2014年6月中旬
ヒメシジミ(Plebejus argus micrargus)は数の多い普通種で性別を容易に見分けられるので、求愛行動の観察に適した対象です。
(翅表が褐色なのは♀、青色は♂。)
堤防の草むらでムラサキツメクサの花に止まったヒメシジミ♀を中心に顔を見合わせた♂がぐるぐる回っていました。
♀は♂に背後をとらせないように回っていることから、どうやら♀は交尾を拒否する意向のようです。
♀が少しずつ飛んでは逃げ回り、最後はクズの葉に着陸しました。
♂は♀の真正面で広げた翅を羽ばたかせ求愛しています。
♀を中心に舞台(葛の葉)上をくるくると回っています。
♂はときどき腹部を曲げて腹端の交尾器を連結しようとしています。
ようやく♂が♀の背後をとり尻を追いかける体勢になったものの、頑なに交尾を嫌った♀が飛んで逃げました。
最後は♀が草むらの奥深く(地面の近く)に潜り込み、姿を消しました。
♂は♀を見失ったようで、しばらく近くで待機したり、未練がましく辺りを飛び回ったりして♀を探しています。
近くのシロツメクサに♂が着陸したので、てっきり諦めたかと思い撮影終了。
ところが、その直後に♀が隠れ家から飛び出し、♂は慌てて♀の後を追いました。
てっきり「嫌よ嫌よも好きの内」とか、「アハハ、ウフフ、(ぐるぐるぐる)、待て〜♪」という儀式的な求愛行動(恋の駆け引き)なのかと思って見ていたのですが、♀は本気で嫌がっているようで交尾には至りませんでした。
♀がはっきりした交尾拒否行動を示せば大抵の昆虫の♂は諦めて紳士的に立ち去るのですけど(例:モンシロチョウ)、今回のヒメシジミ♂は執拗に♀に迫っていた点も印象に残りました。
ヒメシジミには♀が交尾拒否の意思を♂に明確に伝える行動が発達していないのかな?
前年にも本種ペアの交尾拒否行動を垣間見ましたが、これほど長いメロドラマにはなりませんでした。
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求愛が成就して交尾に至る過程を観察するのが今後の課題です。
ヒメシジミの♀は羽化後に一度しか交尾しないのでしょうか?
それとも交尾相手の♂を♀が選り好みしているのかな?
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