2023/12/05

里のニホンアナグマ♂は土木工事の騒音にも慣れっこ?【トレイルカメラ】

 



2023年4月下旬・午後18:25頃・(日の入り時刻は午後18:26) 

ニホンアナグマ♀(Meles anakuma)の営巣地(セット)に隣接する農地や林で土木作業をしているのか、重機(ブルドーザー?)の作業する騒音と地響きが夕方まで続いています。 
日没時からアナグマ♂が来ています。 
近所の♂が暗くなる前に早くも夜這いに来たのか、それともヘルパー♂(若い息子)なのか、♂の個体識別が出来ていないので分かりません。 

実はこの直前に♀♂ペアが交尾を中断して別れたので、さっきの♂がすぐに戻ってきて♀を待ち伏せしているのかもしれません。 



やはり騒音が気になるようで、♂は不安そうに顔を上げて風の匂いを嗅いだり、セット周辺をうろついたりしています。 
口で地面を齧っていますけど、本気の採餌行動には見えません。
騒音ストレスによる転移行動だったりするのでしょうか? 

やがて身震いすると二次林に入り、林床で腰を落としてスクワットマーキング(臭腺や肛門腺による匂い付け)したようです。 (@2:23〜)
排便ポーズにも見えたので、もしかすると、そこが溜め糞場かもしれせん。 
フィールドサインに関する本を読むと、アナグマはセットの近くに溜め糞場を設けるそうです。 
しかし、私が後に現場検証しても溜め糞場は見当たりませんでした。 

その間、♀は巣穴に篭もったきり、外に出てきません。 
近くの騒音や振動(地響き)は巣内でどのように感じられるのでしょうね?


※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。 
※ 土木工事?の騒音が聞き取れるように、音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


実はこの直後に♂が穴掘りを始めたので、ヘルパー♂と考えたくなります。 




山中の泉で育つトウホクサンショウウオの卵嚢を手に取ってみる

 



2023年4月下旬・午後13:00頃・晴れ 

定点観察のため山中の水場に来ると、新たにアズマヒキガエルの卵塊が大量に産み付けられていました。 

関連記事(同所同日の撮影)▶ 山中の泉に産み付けられたアズマヒキガエルの卵塊 


動画を撮りながら右手を水の中に差し入れて、浅い泉の底に沈んでいるトウホクサンショウウオHynobius lichenatus) の卵塊を一つすくってみました。 
卵嚢が不透明で表面には皺があり、中の胚がよく見えません。 
前回よりも胚発生が進行しているようですが、未だ動いてはいません。 

アカマツの落枝を池から取り除いた後に撮影しました。

秋田喜憲『石川県能登宝達山のサンショウウオ物語-サンショウウオに魅せられて40年』を読むと、2枚の透明ガラスで傷つけないよう卵嚢を圧して観察すると見やすいらしいです。(p24より)
筆者は顕微鏡を見ながら細密画で胚を写生し、発生段階表を自力で作成しておられます。
筆者の偉業はそれだけではありません。
生き物のフィールド調査に心血を注ぐとはどういうことか、教えてくれる凄い名著です。
ただし本書にトウホクサンショウウオは登場しません。



2023/12/04

トレイルカメラの死角で交尾するニホンアナグマ♀♂の鳴き声♪?【暗視映像】

 



2023年4月下旬・午前0:49〜1:02・気温2℃ 

ニホンアナグマ♀(Meles anakuma) の営巣地を監視するトレイルカメラが深夜に起動しても、アナグマの姿は見えません。 
しかし、死角から小声で動物が鳴く声が繰り返し聞こえます。
ワンワンワン♪とかウッ♪というイヌのような鳴き声を素早く繰り返しています。 
それに混じってときどき聞こえる低音の奇妙な音は、アナグマ♂が♀を宥める求愛声(ジェジェジェビーム♪)かもしれません。 
なんとも言葉では表しにくいのですが、痰が絡んだ低音の超ハスキーボイスのように私には聞こえます。 
それにしても、トレイルカメラ自身が規則正しく発するザッザッザッ…♪という電子ノイズが耳障りで困ります。 
メーカーには改善してもらいたいものです。

※ 鳴き声が聞き取れるように動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


手前の巣穴Rの中で生まれたアナグマの赤ちゃん達が元気に鳴いているのか?と初めは思いました。
それとも巣内で♀とヘルパー(若い息子♂)がじゃれ合って遊んでいるのかな? 
(ヘルパー♂と母親♀が近親交配するおそれはないのか? という疑問が湧きます。)
カメラの近くで何者かが断続的に鳴き続けるものの、最後まで姿は見えません。 
そもそも、なぜトレイルカメラが繰り返し起動したのか不明です。 

ひときわ大声で鳴いた直後に、画面の下端からアナグマ♀が登場しました。(@4:25〜) 
巣穴の方を向いて身震いし、ちらっと振り返ってくれたので、アナグマと確定できました。 
どうやら、手前の死角で♀♂カップルが交尾していたようです。 
謎の鳴き声は交尾中に2頭が発したものなのでしょう。
交尾の終盤に♀が♂から離れたがって抗議する鳴き声と、それを宥めて交尾を続けようとする♂の求愛声だったと想像しています。
♀が♂を振り払って巣穴に帰ろうとする度にカメラのセンサーが反応し、背後から抱きつく♂は必死に引き戻していたのでしょう。

♀が手前の巣穴Rに入ると、謎の鳴き声はしなくなり、辺りは静寂に包まれました。 
このことからも、幼獣の鳴き声という可能性は否定されました。
(赤ちゃんが巣穴から母親を呼ぶ声だとすれば説明できてしまう?)
夜這いに来て♀と交尾後に別れた♂は最後まで動画に登場しませんでしたが、カメラとは反対側に帰って行ったのでしょう。  

福田幸広『アナグマはクマではありません』によると、
交尾は2日間ほと続き、はじめは10分程度ですが、クライマックスの頃には2時間以上もの間交尾をし続けます。♂は交尾の最中もずっとジェジェジェビームを発し続けています。♀は時折「キュッ、キュッ」と声を発する程度です。 (p50より引用 )
今回の動画の鳴き声も、キュキュキュ♪と表現できなくもありません。

アナグマ♀の営巣地にトレイルカメラを2台設置しているのですが、それでも死角で交尾することが多く、肝心の交尾行動を撮り損ねてしまいます。
来年の繁殖期にはもっと監視カメラの台数を増やす必要がありそうです。






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