2021/03/24

巣の無い無防備なアカタテハ垂蛹の威嚇行動

 

アカタテハの飼育記録#8 


2020年10月下旬・午後14:45頃・晴れ 

同時期に飼育しているフクラスズメの幼虫として食草のカラムシを採取しにやってきました。 
水田を抜ける農道に沿って自生するカラムシの群落は、晩秋になるとイモムシ達にすっかり食い荒らされて、葉も茎も実もほとんど丸坊主になっていました。 
定点観察に通っていなければ、そもそも植物名さえ分からなかったことでしょう。

アカタテハ(Vanessa indica)の垂蛹bが食べ残しの葉からぶら下がり、秋風で揺れていました。 
本種幼虫はカラムシの葉を巻いた巣の中に隠れて蛹化するはずなのに、この個体は剥き出しの状態で蛹が見つかりました。 
垂蛹の隣に、もう一つ焦げ茶色の物体がぶら下がっていますが、カラムシの葉先が食べかけのまま枯れて思わせぶりに丸まっているだけでした。 
「見事な偽装・擬態!」と言いたくなりますが、おそらく単なる偶然でしょう。 

造巣・蛹化した後に別個体の幼虫(アカタテハやフクラスズメなどの幼虫)に巣(カラムシの葉巻き)を食べられてしまったのか、それとも身を隠す巣材が足りなくなり仕方なく剥き出しの状態で蛹化したのか、どちらでしょう? 
丸坊主で無防備になったカラムシ群落を脱出しても、新しい食草の群落まで無事に辿り着ける保証が無いので、巣材を求めて移動する方がリスクが高いのかもしれません。 
蛹化直前の巣作りは食草の種類にこだわらず、臨機応変にその辺の植物の葉を巻いて作ることができるのかな? (飼育で検証可能)

【追記】
福田晴夫、高橋真弓『蝶の生態と観察』によると
 イラクサ科植物を食草とするアカタテハは、幼虫時代に使用して食痕のついた葉(袋状の巣)を出て、新しい巣をつくり、そのなかで蛹化する。 食痕か糞を目当てに寄主や食物を探す天敵に対応した習性であろうか。(p76より引用)

無防備なアカタテハ垂蛹bを私が手に載せたり指で軽く摘もうとした途端に、激しく身を捩ってビチビチと暴れました。 
私が手を離してもしばらく暴れ続けています。 
蛹の状態では食草に固定されていて逃げることは出来ませんが、捕食者や寄生者を追い払う精一杯の威嚇行動です。 
この個体はおそらく体内寄生を免れた健康な状態と思われます。 

周囲のカラムシ群落をよく探すと、同様に巣のない裸のアカタテハ垂蛹が計3つ見つかりました。(b,c,d) 
本や図鑑にはこのような非典型的な状態(巣無しのむき出しの蛹)について書かれていないので、もし典型例(巣内の垂蛹)よりも先にフィールドで見つけてしまったら、正体が分からず困ってしまうかもしれません。
見つけた3個の蛹をビニール袋に採集して持ち帰り、全て飼育してみましょう。 
幼虫の飼育は新鮮な食草の調達が大変ですけど、蛹の飼育は放置して見守るだけなので簡単です。 


アカタテハ垂蛹b-巣
アカタテハ垂蛹c-巣(隣に別種の毛虫)
アカタテハ垂蛹d-巣



山麓の休耕地に座って休むニホンカモシカ

 

2020年11月中旬・午前11:50頃・晴れ
前回の記事:▶ 山麓でフキの葉を食べ歩くニホンカモシカ【短編】
山麓の休耕地を歩きながら採食する野生ニホンカモシカ(Capricornis crispus)を撮影しながら慎重に回り込むと、カモシカは土手の直下で動かなくなりました。 
手前の畦に隠れて姿がほとんど見えないのですが、どうやら地面に座り込んで食後の反芻をしているようです。 
経験上、撮影アングルを求めて私が更に近づいたり斜面の上に移動しようと動いたりすれば、カモシカは警戒して逃げてしまうでしょう。
無理せずにカモシカが動き出すまで待つことにしました。

カモシカは正面から私の方を油断なく見据えています。 
ときどき耳だけをピクピクと動かして、周囲の物音を探っています。 
晩秋でも日に照らされた休耕地から陽炎が立ち上っています。 

長期戦になりそうなので、途中から三脚に固定したカメラに動画撮影を任せて、私は数十m離れた近くの農道に置いてきたザックを取りに戻りました。 (@3:00)
カモシカはカメラから離れる私を目で追いました。
明らかにカモシカの緊張が和らぎ、横を向いたり眠そうにしたりしています。 
私がカメラの設置場所にそっと戻ると、ニホンカモシカは再び顔の向きを変えて正面から私を睨むようになりました。 (@5:40)
カモシカは視力があまり良くないと言われるのですが、それほど悪くはなさそうです。 

つづく→立ち上がったカモシカは…

 

2021/03/23

シロツメクサの花で採餌するセイヨウミツバチ♀を接写してみる

 

2020年5月中旬・午後14:45頃・晴れ 

原っぱに咲いたシロツメクサの群落でセイヨウミツバチ(Apis mellifera)のワーカー♀が訪花していました。 
シロツメクサ集合花の小花はマメ科特有の蝶形花になっています。 
ミツバチは個々の小花に丹念に正当訪花すると、口吻を差し込んで吸蜜します。 
後脚の花粉籠に黄土色の花粉団子を大量に満載していました。 
隣の花に飛び立つと羽音♪がかすかに響き渡ります。 

▼関連記事(4年前の撮影:後脚の花粉籠は空荷) 
シロツメクサの花で採餌するセイヨウミツバチ♀

一寸木肇『シロツメクサの花のふしぎ』という子供向けの理科教育の本を読んで恥ずかしながら初めて知ったのですが、シロツメクサの集合花は下から上へと順に咲くのだそうです。(p21より) 
一番上についた小花は未だ蕾で、真ん中についた小花が咲いていて、受粉が済んだ下部の小花は下を向いて茶色に枯れかけています。
言われてみると確かにその通りで、普段の私はそこまで細かく意識して観察していませんでした。 
当然ながらミツバチは、シロツメクサ集合花の中で真ん中に咲いた小花から採餌していました。 

田中肇『昆虫の集まる花ハンドブック』p55によれば、
(シロツメクサの)個々の花の雄しべ雌しべは白い花びらのケースに包まれ、外からは見えない。蜜を吸うにはケースを押し下げる必要がある。それができるのは、活動的に花から花へと飛ぶハナバチの仲間。こうして花を操作できず、移動性の低いアブや甲虫を花から排除した。

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