に眼下腺マーキングするニホンカモシカ

 

2023年5月下旬・午後13:05頃・晴れ 

この日の私は熊撃退スプレーをうっかり持参し忘れたので、念の為に熊よけの鈴を鳴らしながら里山の山道を歩いていました。 
ふと気づくと、山道に隣接するスギ林の茂みの奥からニホンカモシカCapricornis crispus)がこちらを覗いていました。 
どう考えても、私が鳴らす鈴の音♪に興味を持って近づいてきたとしか思えません。 
カモシカは好奇心旺盛で、人工的な鈴の音を恐れないようです。 

カモシカは初め、茂み(ヤマウルシ、ウワミズザクラなどの低木)の陰に隠れて私の方をじっと見据えていました。 
現場は斜面で、私がカモシカをやや見下ろしています。 
なんとなく顔馴染みの個体のような気がするのですけど、個体識別ができていません。 
角や耳介に分かりやすい特徴はありませんでした。 

画面の奥に見えるスギ植林地にタヌキの溜め糞場opがあり、それをトレイルカメラで監視していた時期があるのですけど、そのときに写っていたカモシカの1個体と思われます。



やがて警戒を解いたカモシカは、横を向いて鼻を上げ、風の匂いを嗅いだようです。 
 次にエゾユズリハの葉裏に顔を擦り付けて眼下腺マーキングしました。(@1:12〜) 
エゾユズリハの葉に眼下腺マーキングしたのを見たのは、これが2回目です。
初回の観察記録はこちら
エゾユズリハの葉を食べるカモシカを初冬に見たことがあるのですけど、今回は食べませんでした。

山道で突っ立っている私を迂回するように、カモシカはスギ林縁を移動し始めました。 
足音を立てず静かに歩くニホンカモシカは、ときどき立ち止まって私の様子を伺っています。 
今回のニアミスで、このカモシカは私に対して鼻息を荒らげて威嚇することはありませんでした。(やはり顔馴染みの個体?) 

慎重に山道に現れたカモシカは私を一瞥してから(見下ろしてから)、道端に生えた灌木の葉裏に再び顔をスリスリと擦り付けて眼下腺マーキングしました。(@2:46〜) 
その直後にぺろりと舌舐めずり。 

ニホンカモシカが眼下腺マーキングする対象物と言えば、太い幹、細い枝先、木の葉と3つのパターンがあります。

その後カモシカは山道をゆっくり登って立ち去りました。 

カモシカが立ち去った直後に、眼下腺マーキングした大きな若葉を現場検証しました。 
落葉性広葉樹の幼木で、樹高は約1m。
羽状複葉の葉縁に浅い鋸歯があり波打っています。 
私には樹種が突き止められなかったので、ときどきお世話になっている「このきなんのき掲示板」にて問い合わせたところ、マルバアオダモと教えてもらいました。


今回はカモシカが灌木の若葉を採食する行動は見られなかったものの、移動しながらあちこちの灌木の葉裏に次々と眼下腺マーキングする様子を観察できました。 
私と出くわした不安からくる転移行動、という要素もあるのかもしれません。 
マーキング(匂い付け)する樹種にこだわりは無さそうです。 
私に対して鼻息威嚇こそしなかったものの、この山林は自分の縄張りであることを眼下腺マーキングによってやんわり主張したことになります。

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