2022/06/27

ミールワーム幼虫は発泡スチロールを食べるか?【飼育67日目:10倍速映像】

 

2019年3月下旬〜5月下旬 

熊澤辰徳『趣味からはじめる昆虫学』という本を読んでいたら、面白い話を知りました。
チャイロコメノゴミムシダマシ Tenebrio molitor の幼虫(ミールワーム)は発泡スチロールを食べて分解できることが知られています。 (p123より引用) 
Yang, Yu, et al. "Biodegradation and mineralization of polystyrene by plastic-eating mealworms: Part 1. Chemical and physical characterization and isotopic tests." Environmental science & technology 49.20 (2015): 12080-12086.
wikipediaにも次のような記述を見つけました。
2015年には、ミールワームに発泡スチロールを食べて分解する能力があることが、スタンフォード大学の研究者チームによって発見された。発泡スチロールはミールワームの腸内微生物によって堆肥と二酸化炭素に分解され、排出されていることが分かっている[1][2]。
発泡スチロールは日常生活に欠かせない便利な素材ですが、使用済み発泡スチロールの処理が問題になります。
燃やすと有害なガスを発生しますし、不燃ごみとして埋め立てられると永遠に残り続けると考えられていました。
つまり、発泡スチロールは生分解性が無いと長らく考えられていたのです。
発泡スチロールを食べて分解できる生物がいるとしたら、画期的な発見です。
疑り深い私は、自分で実験してみることにしました。 

ありあわせの発泡スチロールの箱を切り刻んでタッパーウェア容器にぎっしり敷き詰めてから、ペットショップで購入したチャイロコメノゴミムシダマシTenebrio molitor)の幼虫(=ミールワーム)を約50匹投入しました。 
他には餌も水も一切与えていません。 
ちなみに、ミールワームには通常、おが屑のような「ふすま」(小麦を脱穀した残りカス)を与えて飼育します。

そのまま室内に放置して67日目の記録です。 
容器の蓋を開けてミールワームの活動を微速度撮影してみました。 
10倍速の早回し映像をご覧ください。 
死骸も少しあるものの、幼虫が未だ結構生き残っています。 
(画面に写っていませんが、ミールワームは光を嫌うので、発泡スチロールの床の下に潜り込んで隠れている個体が多数います。)
発泡スチロールを食べて育ったということでしょうか? 
もっと虫食い穴だらけになるかと期待したのですが、それほどではありませんでした。
辺りに散乱している粉末はミールワームの排泄した糞でしょう。
中央上部の個体が仲間の死骸の欠片をかじっています。 (共食いではなく屍肉食)
欠片が動くので食べにくそうです。 


 

↑【関連動画】
New Scientist:“Superworm” beetle larvae eat polystyrene, which may help recycle plastics

2022/06/26

カワウ:川への着水と潜水漁(冬の野鳥)

 

2021年12月下旬・午後13:30頃・晴れ 

川の下流からカワウPhalacrocorax carbo hanedae)が低空で飛来しました。 
着水シーンをまずは1/5倍速のスローモーションでご覧ください。 
これほど間近でカワウの着水をしっかり見れたのは初めてです。 
直後に等倍速でリプレイ。 
力強く羽ばたきながら上体をやや持ち上げて減速すると、水かきのついた足から川面に着水します。 
水飛沫が上がり、水の抵抗を利用してブレーキを掛けています。 

カワウはそのまま川面を遡上して、仲間と合流しました。 
2羽のカワウは競い合うように潜水漁を何度も繰り返します。 
水中に潜ると川面に波紋が広がります。 
川の水が濁っていて浮上ポイントが予測不能なので、カメラをズームアウトして待ちます。 
どうも川魚が少ないようで、カワウは捕食できていないようです。 
2羽のカワウが協同して魚群を上手く追い込むような作戦行動は見られませんでした。
仲間がもっと増えないと難しいのでしょう。

川にはカルガモの群れもいましたが、カワウとは互いに不干渉でした。 





2022/06/25

冬山の落葉樹に登り採食するニホンザルのペア

 

2022年1月上旬・午前11:00頃・晴れ
前回の記事:▶ 若いニホンザルの優劣行動:雪山でマウンティング、木登り、木揺すり誇示

若い2頭のニホンザルMacaca fuscata fuscata)は雪深い山麓の落葉樹(樹種不明)に登り、各々で樹上採食を始めました。 
逆光のために採食メニューをしっかり見極められないのが残念です。 
小枝を折り取って樹皮を齧ったり、冬芽を食べたりしているようです。 
樹皮に着生した地衣類も食べているのかな? 
指で次々に摘み食いしている物は何でしょう? 
食べ残しの小枝は下に落とします。 
フジ(藤)の細長い豆果が蔓から多数ぶら下がっているのに、ニホンザルは食べようとしません。 
硬い莢に種子が包まれているのですが、食べ方を知らない(編み出していない)のでしょう。 

関連記事(9年前の撮影)▶ 藤の種子と蔓の皮を採食するニホンザル♀


採食しながら木から木へ軽快に渡り歩く様も見事です。 
枝の上に立ち上がって懸垂のように上腕で上の枝を引き寄せ、何かをつまみ食いしました。 

食事が一段落すると、枝に腰掛けて休み、体を掻きました。 
ヤマガラ♪が近くで鳴いている声が聞こえます。 

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