2019/09/17

2頭の♂に求愛されたヒメシジミ♀の交尾拒否行動



2019年6月中旬・午後15:41

川の堤防に咲いたキリンソウの群落でヒメシジミ♀(Plebejus argus micrargus)が訪花していました。
翅を半開きにしたまま吸蜜している♀を撮っていると、後方より同種の♂aが飛来しました。(@0:15)
♂aは♀のすぐ近くの花上に翅を広げて止まりました。

♀は翅を軽く震わせながら♂に向き直り、♂と正面から顔を見合わせてお見合いする格好になりました。
これは、♂に背後を取らせないため(マウント回避)に♀がやる交尾拒否行動の一つなのかもしれません。
ヒメシジミ♀♂は触角で互いに触れ合っています。
この間も♀は口吻を伸ばして吸蜜を続け、一方の♂は口吻を伸ばしていません。
この♂aの求愛行動は、かなり紳士的ですね。
翅を広げて美しい青色の翅表を♀にアピール(誇示)しているだけです。

そこへもう1頭のヒメシジミ♂bが左から飛来しました。(@0:41)
ライバル♂aが居るので諦めて飛び去ったかと思いきや、すぐにまた左から飛来しました。
ここから先は、多数の蝶が入り乱れてちょっとした狂乱状態になりました。
1/5倍速のスローモーションによるリプレイをご覧下さい。(@1:19〜)

ヒメシジミ♂bは♀の斜め右後ろの花に止まり、すかさず腹端を曲げて伸ばし♀との交尾を試みます。
先を越されそうになった♂aが慌てて♀の翅にしがみついて邪魔をします(交尾干渉)。
そのまま♂aも♀の左側から近づき、腹端を曲げて交尾を試みました。
花上の♀が翅を小刻みに素早く開閉して羽ばたき、腹端を持ち上げ交尾拒否の姿勢になりました。
お邪魔虫のヒメウラナミジャノメ♀♂(Ypthima argus)が乱入してきました。
ヒメシジミ♀は明瞭な交尾拒否姿勢のまま吸蜜を続けています。(色気より食い気)
♂aの方が先に飛び去りました。
♀に振られた2頭のヒメシジミ♂abは諦め切れないのか、近くのススキの葉や枯草に止まって待機しています。

ヒメシジミは翅の色から性別の判定が容易なので、配偶行動を観察するのが面白い蝶です。

▼関連記事
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ヒメシジミの求愛飛翔、交尾拒否など @2013年6月中旬
ヒメシジミの求愛拒否@シロツメクサ花【ハイスピード動画&HD動画】 @2014年6月下旬(♀@半開きの翅を小刻みに震わせ&腹端を上げてる)
ヒメシジミの婚活(♀1♂3)@ウツギ花 @2014年6月中旬




ヒメシジミ♀@キリンソウ訪花吸蜜
ヒメシジミ♂@キリンソウ訪花吸蜜
ヒメシジミ♀@キリンソウ訪花吸蜜+交尾拒否+♂ab@求愛誇示
ヒメシジミ♀@キリンソウ訪花吸蜜+♂a@ススキ葉
ヒメシジミ♀@キリンソウ訪花吸蜜+♂a@ススキ葉

2019/09/16

立ち去る私を追いかけてニセアカシア樹上から鳴いて威嚇するノスリ親鳥(野鳥)



ノスリ(野鳥)営巣地での観察記録#13



▼前回の記事
昼間も巣に近い樹上で警戒声を発し偵察飛行を繰り返すノスリ親鳥♀♂(野鳥)

2019年6月上旬・午後12:56〜13:03

立ち去る私を追いかけるようにノスリButeo japonicus)の親鳥が鳴きながら飛んで来ました。
左翼の風切羽が無傷の個体です。
堤防のすぐ横のニセアカシア(別名ハリエンジュ)高木の樹冠に止まると、眼光鋭く私を見下ろしながら甲高い声でピーィ、ピーィ♪と繰り返し鳴き続けています。
鳴きながら尾羽根を左右に動かしているのは興奮の現れなのかな?
満開に咲いたニセアカシアの横枝の隙間から覗き込むようにして正面から私を睨みつけています。
すごい迫力!

右の方からもう1羽のつがいの鳴き声もかすかに聞こえてきました。
巣に戻った親鳥♀と鳴き交わしているのかな?と想像するものの、私には性別が見分けられません。
親鳥が巣に戻っているかどうか戻って確認したかったのですけど、これ以上親鳥を刺激するのは良くないと諦めました。

私が再び歩き始めると、ノスリ親鳥も鳴きながら飛び、別のニセアカシア樹冠に止まり直しました。
私が縄張りから完全に立ち去るまで確実に見届けるつもりのようです。

※ 動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。


私が猛禽類の観察に未熟で無知なせいで、育雛中の親鳥にストレスを与えていたようです。
氏原巨雄『オオタカ観察記』という名著を後日読んで、色々と反省させられました。

 オオタカの観察や撮影をする前には最低限、生態、習性の基本的な知識は持っていなければいけない。オオタカからの警戒、威嚇のサインを見落とさないように、常に神経を研ぎ澄ましている必要がある。例えば♀がなかなか巣に入らず、「ケッケッケッケッケッケッ」と大きな声で鳴いている。これは何かを警戒、威嚇していて、その対象が観察者や撮影者なのかもしれない。
 また、♂が観察者や撮影者の近くに来て黙って見張っていれば、それはヒナの安全を脅かすことがないかを見極めようとし、これ以上近づくな、近づくと襲うぞ!という無言のサインを送っていると思っていい。♂に見張らせること自体、ヒナや♀のための餌を捕る大切な時間を奪い、それがひいては繁殖の妨害につながる。 (p154-155より引用)


ノスリとオオタカは鳴き声が違うようですが、そういうことでしょう。
言い訳になりますが、猛禽類の中でもトビやノスリなどの普通種は露骨に人気が無いようで、写真集や観察記録の本が出版されていません。

そのため、初心者がなかなか勉強できないのです。
これからはブラインドを使った撮影を検討しないといけません。

つづく→#14:日没後に塒のポプラ樹上から鳴く♪ノスリ親鳥(野鳥)


ノスリ(野鳥)@ニセアカシア樹上a+警戒声♪
ノスリ(野鳥)@ニセアカシア樹上a
ノスリ(野鳥)@ニセアカシア樹上b+警戒声♪


ショウジョウバエを捕らえて巣に運ぶヨツボシオオアリ♀



2019年6月中旬

生ゴミを自然発酵させて堆肥にするコンポスト容器に集まったショウジョウバエの一種を捕らえたヨツボシオオアリCamponotus quadrinotatus)の小型ワーカー♀が巣に運ぼうとしています。
首元を咬まれながらも獲物は未だ生きていて、必死で逃れようと羽ばたいて暴れています。
マクロレンズを装着して接写しようか私が迷っているうちに、ヨツボシオオアリ♀は獲物もろともプラスチックの壁面から滑落してしまいました。


ショウジョウバエのような素早い虫をどうやって捕らえたのか、狩りの瞬間を見たかったです。

ヨツボシオオアリ♀@ショウジョウバエ捕食+運搬

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