2023/06/18

交尾中のベッコウバエ♀♂に繰り返しアタックするハクサンベッコウバエ♂の謎(誤認求愛? 縄張り争い?)

 

2022年11月上旬・午前11:45頃・くもり 

山林の小径に残されたホンドタヌキNyctereutes viverrinus)の溜め糞場dには、ベッコウバエ♀♂(Dryomyza formosa)だけでなくハクサンベッコウバエNeuroctena analis)も少数ながら来ていました。 




イタヤカエデの黄色い落ち葉の上で交尾を始めたベッコウバエ♀♂の背後にハクサンベッコウバエ♂が飛来しました。 
私には外見でハクサンベッコウバエの性別を見分けられませんが、その後やった行動から♂と思われます。 

翅を半開きにして交尾しているベッコウバエ♂の背後からハクサンベッコウバエ♂が忍び寄り、いきなり跳びつきました! 
ハクサンベッコウバエ♂が別種の♂に対して誤認求愛してしまったのでしょうか? 
同じベッコウバエ科ですが、別種で体格も異なります。 
ハクサンベッコウバエ♂の眼には、巨大な同種♀が近くに居るように見えて、その魅力に抗えずに求愛してしまうのかもしれません(超正常刺激)。 
しかしハクサンベッコウバエ♂は相手に触れた瞬間に間違いに気づいたらしく、すぐに離れました。 

背後から不意打ちを食らったベッコウバエ♂は、直ちに左右の前脚を大きく開いて持ち上げ、交尾相手の♀を奪われないように撃退・牽制の姿勢になりました。(配偶者ガード) 
衝撃に驚いたベッコウバエ♀は、同種♂を背負ったままイタヤカエデの落ち葉から前進して溜め糞の上に移動すると、口吻を伸ばして吸汁し始めました。 

驚いたことに、逃げたベッコウバエ♂に対してハクサンベッコウバエ♂が再び背後から飛びかかりました。 
ベッコウバエ♂は翅を斜め上に持ち上げ、前脚を高々と上げて、撃退ポーズを取ります。
(翅を震わせてリリースコール♪を発していたら面白いのですが、それは無さそうです。) 
ベッコウバエ♂の翅先に乗ったハクサンベッコウバエ♂は、自らの誤認に気づいて離れました。 
翅の黒い斑点模様がベッコウバエに特有のトレードマークです。
それを見れば明らかに別種だ(ハクサンベッコウバエではない)と気づくはずなのに、ハクサンベッコウバエ♂は懲りずに同じ相手に誤認求愛を繰り返しています。 
学習能力が全くありません。
薄暗い林床では視覚による認識がおぼつかなくなり、誤認が増えるのかな? 

もしも配偶者ガードするベッコウバエ♂が居なかった場合、体格の小さなハクサンベッコウバエ♂が、体格の大きな異種のベッコウバエ♀に誤認したまま交尾を挑むことがあり得るのでしょうか? 
だとすれば、異種間の繁殖干渉ということになります。 

秋の溜め糞場で最も興味深く、興奮した事件でした。
訳が分からないので、頭をひねって別の仮説をひねり出しました。 
ハクサンベッコウバエ♂は溜め糞の横で交尾相手の同種♀が飛来するのを待ち伏せしているはずです。 
今回見られたハクサンベッコウバエ♂の行動は、集団お見合い場となっている溜め糞からライバルを追い払う占有行動なのでしょうか? 
体格差をものともせずにベッコウバエに何度も飛びかかるハクサンベッコウバエは相当な闘士(ファイター)です。 
繰り返しアタックされたベッコウバエは確かにタジタジで少し離れて行きました。
それにしても、別種であるベッコウバエをライバルとみなす意味が分かりません。 

ハクサンベッコウバエ♂の同種♀への求愛が成就して交尾に至る過程を未だ観察できていないので、それが今後の課題です。 


英語版wikipediaには同属近縁種(Dryomyza anilis)に関する解説ページが立項してあり、交尾行動についても詳しく書かれていました。

2023/06/17

秋の河畔林で拾ったオニグルミの堅果を運ぶ野ネズミ【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2022年11月上旬〜中旬 

河畔林でタヌキの溜め糞場rvを見張っていると、野ネズミ(ノネズミ)がときどきオニグルミの堅果を運ぶ様子がトレイルカメラに撮れていました。 
落ち葉に埋もれかけていますが、画面中央と左上の2箇所に黒々と見えるのがホンドタヌキの溜め糞です。 

今回の野ネズミが運ぶクルミは、私が給餌したものではありません。
ニセアカシアが優占する河畔林にオニグルミの木も点々と自生しています。 
野ネズミは夜な夜なオニグルミの落果を探しては安全な場所に運んで地中に埋め、冬の食料として貯食するのでしょう。 


シーン1:11/10・午後23・57(@0:00〜) 
深夜に起動した監視カメラに警戒した野ネズミが、落枝の上で立ち止まっていました。 
口には土付きのクルミを咥えています。 
(※ 殻に泥汚れが付いているように見えたのですが、果皮を剥いた残りカスかもしれません。) 
背側から見下ろすように撮ると、野ネズミがクルミの実を咥える向きがよく分かります。 
やがて警戒を解くと落枝を伝い歩き、右に運び去りました。 
しばらくすると画面の右上隅を素早く走り抜け、すぐに戻って来ました。 
素早いダッシュの右往左往を1/3倍速のスローモーションでリプレイ。(@0:32〜) 


シーン2:11/15・午後22・36(@0:54〜) 
5日後の深夜、右の溜め糞に来て居た野ネズミをよく見ると、オニグルミの実を咥えていました。 
そのまま右上に運び去りました。 
運搬シーンを1/3倍速のスローモーションでリプレイ。(@1:04〜) 


シーン3:11/16・午後22・30(@1:16〜) 
小雨が降る翌日も、ほぼ同じ時刻に登場しました。 
画面の右上端を走る野ネズミが一瞬だけ写りました。 
1/3倍速のスローモーションでリプレイしてみると、クルミを運んでいました。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。 



シロツメクサの花で求愛するヒメシジミ♂と交尾拒否する♀【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2022年6月下旬・午後13:00頃・晴れ 

翅の色で性別をかんたんに見分けることができるヒメシジミPlebejus argus micrargus)は、配偶行動の観察に向いています。 
河川敷に咲いたシロツメクサの花で吸蜜する♀を撮っていると、同種の♂が飛来しました。 
♀の背後からぶつかってきた♂は、同じシロツメクサ頭花に止まると、♀に求愛アタックを始めました。 
細長い腹部を♀の方へ曲げて、隙あらば交尾するチャンスを狙っています。(@0:10〜) 
しかし、この♀は交尾する気がないようです。 
♂に対してなるべく正対するように、シロツメクサ頭花上で♂から逃げ回りながら吸蜜を続けています。 
背後を取られないように♂と顔を突き合わせていれば、♂の交尾器は届きません。 
シロチョウ科の♀では翅を開いて腹端を高々と持ち上げることで♂に交尾拒否の意思表示をしますが、シジミチョウ科のヒメシジミ♀はそのような分かりやすい交尾拒否行動をしませんでした。 

脈がないと分かった♂は少し吸蜜してから、潔く諦めて飛び去りました。 
♂のセクハラから解放された♀は、しばらく吸蜜を続けてから飛び立ち、隣に咲いたシロツメクサの花へ移動しました。 


続けて240-fpsのハイスピード動画でもヒメシジミの交尾拒否行動を撮ることができました。(@0:51〜) 
※ 実は、撮影順は逆です。 
慌てて撮り始めたので、ピントが甘いのが残念です(奥ピン)。 
ハイスピードモードでは固定焦点なので、合焦するように私が撮りながら一歩下がれば良かったですね。
しかし晴れた野外だと眩しくてカメラのバックモニターがよく見えず、ピントが確認しにくいのです。 

ヒメシジミの♀♂が同じ集合花に訪花しています。
♂は青い翅表を見せつけるように翅を半開きにしたまま、歩いて♀に近づきます。 
一方、♀は翅を閉じたままで、シロツメクサの花の下部に隠れています。 
シロツメクサの集合花は小さな蝶形花が下部から順に枯れていくので、下部に隠れた♀は吸蜜できません。 
つまりヒメシジミの♀にとって、♂のセクハラを回避するための行動は、吸蜜活動の機会損失になります。
ここでも♀は♂に背後を取られないように逃げ回っています。(交尾拒否) 
♀の同意がなければ交尾が成立しないのです。

痺れを切らした♂が花から飛び立つと、♀の周囲を激しく飛び回り始めました。(求愛飛翔) 
飛びながら♀の体に何度も軽く体当たりしています。 
♂がシロツメクサの茎に止まって羽ばたき、盛んにアピールしても、♀は交尾する気がありません。 
♀が♂と正対しながら閉じていた翅を半開きにしたのが交尾拒否の強い意思表示なのかな? 
よく見ると、♀は前脚や中脚も激しく動かして「来るな来るな」と正面に居る♂を牽制しているようです。 
ヒメシジミの脚は短いので、「しつこく迫る♂を足蹴にする」と言うほどの迫力はありません。 
遂に♂は求愛を諦めて飛び去りました。 

撮影アングルがいまいちで、交尾拒否のヒメシジミ♀が腹部を高々と持ち上げていたかどうかなど詳しい体勢がよく見えませんでした。 
♂が去ってからもヒメシジミ♀がシロツメクサの茎に居残っていると、その茎を下からクロアリ(種名不詳)が登ってきました。 
すると、蟻を嫌がった♀が慌てて飛んで逃げました。 
羽ばたいた際に翅表が初めて見れて、地味な茶色であることから♀と確認できました。 


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