2022年6月下旬・午後13:00頃・晴れ
翅の色で性別をかんたんに見分けることができるヒメシジミ(Plebejus argus micrargus)は、配偶行動の観察に向いています。
河川敷に咲いたシロツメクサの花で吸蜜する♀を撮っていると、同種の♂が飛来しました。
♀の背後からぶつかってきた♂は、同じシロツメクサ頭花に止まると、♀に求愛アタックを始めました。
細長い腹部を♀の方へ曲げて、隙あらば交尾するチャンスを狙っています。(@0:10〜)
しかし、この♀は交尾する気がないようです。
♂に対してなるべく正対するように、シロツメクサ頭花上で♂から逃げ回りながら吸蜜を続けています。
背後を取られないように♂と顔を突き合わせていれば、♂の交尾器は届きません。
シロチョウ科の♀では翅を開いて腹端を高々と持ち上げることで♂に交尾拒否の意思表示をしますが、シジミチョウ科のヒメシジミ♀はそのような分かりやすい交尾拒否行動をしませんでした。
脈がないと分かった♂は少し吸蜜してから、潔く諦めて飛び去りました。
♂のセクハラから解放された♀は、しばらく吸蜜を続けてから飛び立ち、隣に咲いたシロツメクサの花へ移動しました。
続けて240-fpsのハイスピード動画でもヒメシジミの交尾拒否行動を撮ることができました。(@0:51〜)
※ 実は、撮影順は逆です。
慌てて撮り始めたので、ピントが甘いのが残念です(奥ピン)。
ハイスピードモードでは固定焦点なので、合焦するように私が撮りながら一歩下がれば良かったですね。
しかし晴れた野外だと眩しくてカメラのバックモニターがよく見えず、ピントが確認しにくいのです。
ヒメシジミの♀♂が同じ集合花に訪花しています。
♂は青い翅表を見せつけるように翅を半開きにしたまま、歩いて♀に近づきます。
一方、♀は翅を閉じたままで、シロツメクサの花の下部に隠れています。
シロツメクサの集合花は小さな蝶形花が下部から順に枯れていくので、下部に隠れた♀は吸蜜できません。
つまりヒメシジミの♀にとって、♂のセクハラを回避するための行動は、吸蜜活動の機会損失になります。
ここでも♀は♂に背後を取られないように逃げ回っています。(交尾拒否)
♀の同意がなければ交尾が成立しないのです。
痺れを切らした♂が花から飛び立つと、♀の周囲を激しく飛び回り始めました。(求愛飛翔)
飛びながら♀の体に何度も軽く体当たりしています。
♂がシロツメクサの茎に止まって羽ばたき、盛んにアピールしても、♀は交尾する気がありません。
♀が♂と正対しながら閉じていた翅を半開きにしたのが交尾拒否の強い意思表示なのかな?
よく見ると、♀は前脚や中脚も激しく動かして「来るな来るな」と正面に居る♂を牽制しているようです。
ヒメシジミの脚は短いので、「しつこく迫る♂を足蹴にする」と言うほどの迫力はありません。
遂に♂は求愛を諦めて飛び去りました。
撮影アングルがいまいちで、交尾拒否のヒメシジミ♀が腹部を高々と持ち上げていたかどうかなど詳しい体勢がよく見えませんでした。
♂が去ってからもヒメシジミ♀がシロツメクサの茎に居残っていると、その茎を下からクロアリ(種名不詳)が登ってきました。
すると、蟻を嫌がった♀が慌てて飛んで逃げました。
羽ばたいた際に翅表が初めて見れて、地味な茶色であることから♀と確認できました。
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