2012年7月上旬・(気温測定を忘れました)
ナキイナゴ♂の鳴く季節になりました。
映像前半は、田舎道の交差点にて単独でシャカシャカ鳴いていた個体です。
歩道に生えた貧弱な草の茎にしがみ付き、後脚の腿節を前翅の翅脈と擦り合わせることで鳴いています。
ナキイナゴは前翅R脈(径脈)と後腿節発音小歯のやすり器を擦る。(『日本動物大百科8昆虫Ⅰ』p106-107より)
茎を忙しなく登ったり下りたりするのは、パパラッチのレンズを警戒しているのかもしれません。
前進だけでなく後退(後ずさり)も出来るんだ!と少し興味深く思いました。
最後は跳んで移動。
映像後半は、同じ日に別の道端のススキ群落にてシャカリキに鳴き交わしていた2匹の♂。
互いに少しずつ接近しています。
鳴き声による縄張り争いのようなものがあるのかもしれません。
少し離れた位置から撮りました。
ナキイナゴ♂の鳴き声の声紋解析
ナキイナゴは特に美しい音色という訳ではありませんが、決して耳障りではなく私にとっては飽きることなく癒される鳴き声です。
単独で鳴いていた♂のオリジナルMTS動画ファイルから音声パートをWAVファイルにデコードしてから、スペクトログラムを描いてみました。
鳥の声などとは違って特に声紋のようなパターンは認められませんでした。
倍音の構造なども見当たりません。
発音器に共鳴させる仕組みが無いのだろうか。
唯一読み取れることとして、ナキイナゴが連続で何回擦り合わせて発音したか数えることは出来そうです。
例えば「虫の音WORLD」サイトでナキイナゴの項を参照すると、
シャカシャカシャカと尻上がりに10音ぐらい後脚を前翅に擦り付けて音を出す
との記述があります。
一方、下図に示した私のデータでは29音ずつ鳴いています。
「シャ・カ」1セットで1音と数えるにしても、15音ずつ鳴いています。
(こんなのは、気温・時間帯や近くにライバルの♂が居るかどうかなど、様々な要因や個体差がありそうですけど。)
【追記】
『バッタ・コオロギ・キリギリス生態図鑑』付属のCDにナキイナゴの鳴き声が収録されていました。
これを用いて同様にスペクトログラムを描いてみました。
非圧縮PCM録音のWAVファイルなので、私の素材(AC3圧縮)よりも遥かに高音質であることが歴然としています。
高音域も不自然にカットされていません。
マイクなど録音機材も本格的なものを使っているのでしょう。
真似事で色々な鳴き声を声紋解析してきたのですが、録音法の改善ポイントがはっきりしました。
2012年7月上旬
険しい山道を歩いていると上の方から物音がするので見上げると、崖の上のポニョ…ではなく、ニホンカモシカ(Capricornis crispus)を発見!
崖崩れ防止のためコンクリートで被われた急斜面の更に上の林からじっと見下ろしていた。
やがてカモシカは鼻息で威嚇すると身を翻し、奥の林に姿を消しました。
それにしても、レンズが汚れていてお見苦しいですね…。
(映像はここまで)
その後も向こうからは見えているのか、鋭い鼻息が聞こえてきます。
試しにこちらも鼻息を真似てフシュフシュ♪と呼応してみたら、交互にラリーが結構続きました。
野生動物と交流できたようで、ちょっと嬉しいひとときでした。
カモシカ同士の縄張り争いでも似たようなことが行われるのかもしれません。
今思うと、その様子も動画に撮ってみればよかったですね。
(カメラ内蔵のマイクで遠くの鼻息を録音できたか分かりませんが…)
▼関連記事▼
野生ニホンカモシカと鼻息で鳴き交わしてみる
【追記】
一般にカモシカは、自分よりも下の位置を通る物体には警戒心がないと考えられる。逆に、人間が尾根などの高い位置から接近すると、とたんに「フシェー」と鼻息荒い声を発して威嚇し、沢の方へと一目散に逃走する。(『野生のカモシカ:その謎の生活を追う』p31より)
カモシカは、自分より高い位置にいる自分以外の異種の個体、つまりヒトには神経質だ。(『カモシカの森から:白神・津軽 北の自然誌』p144より)
2012年5月下旬
ムモンホソアシナガバチ♀(Parapolybia indica)がヨモギの葉に止まって何かやってます。
時期的にワーカーではなく、未だ単独営巣期の創設女王だと思われます。
実は、ヨモギの葉裏から産毛を集めるムモンホソアシナガバチの動画をハンマーさんのブログで拝見したばかりだったので、てっきりこれも巣材集めかと思って撮り始めました。
明らかに蜂は葉表に口を付けて何かを舐めています。
しかし、どうも巣材集めとは違うようです。
側面から見ても丸めた巣材(ペレット)を口元に抱えていません。
一頻り舐め終わった蜂は身繕い。
蜂が飛び去った後で確認すると、ヨモギの葉に肉眼レベルでは朝露(水滴)やアブラムシは付いていませんでした。
一体何をしていたのか、ちょっとしたミステリーでした。
『日本の真社会性ハチ:全種・全亜種生態図鑑』p74によると、
(ムモンホソアシナガバチの)巣は樹木の葉に密生する毛を材料として造られるため、淡褐色もしくは淡い肌色を呈し、アシナガバチ属の灰色の巣と比べると対照的である。