ヨモギの葉を舐めるムモンホソアシナガバチ創設女王
2012年5月下旬
ムモンホソアシナガバチ♀(Parapolybia indica)がヨモギの葉に止まって何かやってます。
時期的にワーカーではなく、未だ単独営巣期の創設女王だと思われます。
実は、ヨモギの葉裏から産毛を集めるムモンホソアシナガバチの動画をハンマーさんのブログで拝見したばかりだったので、てっきりこれも巣材集めかと思って撮り始めました。
明らかに蜂は葉表に口を付けて何かを舐めています。
しかし、どうも巣材集めとは違うようです。
側面から見ても丸めた巣材(ペレット)を口元に抱えていません。
一頻り舐め終わった蜂は身繕い。
蜂が飛び去った後で確認すると、ヨモギの葉に肉眼レベルでは朝露(水滴)やアブラムシは付いていませんでした。
一体何をしていたのか、ちょっとしたミステリーでした。
『日本の真社会性ハチ:全種・全亜種生態図鑑』p74によると、
(ムモンホソアシナガバチの)巣は樹木の葉に密生する毛を材料として造られるため、淡褐色もしくは淡い肌色を呈し、アシナガバチ属の灰色の巣と比べると対照的である。
記事を楽しく拝見させていただいております。
返信削除社会性昆虫のアシナガバチについてこの場をお借りして質問させて下さい。
いわゆる働きバチが自分で産卵などせず女王蜂の繁殖を助けるのは血のつながりによって間接的に遺伝子を残すからだと言われているようなのですが、
アシナガバチを見ているとたまに働きバチが女王蜂を殺したり、巣の幼虫や蛹を引っこ抜いて捨ててしまうことがあります。
このような現象はなぜ起こるのでしょうか?
こんにちは。
削除拙ブログを御覧いただきましてありがとうございます。
いきなり核心を突く鋭い質問をされて緊張する~!(汗)
>アシナガバチを見ているとたまに働きバチが女王蜂を殺したり、巣の幼虫や蛹を引っこ抜いて捨ててしまうことがあります。
私はそのような実例は未だ観察できていないので、羨ましいです。
アシナガバチの場合、実はワーカーも自ら子孫を「直接」残すチャンスを虎視眈々と狙っているらしいです。
通常、ワーカーは交尾していないので産卵しても未受精卵です。
もし女王や他の優位ワーカーに食卵されずに見逃してもらえれば♂に育ちます。
ただし場合によっては営巣初期になぜか♂が生まれることがあり、ワーカーにも交尾のチャンスがあります。
コロニーで産卵権を保つために女王は力づくで娘(ワーカー)を支配する必要があるらしく、女王の権勢が弱くなると下克上(クーデター)もあり得るのかもしれません。
アシナガバチの巣では♀同士の噛みつき行動など、常にピリピリした緊張状態が見て取れます。
一見すると虐げられているワーカーも常に「女王を助けて繁殖分業するのが得策か、それとも自分で産卵するのが得か」とかなりシビアに損得勘定を行い、その時その時で利己的に振る舞っているのかもしれません。
この辺の生々しい(ドロドロした?)ドラマを直に見れるのがアシナガバチの醍醐味だと思います。
それから巣の幼虫や蛹を引っこ抜いて捨ててしまうもう一つの原因は、寄生を検知したのかもしれません。
あるいは、営巣末期になってこのままでは成虫に育つ前に冬が来てしまうとなれば、在巣の蜂が食べてしまう場合もあるかもしれません。
以前私なりに勉強した理解でお答えしてみました。
アシナガバチの巣を定点観察すると面白いことや不思議なことがたくさんありますよね。
ご存知かもしれませんが『アシナガバチ1億年のドラマ』などの本がおすすめです。
今季は見つけたアシナガバチの巣がことごとく営巣に失敗してしまい、定点観察できませんました。
大変詳しいご返答をいただき誠にありがとうございます。
削除なるほど、働きバチにも繁殖のチャンスがあるということですね。しかもオスが初期に生まれるとは・・・大変興味深いですね。
一見仲良く共同生活してるように見えて、実はいろんな対立があるんですね。蜂の世界も大変ですね。
Sigmaさんの定点観察動画はいくつか拝見させていただいてます、マーキングなど、とても素人にはできない観察方法をとっておられますね。今後も楽しみにしております。
アシナガバチ1億年のドラマはさっそくアマゾンで購入したいと思います。
どうもありがとうございました。