2023/03/25

巣穴から離陸直後に空中でオシッコするモンスズメバチ♀【ハイスピード動画】警報フェロモン?

 



2022年8月上旬・午後14:35頃・晴れ 

前回の撮影から2日しか経っていませんが、頑張って(少し無理して)また定点観察に来ました。 
河川敷の遊歩道と芝生エリアの境界を示す縁石の横にモンスズメバチVespa crabro)の巣穴bがあるのですが、ここもいつ駆除されるか分からないからです。 
今回は三脚を持参してきたので、巣穴に出入りする蜂の活動をじっくり長撮りすることが出来ます。 
大きさの比較対象として、巣口の横に1円玉(直径2cm)を並べて置きました。 
巣口の周囲に生えた草で撮影の邪魔になりそうなものを最小限に取り除きました。 
(除草し過ぎると、モンスズメバチの巣穴が誰かに見つかってしまうリスクが高まるので、塩梅が難しいところです。)

240-fpsのハイスピード動画で繰り返し撮っていたら、非常に興味深いシーンが記録されていました。 
巣穴から2匹のワーカー♀が連続で外に這い出て来ました。 
1匹目はすぐに羽ばたいて離陸し、外役に出かけました。 
ところが2匹目の個体は、羽ばたきながら巣口を歩き回るだけで、なかなか飛び立ちません。 
結局、巣内に戻ってしまいました。 
巣口を守る門衛なのかな? 

やがて1匹のワーカー♀が空荷で帰巣しました。 
個体標識していないので、さっき出巣したばかりの個体かどうか不明です。 

しばらくすると、また2匹連続で巣穴の外に出て来ました。 
面白いのはここからです。 
先に飛び立った個体が巣口の上空を通り過ぎる際に、液体を撒き散らしたのです。(@2:20〜)
この日の天気はよく晴れていたので、雨粒が急に降ってきた訳ではありません。 
炎天下の撮影は過酷で、日傘が欲しいぐらいでした。 
鳥がよくやるように、離陸直後のモンスズメバチ♀が飛びながら空中で排尿し、体重を少しでも軽くしたのでしょうか?
樹液を吸汁しながらオシッコするスズメバチ類は何度も動画撮影していますが、飛びながらの排泄シーンを撮れたのは初めてかもしれません。

オシッコとか排尿などと書きましたが、排便と呼ぶのが正しいのかもしれません。 
スズメバチは成虫になると固形物を食べられず液体の餌しか摂取できません。 
したがって、便も液状になるのでしょう。 
巣内で排泄すると不潔になるので、成虫は必ず外で排泄するのかもしれません。
あるいは、巣口を跨ぐように立てた黒い三脚とカメラの存在に気づいた蜂が警戒し、警報フェロモンが含まれる毒液を放出したのかもしれません。 
巣穴から飛び立ったワーカー♀は、上昇しながら周囲をキョロキョロと見回していました。
警戒フェロモンなら、巣を守るために仲間が緊急召集されるはずです。
飛翔個体にピントが合ってないのが残念でしたが、こんなシーンは狙って撮れるものではありません。 
続けて2匹目の個体も巣口から飛び立ちました。 

小野正人『スズメバチの科学』によると、
 スズメバチのコロニーが哺乳類などの大型の外敵に攻撃されたときに示される統制のとれた激しい防衛行動は、敵の襲来を仲間に知らせる化学的コミュニケーションが発達しているためである。(中略)モンスズメバチの「警報フェロモン」の主成分として2-メチル-3-ブテン-2-オールを同定した。激しい刺針行動を誘起させるこの物質は毒腺で生産されて毒嚢に貯蔵されている。放出と同時に仲間に伝わり、放出が止まればすぐに平静状態に戻れるという点で、揮発性の高い物質が警報物質としての機能をもつというのは適応的といえよう。(p110より引用)

日本のモンスズメバチは欧州産(European hornet)と同種なので、研究が進んでいる海外の研究成果をそのまま適用できて好都合です。
Veith, H. J., N. Koeniger, and U. Maschwitz. "2-Methyl-3-butene-2-ol, a major component of the alarm pheromone of the hornet Vespa crabro." Naturwissenschaften 71.6 (1984): 328-329.
今回、私はモンスズメバチの巣穴を掘り返したり殺虫剤を噴霧したりするなどの直接的な脅威を与えていません。
巣口周囲の草をプチプチと少しむしったり、黒い三脚を巣穴の真上にそっと立てただけです。※
それだけでもモンスズメバチを怒らせてしまったのでしょうか?
※ もしオオスズメバチの巣穴なら、防護服無しではこんなに近づけませんし、下線のような自殺行為は絶対にしてはいけません。

(予め言っておくと、この日も私は蜂に刺されていません。)








2023/03/24

夜に雑木林の斜面をうろつくホンドタヌキ【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2022年9月下旬・午後19:38 

里山の雑木林で泥汚れのついたカラマツを見張っているトレイルカメラに夜行性のホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が写りました。 
地面(林床)の匂いを嗅ぎながら斜面をうろつき、食べる物を探しているようです。 
シシガシラに覆われた斜面を登って行きました。 
この斜面を直登する獣道は、人工の林道をショートカットしているようです。(近道)
溜め糞場以外のフィールドでタヌキの行動を観察するのは新鮮です。 
フサフサした尾を垂らして歩いていました。 


下痢の獣糞(タヌキ?ツキノワグマ?)に集まるキバネクロバエ?とツヤホソバエSepsis?【名前を教えて】

 

2022年9月下旬・午後13:55頃・晴れ 

里山の急斜面を直登する細い山道が廃れて、藪に覆われた獣道になっています。 
その廃道に新旧の下痢便が点々と2箇所にまとめて残されていました。(溜め糞場w) 

今回は糞塊の一つ(新鮮な方)に注目します。 
焦げ茶色をした軟便の糞塊で、未消化の植物種子が混じっています。 
形状が崩れている下痢便では私には何者の糞か見分けられないのですが、タヌキの溜め糞ではなく、よく下痢をするアナグマの仕業かもしれません。 
もし1回分の獣糞だとすると、量がかなり多いので、ツキノワグマUrsus thibetanus)の糞のような気もします。 
現場で糞をほぐしてみて、内容物をしっかり調べてみれば何かヒントが得られていたかもしれませんね。(糞内容物調査) 
トレイルカメラを設置して排便シーンの証拠映像を撮りたくなります。 
しかし、後日ちょくちょく見に通っても安定した溜め糞場ではないようなので、トレイルカメラの設置は後回しになったまま実現できていません。 

金属光沢に輝く(メタリックな構造色)微小のハエが4匹も集まっていました。 
続々と飛来して獣糞の表面を歩き回っています。 
今回はマクロレンズで接写しませんでしたが、ツヤホソバエ科Sepsis属の一種(Sepsis sp.)ですかね?
関連記事(別地点の溜め糞場で撮影)▶ タヌキの溜め糞に集まり産卵するツヤホソバエ科の一種【名前を教えて】
なんとなく、♂が翅を広げて同種♀に求愛誇示しているようです。 

Sepsisよりも今回は、単独で来ていた大きなハエに注目しました。 
糞塊の表面を歩き回り、口吻を伸ばして舐めています。(吸汁) 
胸背は地味な黒色ですが、複眼は赤色です。 
翅の根元がオレンジ色で、脚も中脚と後脚のみオレンジ色でした。 
平均棍を覆う鱗弁もオレンジ色でした。 
あちこちの溜め糞場でよく見かける(常連客)種類のハエなのですが、名前をしっかり調べたことがありませんでした。 
ネット上で調べ物をしていると、キバネクロバエ(イエバエ科)というハエの存在を知りました。 
クマの糞から発生するのだそうです。 
素人目には似ているような気がしたのですが、細部を見比べると、違うかもしれません。 
ネット上の写真でキバネクロバエの体表がもっと黒光りしているのはストロボの影響?


【追記】
安田守『集めて楽しむ昆虫コレクション』という本(写真集)のフン虫を特集した見開きページ(p50〜51)にそっくりのハエの写真を見つけました。
ハナゲバエの仲間
ハエ目イエバエ科/イエバエ科のハエはおもに食植性で、動物のフンや腐敗した植物質に集まるものが多い。(p50キャプションより引用)
ハナゲバエなんていう名前は初耳です。
写真のキャプションを読んでもイエバエ科の解説に終始していて、ハナゲバエ属の生態についてあまりよく分かってないようです。
そもそも私は恥ずかしながらイエバエ科の識別点すら知りません…。
少し深堀りしてみると、ハナゲバエ属とはDichaetomyia属のことらしいです。


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