2012/03/20

アメリカシロヒトリ(蛾)が季節外れに室内羽化



2012年2月下旬

室内でふと天井を見上げると中型の白い蛾が止まっていました。
真っ白な翅にかすかな黒点が散りばめられています。
翅は三角屋根の状態で静止。
どうやらアメリカシロヒトリHyphantria cuneaのようで、前脚の付け根が黄色に色付いています。
逆さまにぶら下がった状態で少し前に歩きました。

昨秋に近所で大量発生したアメリカシロヒトリの毛虫が窓から侵入して室内を徘徊したり洗濯物やカーテンに付いて営繭・蛹化したりと大騒動になったのでした。
暖かい室内のどこかで隠れて越冬し、季節外れに羽化したのでしょう。
ちなみに野外の自然状態における成虫出現時期は5月および7~8月とのこと。
後で採寸しようと思っていたら、目を離した隙にどこかへ居なくなってしまいました。
冬に生きて動く蛾の成虫を撮れたのは久々だったので、少し嬉しい出会いでした。

『繭ハンドブック』p49によると、自然界でアメリカシロヒトリの「越冬は前蛹幼虫で行われる」とのこと。



2012/03/19

吹雪の中を活動するニホンザル



2012年1月下旬

野生ニホンザルMacaca fuscata fuscataの群れを探して集落の裏山に登ると、林が伐採された台地に着きました。
山の天気は変わりやすく、雪が激しく降ってきて視界も悪くなってきました。
一頭の猿が雪原の斜面をトラバースして登っています。
遠くからかすかに鳴き声も聞こえます。
右奥の雑木林に姿を消しました。

斜面左手の樹上に別な猿を発見。
独り枝に腰掛けてこちらを向き、じっとしています。
群れの見張り役なのだろうか。
後で写真を見直すと、小さな黒い箱のような発信器付きの首輪を装着した個体のようです。
ほとんど動きは無いものの、「厳冬期に吹雪を耐え忍ぶ孤高の猿」と題したくなるような、ちょっと絵になる光景でした。

この首輪猿がおもむろに木から下りると、先程の仲間を同様に林縁の斜面を横切り始めました。
後からもう一頭が合流しました。
しばらく前後して歩いていたが、後続の個体が針葉樹の幼木に登って休息。
樹上で脇腹を手で掻いたりしています。
しばらくして遊動再開するも、休み休み進みます。
今度は別の立木(落葉樹)に登って休憩。

ニホンザルも悪天候の日には遊動せず群れで身を寄せ合って寒さを凌ぐと聞いていましたけど、これぐらいの吹雪では平気で活動するようです。
野生のニホンザルを一冬観察してみると、動物園や餌付けされた猿山で見られるような「ボス猿に統率された群れ」というイメージは全く当てはまらないことがよく分かりました。




2012/03/18

雪山でタヌキの足跡を追跡してみる



2012年2月中旬

タヌキが登ったばかりの雪山の斜面を、ラッセル跡を辿って追跡開始。
動画を撮りながらスノーシューで斜面左手から登ります。
少し進むと足跡の下の雪面から枝が伸びていて、樹皮が齧られた跡(食痕)が残っていました。
ホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が道中に齧ったのだろうか?
枝の上部は折れていて樹種は不明です。

息を切らして更に急斜面を登ると、今度は雪に埋もれかけたクズ?(フジ?)の蔓に食痕を発見。
蔓の表面を齧り取った痕跡があるものの、新鮮な食痕ではないような気もします。
実際にタヌキが齧っている様子を見た訳ではないので、もしかしたら別な動物の食痕を見つけて気になったタヌキが寄ってみただけかもしれません。

自分で登ってみると、トラバースしたおかげで斜面の勾配はそれほど大したことありませんでした。
しかし積雪が深いのでラッセルしつつ登るのは重労働。
大木への最後のアプローチは短いジグザグのつづれ折れになっていました。

ようやくタヌキが目指していた大木に到着(樹種不明)。
大木の根元にある雪の窪みを覗いてみるも、長居した形跡や溜め糞もありませんでした。
てっきり塒(ねぐら)や巣として使っているのかと思ったので予想が外れました。

冬ごもりの巣穴だったら監視カメラを仕掛けようかとワクワクしながら登ってきたのに…。
まさに撮らぬ狸の皮算用。



この先でタヌキの梅花状の足跡を見失ってしまいました。
てっきり穴の奥に隠れてしまったのかと思い、諦めて引き返しました。
帰ってから前の動画を見直すと、タヌキはこの大木を素通りし尾根を目指して斜面を登り切ったようです。

タヌキが厳冬期に何を食べているのか食性(メニュー)に興味がありますが、なんとか元気に厳しい冬を乗り切って欲しいものです。



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